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事前評価(平成11年5月)
大気汚染・温暖化関連物質監視のためのフーリエ変換赤外分光計測技術の開発に関する研究

  • 更新日:1999年11月19日

1)研究の概要

日本及び東アジアの大都市域及び東アジア全体レベルでの大気汚染や地球温暖化に関連した物質を、高分解能フーリエ変換赤外分光計(FTIR)装置を利用して測定する技術手法の開発を提案し、これについて実際に高分解能FTIR装置を用いた実験を行い、測定手法の有効性を実証する。
具体的には、

  1. 長光路吸収法による大気汚染物質の同時多成分計測技術の開発
  2. 太陽光源赤外吸収スペクトルを用いた温暖化関連物質の鉛直分布計測技術の開発

の二つのサブテーマによって実施する。

2)研究期間

平成12〜14年度(3年間)

3)研究計画

平成12年度は、FTIR本体整備とデータ解析ソフトウェア開発を行い、平成13年度は、本体整備を完了させ、太陽追尾装置、長光路システムの整備を行い、平成14年度は、検証実験、データ解析ソフトウェアを完成させる。

4)研究予算額

  • 50,000,000円/年(予定額)

5)研究実施の背景

都市大気汚染は日本においても依然として解決が困難な問題であるが、東アジアの主要都市でははるかに深刻な状況である。他方、地球温暖化への寄与という意味でも東アジアは重要であり、地球温暖化問題では二酸化炭素やメタンの放出と同時に、森林による二酸化炭素の吸収、森林火災を含む森林破壊の影響など、温暖化関連物質のソース・シンクの問題が重要である。これまで大気汚染・温暖化関連物質の同時観測や鉛直分布の計測は困難であったが、最近操作性が良好になった高分解能FTIR装置の持つ大きな情報量と計算機の高速化により、新たな測定技術の開発基盤が成熟してきた。

6)評価結果の概要

大気汚染物質・温暖化関連物質を日本を含む東アジアで観測するためにFTIRを用いた新しい計測手法を研究するという本研究については、環境問題への貢献度、内容の独自性共に高く評価された。研究の進め方について、大都市圏の規模から東アジア規模のそれぞれの規模に応じて、他の計測法と組み合わせ、総合的にモニタリングするシステムを目指すべきこと、応用を念頭において技術開発のデザインを行うべきことなどの指摘を受けた。

7)対処方針

装置の小型化や自動化手法など、多地点における観測に結びつく技術開発を研究の中に織り込み、モニタリングや集中観測への応用が容易にできるようになることを目指す。また、数値モデルによる研究の結果や従来の測器による観測結果も踏まえて、大気汚染の全体像を把握するために、衛星センサーも含め、他の測器と相補的な観測ができるように検討する。