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事前評価(平成12年4月)
焼却処理におけるダイオキシン類発生量予測指標に関する研究(変更前「焼却処理におけるダイオキシン類発生量予測手法の開発に関する研究」)

  • 更新日:2000年12月1日

1)研究の概要

廃棄物の焼却処理におけるダイオキシン類の生成機構を解明するため、焼却炉の燃焼部においては焼却物の種類や燃焼条件などがダイオキシン類の生成に及ぼす影響を明らかにし、排ガス処理部においてはダイオキシン類の生成と排ガス中の化学成分、温度、煙道壁の煤や飛灰中の化学成分による触媒作用との関係を明らかにする。得られた基礎データの解析から、ダイオキシン類の生成に影響する因子とその役割を明らかにし、焼却処理において発生するダイオキシン類発生量の予測指標について検討を行う。

2)研究期間

平成13〜14年度(2年間)

3)研究計画

平成13年度は小型焼却炉又は小型実験炉を用いて、種々の単一素材の廃棄物を、様々な燃焼条件及び排ガス処理部での操作条件の下で焼却し、燃焼物の種類や含有塩素の形態とダイオキシン類生成量の関係、ダイオキシン類の生成に関与する触媒や温度などの影響を明らかにして、ダイオキシン類の発生量予測指標を検討する。また各種自然物の焼却によるダイオキシン類発生量を測定し、自然界におけるダイオキシン類のバックグランド値を把握する。

平成14年度は、前年度の研究を継続しながら、ダイオキシン類の発生量予測指標を実炉で検証し、改良を加えるとともに、ダイオキシン類の発生を最少化する焼却炉の構造、焼却条件を検討する。

4)研究実施の背景

我が国では各種焼却炉から発生するダイオキシン類が国内のダイオキシン類排出総量の9割近くを占め、焼却炉からのダイオキシン類排出量の削減は緊急の課題である。現在、大型焼却炉では高温連続燃焼方式(エネルギー多消費型)の採用によりダイオキシン類排出量は大幅に削減が進んでいるが、産業廃棄物の焼却処理の多くはダイオキシン削減対応が不十分な小型焼却炉(ダイオキシン類排出総量の1割強を占める)及びダイオキシン類発生量さえも把握されていない未規制焼却炉に頼っており、小型焼却炉・未規制焼却炉対策とともに、より省エネ型のダイオキシン削減対策が求められている。

5)評価結果の概要

焼却によって発生するダイオキシン類を削減するために重要な研究であるとの評価を受けた。

一方、小型焼却炉での実験結果にどのように一般性を持たせることができるか、また、ダイオキシン類の生成機構の解明に有益と思われる石英管と電気炉を使った実験室規模の実験の実施についても検討するよう指摘を受けた。さらに、ダイオキシンの生成機構や生成要因に関する多くの既知情報を集約してダイオキシン類発生量予測指標を確立するとともに、焼却がダイオキシン発生と同義語のように考えられている中で、自然物の燃焼で発生するダイオキシン量についての基礎データを提出することに期待が示された。

6)対処方針

指摘された内容を踏まえ、研究課題、内容をより明確な形に組み直した。既存データを集約・再評価した結果を本研究の中に活用するとともに、小型焼却炉及び実験室規模での実験から、自然物の燃焼におけるダイオキシン類発生量も含め基礎的データを収集・解析することにより、大型焼却炉への適用も視野に入れ、生成機構の解明、ダイオキシン類発生量の予測指標の開発を進める。