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ずいそう
“海外からのたより”米国における環境研究は曲がり角?
細見  正明

オハイオ川のリバーフロントに発達したシンシナチの中心地から北へ向ったところの小高い丘の上に、Andrew.W.Breidenbach(初代所長にちなんで名付けられた)環境研究センターがある。ここは、ノースカロライナにあるリサーチトライアングルパークと並ぶ EPAに属する研究機関の中核であり、私はこのセンター内の Risk Reduction Engineering Lab.(RREL)に籍を置いている。RRELは、私が渡米した1988年10月に Hazardous Waste Engineering Res.Lab.(HWERL)と Water EngineeringRes.Lab.(WERL)とが統合されたもので、EPA の研究機関の中では最も大きい研究所である。この組織改革は、資源保全再生法に関連する研究技術開発をより効率的に進めるため、ワシントンの EPA本部によって行われた。HWERLや WERLの前身は、Municipal Environmental Res.Lab.であった。すなわち、70年代は、“municipal”80年代は、“hazardous”そして来たる90年代は、“risk”の時代と言うことができよう。

環境汚染による人間や環境に対する悪影響の緩和をゴールとする EPAは、規制官庁として、70年代は都市化による廃水やゴミを、また80年代は有害廃棄物をどう処理・処分していくかという差し迫った問題に追われ、主に end-of-pipe対策を中心に進めてきた。現在は、過去において無制限・無計画に投棄された有害廃棄物の封じ込めや処理を行うスーパーファンド関連の研究に重点が置かれている。投入される研究予算が大きいため、この関連分野は活況を呈しており、新しい技術や研究成果が生まれつつある(但し、効率的かどうかは別問題として)。

しかし、スーパーファンド改正法が切れるとどうなるのか?いつまでも後追い対策では効率が悪く環境汚染を軽減できない?オゾン層破壊問題では、誰もオゾン層を回復できる方法を見出せないかもしれない?また、貴重な水辺や森林生態系は、いったん破壊されるともう取り戻せないかもしれない?など。

これらに対処するためには、まず汚染物質の発生源にまで遡り、その発生構造、環境中での挙動、運命を知り、そして人間や生態系に及ぼす影響を把握する必要がある。こうした一連の流れを統一的に説明するための尺度としてリスクが取り上げられた。すなわち、今までの end-of-pipe対策から環境を構成する各レベルでのリスクだけでなく、一連の流れを通した人間や生態系に対する全体のリスクを評価して、全体のリスクを削減するための手段をいろいろなレベルでさぐっていこうとしている。

さて、米国がくしゃみをすれば風邪をひく体質の日本においては、90年代の環境研究とは?

(ほそみまさあき、水質土壌環境部陸水環境研究室)


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