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平成12年度国立環境研究所関係予算案の概要について

牛場 雅己

 平成12年度の国立環境研究所関係予算は,平成11年12月24日に閣議決定された政府案で総額約96.4億円とされています。これは,前年度当初予算に比べて約3.7億円,率にして3.9%の伸びです。

 ここでは,来年度から新たに開始される研究課題を中心に,その予算案の概要を紹介します。

1.研究予算の拡充

a.ダイオキシン類対策高度化研究費の創設
12年度70百万円(新規)

 ダイオキシン類対策の高度化を図るため,(1)新たな計測手法の開発 (2)生体影響評価に関する研究を開始します。

b.廃棄物対策研究費の創設
12年度35百万円(新規)

 「廃棄物対策を中心とした循環型経済社会に向けての展望と政策効果に関する定量的分析」として,経済発展と物質循環や廃棄物処理との関係,さらには各種政策効果についてリスク評価の視点を加味しつつ,シミュレーションモデルにより分析を行います

c.内分泌撹乱化学物質総合対策研究費の拡充
12年度374百万円(11年度362百万円)

 前年度に引き続いて(1)新たな計測手法に係る開発(2)環境中動態解明 (3)環境影響評価 (4)環境ホルモン対策の総合化に関する研究を推進するとともに,(3)を拡充し,脳・神経系への影響評価法に関する研究を開始します。

d.特別研究の推進
12年度189百万円(11年度213百万円)

 現在の社会的要請に基づく環境研究課題として,継続の4テーマに加えて,次のテーマに関する研究を開始します。

「沿岸域環境修復技術の生態系に与える影響及び修復効果に関する研究」(H12~14)

 多様な自然環境が存在する沿岸域の環境修復技術に対する科学的な評価を行うための手法の開発に関する研究を行います。

「淡水環境(湖沼・河川)の生態系保全と移行・周辺帯の環境管理に関する研究」(H12~14)

 水生植物帯,河畔林が果たす生態系機能を解明し,環境管理方策の検討を行います。

e.国際・国内的な各種研究プロジェクトの推進
12年度238百万円(11年度222百万円)

 国内外の各種の重大な環境問題に対処していくため,「開発途上国環境技術共同研究」の新規2課題(環境低負荷型・資源循環型の水環境改善システム,中国都市大気汚染による健康影響),継続1課題(大気エアロゾル計測・影響評価),「重点共同研究」の2課題(巨大河川流域管理,干潟生態系管理),「革新的環境監視計測技術先導研究」の新規1課題(大気汚染・温暖化関連物質監視技術),「環境修復技術開発研究」の1課題(海域の油汚染修復)について研究を行います。

2.環境情報センター事業の推進

12年度534百万円(11年度514百万円)

 環境情報の収集・整備のほか,インターネットのWWW及びファックス通信による環境情報提供システムの管理,運営を行います。さらに,新たに地理情報システムを活用した環境情報提供システムの整備を進めます。

3.地球環境研究センター事業の推進

a.衛星による地球環境観測
12年度805百万円(11年度869百万円)

 平成13年度打ち上げ予定の次期衛星センサーILAS-IIのデータ処理運用システムの改訂等を行うともに,その後継機SOFISのデータ処理システムの開発に着手します。

b.地球環境研究データベース化の推進
12年度193百万円(11年度192百万円)

 東アジア地域の熱帯林~寒帯林に関するデータベースを整備し,衛星画像データ処理により森林の二酸化炭素吸収量の推定を行うなど,地球環境研究にかかわるデータベースの整備を進めます。

c.地球環境研究モニタリングの推進
12年度663百万円(11年度720百万円)

 北方落葉針葉樹林での温室効果ガス長期観測の手法開発,体制整備を図りつつ観測を進めるなど,地球環境問題にかかわるモニタリングを進めます。

d.地球環境研究の支援等
12年度844百万円(11年度844百万円)

 地球環境研究者の交流の推進,スーパーコンピュータによる研究支援を引き続き行います。

(うしば まさき,研究企画官)