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事前評価(平成12年4月)
ダイオキシン類の新たな計測手法に係る開発研究

  • 更新日:2000年12月1日

1)研究の概要

ダイオキシン類の全体像及び汚染の詳細な分布を明らかにするため、ダイオキシン類の標準物質の作成等、ダイオキシン類分析の精度管理に資する微量分析技術の開発とともに、ダイオキシン類分析の効率化、迅速化に資する簡易、リアルタイムな計測手法の開発を、産学官の協力のもとで行う。

2)研究期間

平成12〜14年度(3年間)

3)研究計画

平成12年度は、微量分析技術の開発については標準物質の作成と濃度検定の実施、簡易・リアルタイム計測手法の開発については、新たなスクリーニング手法の設計と前処理の簡易化の検討、リアルタイムモニタリング機器の概念設計を行う。

平成13年度以降は、国内外の機関における利用を想定しつつ、作成した標準物質の評価を行うとともに、新たな簡易分析法、リアルタイムモニタリング法を実用的なものとして現場での適用を試みる。

4)研究実施の背景

平成11年3月にダイオキシン対策の関係閣僚会議が取りまとめたダイオキシン対策推進基本方針では、ダイオキシン類に関する検査体制の整備や、調査研究及び技術開発の推進がうたわれている。現状では、分析機関により分析値のばらつきが大きく、2週間以上の分析時間、1検体20万円の分析コストを要しており、改善の必要性が高い。現行の公定分析法は多くの試行の上で研究開発されたもので、今後も基準的な分析法として用いられるものと考えられるが、今後、より一層多様かつ多数の試料分析に対応できるよう、分析精度管理の徹底とともに、より低コスト、短時間で計測できる手法、直接的に現場に適用可能な分析手法など、より実践的な分析法の開発が求められている。

5)評価結果の概要

ダイオキシン類分析の信頼性を確保するための精度管理と、安価で迅速な分析手法の開発に対して強い期待を受けたが、サンプリングも含めた分析者の技術向上や、用途に応じて分析精度の開発目標を明確化するなど、環境リスク管理のトータルシステムの一環として手法開発を進めるよう指摘を受けた。

6)対処方針

ダイオキシン類分析は大気、水質、土壌、底質の他、生物組織や母乳、血液といった生体試料等、様々な媒体を対象とし、サンプリング法も多様化しており、また我が国で年間数万件の分析が行われているという現状と、今後問題となるであろう臭素化ダイオキシン類への対応も必要との認識から、効率的なリスク管理に資するよう、適用対象を明確にしつつ、比較的安価で操作の優しい低分解能GC/MS等の活用や、スクリーニング技術としてのバイオアッセイ法の適用可能性を追求する。精度管理については、現行の公定分析法の精度に達することを目標とする。

また、廃棄物焼却施設から発生する排ガスに含まれるダイオキシン類量の正確な把握は現在の年数回程度の煙導排ガス測定では困難であることから、常時測定が可能で、焼却施設の管理にも資する分析手法の開発を目指す。その際、民間の分析機関、機器メーカー、大学関係機関と連携・協力を図りつつ、コスト面も含め実用性を重視した手法開発を行う。