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第9回全国環境・公害研究所交流シンポジウム

平田 健正

 全国の環境・公害研究機関と国環研との交流シンポジウムは地域環境研究グル−プが担当して,2月22,23日に開催された。平成5年度は,トリクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物による土壌・地下水汚染の浄化対策をテ−マに12件の研究発表と総合討論が行われた。

 参加者は自治体と地方環境・公害研から97名,環境庁から4名,国環研から22名,合計123名であった。22日夜の懇親会にも多数の参加者があり,夜遅くまで情報交換や懇親を深めるなど,盛況であった。

1) 土壌・地下水汚染の調査

 効率よく浄化対策を実施するには,汚染源や高濃度に汚染されている土壌・地下水を特定する必要がある。その技術として,表層土壌ガス(土壌間隙中の空気)調査法が注目されており,汚染現地での調査事例,土壌ガス濃度の季節変化や各種土壌ガス調査法の精度比較について報告があった。また,殺菌剤 PCNBによる地下水汚染と農地からの流出特性についての最新の研究報告もあった。

2) 微生物分解

 微生物分解は,トリクロロエチレンなどの汚染物質を炭酸ガスにまで分解できる可能性があり,汚染の浄化技術として実用化が急がれている。この分解菌について,嫌気的および好気的条件下での分解菌の検索と単離・培養技術,検索した分解菌の能力や分解特性について報告があった。さらに,ガソリンで汚染された浅い地下水では,溶存酸素や硝酸性窒素濃度の低下とともに,ガソリン濃度も減少しており,好気的雰囲気でガソリンが分解されている現地調査結果も話題提供された。

3) 浄化対策事例

 浄化対策技術の選定・実施には,汚染物質の存在状況や汚染規模などの情報が必須であり,特に,地質構造解明の重要性が指摘された。続いて,汚染土壌の除去,汚染地下水の揚水や土壌ガスの吸引など,わが国の土壌・地下水汚染現場に適用されている技術の概要と浄化効果について報告があった。ただ,浄化対策には多額の経費がかかること,あらゆる汚染に有効な技術はないこと,などの問題点が浮き彫りにされ,効率よく浄化対策を実施するための浄化システム確立の必要性が強調された。

 以上の研究発表を受けて,総合討論ではトリクロロエチレンなどの分解産物や,難分解性でばっ気処理の難しい1,4-ジオキサンによる地下水汚染が相次いで報告された。さらに水質環境基準や土壌環境基準で基準の強化されたヒ素汚染の拡大,要監視項目に指定された物質による汚染の可能性など,多様化,広域化する土壌・地下水汚染のモニタリングや浄化対策システム確立の必要性が確認された。

シンポジウムプログラム

(1)土壌・地下水汚染の調査
  (1)土壌・地下水汚染調査への土壌ガスモニタリングの適用
    吉岡昌徳(兵庫県立公害研究所)
  (2)汚染現場における土壌ガス中有機塩素化合物の挙動
    野村幸弘(長野県衛生公害研究所)
  (3)土壌ガス調査法の比較
    大岩敏男(山形県公害センタ−)
  (4)野菜栽培地域における殺菌剤ペンタクロロニトロベンゼンの動態
    伏脇裕一(神奈川県環境科学センタ−)

(2)微生物分解
  (1)ガソリンによる地下水汚染地域における分解菌
    中熊秀光(熊本市保健衛生研究所)
  (2)土壌から分離した嫌気性細菌によるテトラクロロエチレンの分解
    矢口久美子(東京都立衛生研究所)
  (3)テトラクロロエチレン分解菌の汚染及び非汚染土壌からの分離と順化
    徳永隆司(福岡県保健環境研究所)
  (4)揮発性有機塩素化合物の微生物分解と汚染の除去
    矢木修身(国立環境研究所)

(3)浄化対策事例
  (1) テトラクロロエチレンによる地下水汚染とその対策について
    田中克正(山口県衛生公害研究センタ−)
  (2)浅層土壌の浄化対策
    秋山日東志(高槻市環境科学センタ−)
  (3)揮発性有機塩素化合物(VOCs)地質汚染の調査・対策の基本
    楡井 久(千葉県水質保全研究所)
  (4)土壌・地下水汚染の浄化技術と浄化効果
    平田健正(国立環境研究所)

(4) 総合討論
中杉修身(国立環境研究所)

(ひらた たてまさ,地域環境研究グル−プ有害廃棄物対策研究チ−ム)