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2014年10月31日

「サマー・サイエンスキャンプ2014」開催報告

【行事報告】

 国立環境研究所では今年も(独)科学技術振興財団が主催する「サマー・サイエンスキャンプ」の事業を2プログラム実施しました。今年は全国より選抜された総勢18名の参加者が集まり、最先端の研究を体験・学習しました。

 まず7月29~31日の3日間では、「生物と環境」プログラムを実施しました。このプログラムは植物の種による環境ストレスに対する応答の違いという側面から「生物多様性」を学習する内容のプログラムになります。

 実習では実験用植物のタバコ2品種を使い、オゾンを暴露することによって生じる可視障害を観察し、品種によって障害の現れ方が異なることを調べました。また、気体中の特定のガスの濃度を測る装置であるガスクロマトグラフ装置を使い、オゾン暴露の前後で、葉から発生したエチレンガス濃度の差異を測定したり、DAB染色という方法を用いて葉で過酸化水素が発生している部位を観察しました。

 これらの実習を行うことにより、植物の環境ストレスに対する防御機構が多様化していることを調べました。一つひとつの結果ごとに、なぜこの結果がでたのか、考察を重ねる姿はさながら研究者のようでした。

 実習の中では細かい作業や複雑な計算、扱ったことのない実験装置などに苦労しつつもオゾンの臭いに感動したり実験の結果に一喜一憂しながら取り組み、無事に結果を発表することができました。

 8月18~21日の4日間では「東京湾の魚介類と環境~本当の姿を実体験!~」プログラムを実施しました。このプログラムは水質観測や底曳き網による魚介類採集を行い、採集した魚介類の種類や量を調べることで、東京湾の生態系の変化を知るプログラムになります。

 横浜市漁業協同組合の皆様の協力のもと漁船に同乗し、東京湾の北部と南部の2箇所において水質観測と底曳き網による調査を行いました。当日は例年と異なる気圧配置のため強い南風が吹いて船が揺れ、船酔いしてしまう参加者も出ましたが、無事に調査を終えることができました。

 研究所では持ち帰った魚介類の種類、種ごとの個体数及び重量の計数及び測定を行いました。これらの作業は魚介類特有の臭いを伴い、また立ちっぱなしの作業になるため弱音を吐く参加者も出るかと思いきや、検索図鑑を用いて種の名前が判明するたびに歓声を上げ、長時間の作業にも関わらず集中力を絶やさない姿には感心を覚えました。最終日には、前日までに得た水質と魚介類のデータをまとめて、調査結果を発表し、意見や感想を話し合い、無事に全行程を終えることができました。

 参加者たちにとって今回の経験は非常に貴重な体験であり、将来の進路等に影響を与えるものだったのではないかと思います。今後も国立環境研究所では、イベント等への参画を通して次世代の育成に取り組んで参ります。

(企画部広報室)