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「環境儀」No.18 外来生物から生物多様性を探る(平成17年10月号)

 日本には海外から多くの種類の生物が入ってきています。逃げ出した外国産の爬虫類などが話題になることもあります。環境儀第18号では,農業資材や観賞用として輸入された外国産の昆虫が,日本固有の昆虫たちの中に混ざり込んだときに危惧される問題を取り上げます。研究の対象はハウストマトの栽培時に受粉用として役に立っているセイヨウオオマルハナバチとペットとして子供たちに人気のある外国産のクワガタムシです。両方ともハウスの中や家庭内で活動している範囲では問題ないのですが,一旦外に出てしまうと,セイヨウオオマルハナバチが野生化して日本固有のマルハナバチ集団が危険な状態に陥ること,遺伝子のレベルでは性質の非常に異なる外国産と日本産のヒラタクワガタが交尾して雑種を誕生させてしまうことなどがわかりました。本号を通して,人間活動のグローバル化が進む今日,生物集団の地域固有性の保全について考えて頂ければと思います。

(「環境儀」第18号ワーキンググループリーダー 須賀 伸介)