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事前評価(平成12年4月)
有機性廃棄物の資源化処理技術・システムの開発に関する研究

  • 更新日:2000年12月1日

1)研究の概要

全国及び地域毎の有機性廃棄物の排出実態やコンポスト等の循環資源の需給構造を、有機性廃棄物のフロー及び窒素・リンのサブスタンスフローや地域に還元できる循環資源量から解析し、現状の技術体系におけるリサイクルフローを評価する。これらを踏まえ、既存要素技術や開発中の新たな要素技術をベースに、社会システムとして新たな有機性廃棄物のリサイクルシステムを構築するため、その基幹として開発を進めてきた乳酸・アンモニア・リン回収技術をはじめ、これらの要素技術やそれらの組合せとしてのシステムの効果をコストや最終処分量の削減量で評価し、さらには各種要素技術・システムの比較LCAを行うことによって、これらの要素技術・システムの実用化の可能性を検討する。

2)研究期間

平成13〜16年度(4年間)

3)研究計画

平成13〜14年度では既存要素技術・システムによる循環資源量等を評価し、全国及び地域毎の有機性廃棄物の循環資源需給バランスを明らかにし、現行のリサイクルフローを評価する。また、新しい要素技術を組み合わせた資源化システムを描写し、システム設計のために必要な項目(リサイクル製品の市場等)を調査するとともに、資源化システムの実例として汚泥再生処理センターの幾つかを対象にLCA評価とコスト評価を行う。また、有機性廃棄物からの乳酸・アンモニア・リン回収技術・システムの開発を行う。

平成15〜16年度では新たな技術を包含した資源化システムを設計し、LCA評価により、従来システムとの比較検討を行う。その結果を踏まえ、乳酸・アンモニア・リン回収技術・システムを構築する。

4)研究実施の背景

厨芥類は事業系生ごみを含めて年間約2千万トン(平成8年度)も排出されているが、リサイクル率が一般廃棄物の中で最も低く(0.3%)、その多くが焼却処理され、焼却処理施設から発生するダイオキシン類等、有害物質の環境への排出に対する国民の不安が高まる中、循環資源としてのリサイクルの方策が求められている。

一方、食品製造業系廃棄物や畜産系廃棄物を含む高含水有機性廃棄物の排出量は年間2億トン以上に及び、特に家畜ふん尿による水環境汚染の抜本的な対策が求められている。我が国の食料物質収支の輸入超過というアンバランスの中で、有機性廃棄物に関して如何に循環型システムを構築するかは困難な課題であり、多面的な技術やシステムを導入した新たな循環サイクルが必要である。

5)評価結果の概要

循環型社会の構築のため、また、水も土壌も富栄養化の一途を辿っている国土の保全のため、有機性廃棄物のリサイクルは避けて通れないテーマであり、要素技術の開発という個別研究としての新規性についても評価を受けた。

一方、要素技術の開発については地域ニーズを踏まえ、費用対効果も考慮して対象を絞り込むべきとの指摘を受けた。また、国全体の物質収支の観点から、我が国の全体像を理解するためのデータベースの確立とともに、海外における需要も視野に入れた社会システムとして、技術開発・政策戦略の両面から検討し、我が国の将来像として見事な物質循環システムを描くよう期待を示された。

6)対処方針

要素技術の開発については費用対効果の検討も含め、開発中の乳酸・アンモニア・リン回収技術を中心に行うこととし、有機性廃棄物の排出・循環資源の需給構造評価の中で地域ニーズを考慮するとともに、資源化システムについてもLCA評価に経済評価を加える。また、有機性廃棄物の発生構造や物の流れなど物質収支の視点を重視し、社会システムとしての評価を試みる。