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2011年6月30日

新たな循環型社会づくりに向けた「循環センター」の役割

【資源循環・廃棄物研究センターの紹介】

大迫 政浩

 近年の環境問題を取り巻く状況を概観すると、環境や資源・エネルギー制約の問題から、私たちの生存基盤が危ぶまれてきていることが、強く認識されつつあります。日本においては、自由経済のグローバル化の下で、新興国の台頭による産業の空洞化が進行し、合わせて少子高齢化による人口減少時代への移行、情報化社会が進む一方で人のつながりが薄まりつつあるなど、私たちを取り巻く社会の情勢は厳しく、世の中に閉塞感が蔓延しつつあります。

 そのような社会情勢の変化の中で、資源循環や廃棄物の問題の様相も大きく変化してきています。二十世紀後半は、経済活動に伴い大量に排出される廃棄物をいかに適正処理するかが重要な課題でした。最終処分場の逼迫や不法投棄、廃PCBやダイオキシン問題など経済発展がもたらした廃棄物問題、負の遺産への政策的対応がなされました。二十一世紀に入り、廃棄物問題の解決のためのリサイクルが、「循環型社会」という新たなキーワードを得る中で、発生抑制を含めた3Rという概念に拡張されてきました。

 しかし、先にも述べたように、社会情勢は刻々と変化し、それに伴い廃棄物問題も変化していることから、「循環型社会」も時代に合わせて、あるいは将来を見通しながらさらにその概念を広げ、かつ深化させていく必要があります。具体的には、循環型社会形成に向けて以下のような状況の変化を認識する必要があります。

①経済のグローバル化の下で、廃棄物等はその資源的価値から国際的に移動、循環しており、環境リスク低減と資源安全保障の観点からその適正管理が課題になっています。

②アジアの新興国などにおいては、かつての日本が経験した廃棄物問題が顕在化しており、日本が蓄積してきた技術や社会システムを基にした国際貢献が求められています。

③日本の地域再生に向けて、低炭素社会や自然共生社会と統合的に循環型社会づくりを進めていくことが喫緊の課題になっています。

 資源循環・廃棄物研センター(循環センター)では、上記のような課題認識に立って、①日本とアジアの近隣諸国にまたがる国際的な問題、②アジアの発展途上国の問題、③日本国内の地域の問題、の三種類の空間的な区分について焦点を当て、廃棄物の適正管理とともに、低炭素社会、自然共生社会と統合した循環型社会づくりに貢献するための研究(循環型社会研究プログラム、図参照)を推進していきたいと考えています。特に、「研究」のための研究ではなく、社会実装まで至る活動を心がけたいと思います。

図 循環型社会研究プログラムのプロジェクト構成

 一方で、廃棄物の分別やその後の処理・処分、様々な有害廃棄物の管理の問題も重要な課題です。現場で起こっている問題を的確に捉えて、実践的かつ着実に問題解決に貢献するための研究も大切にしていきたいと考えています。また、今すぐに問題が顕在化しなくても、将来を見通して新たに生じる問題を予測し、将来に備えるための基礎的、基盤的な研究も進めていきます。

 さらに今付け加えなければいけないのは、このたびの東日本大震災の復旧・復興を支えるための知の結集を私たち循環センターが担わなければならないことです。特に、災害廃棄物処理は被災された方々の生活を取り戻すための最初の仕事になることから、適切な処理が円滑に進むように、主に技術的観点から現場を支援したいと考えます。また、現在の緊急的な復旧対応から今後は復興に向けた議論が始まるでしょう。そこには、循環型社会からみた新たな構想も必要になるでしょう。全身全霊を傾けて新たな社会づくりに貢献していきたいと考えています。

(おおさこ まさひろ、資源循環・廃棄物研究センター長)

執筆者プロフィール:

大迫 政浩

頼りない新米センター長です。いきなり震災という荒波の中に放り出され翻弄されています。このような非常時に、社会に対してどのような貢献ができるか自信はありませんが、周りの仲間に助けられながら、迷う暇もなく、大変な日々を過ごしています。

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