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第8回全国環境・公害研究所交流シンポジウム

その他の報告

菅谷 芳雄

 全国の環境・公害研究所との研究交流シンポジウムが2月23・24日の両日にわたって開催された。今年度は地域環境研究グループが担当し,「化学物質の動態と影響」をテーマに12件の研究発表と討論が行われた。参加者は全国の環境・公害研究所に加えて,衛生研究所等から計70名,所内から43名であり,それぞれの日頃の研究成果を交流した。23日夜の懇親会でも各機関の研究の交流がなされ,参加者の間での共同研究を一層の推進することを確認しあった。

(1)「環境化学物質の動態」

 4件の発表は各々湖,海,都市河川,田園地河川における化学物質の挙動・動態を取りあげたものであるが,手法は多岐にわたるものであった。湖の堆積物中の物質を深さごとに分析すると各物質の経年変動が明らかになる一方,海藻(ワカメ)中の化学物質は水中の汚染をよく反映し指標性に優れていた。また,河川からは数々の農薬類が検出され,それぞれ特有の動態が発表された。

(2)「環境化学物質の生物影響」

 環境中に放出されている化学物質のうち主に農薬類を取り上げ,生物への影響についての発表であった。滋賀県からは琵琶湖に注ぐ河川の魚類への農薬の濃縮および排出実験とフィールド調査について,東京都からは都市河川の底生動物群集への影響調査が報告された。共に化学物質の生態影響評価・予測を目ざすものであるが,研究は緒についたばかりであり全国的な共同研究の必要性が強調された。

(3)「環境化学物質とアレルギー疾患」

 アレルギー疾患の1つであるスギ花粉症は国民の約10%が患者であるとされ深刻な社会問題である。そのため全国的に対策の一環としてスギ花粉の飛散量調査・疫学調査を行っており,各自治体から研究事例が発表された。群馬県では平成元年から調査を開始しスギ花粉飛散量予報が可能なまでになり,他の自治体でも大きな問題として取り組んでいる。さらに花粉症の発症には大気汚染が強く関与していることが示唆されており疫学調査(愛知県),動物実験(神戸市)による研究が紹介され今後の進展が期待される。

(すがや よしお,地域環境研究グループ化学物質生態影響評価研究チーム)

プログラム

第1セッション 「環境化学物質の動態」

  • 諏訪湖柱状底質にみる化学物質汚染の変遷
    寺沢潤一
    (長野県衛生公害研究所)
  • 洞海湾産海藻中の化学物質検索結果について
    花田喜文
    (北九州市環境衛生研究所)
  • 農薬の多目的利用がもたらす水系への影響
    福島  実
    (大阪市立環境科学研究所)
  • 田園地河川における水稲移植後の農薬の流出
    沼辺明博
    (北海道環境科学研究センター)

(第2セッション)「環境化学物質の生物影響」

  • 琵琶湖流入河川に生息する魚類の農薬汚染について
    津田泰三
    (滋賀県立衛生環境センター)
  • 河川の底生動物群集に及ぼす殺虫剤散布 およびPAC・オゾン処理の影響
    大野正彦
    (東京都環境科学研究所)
  • 農薬類複合汚染による生態影響の評価手法に関して
    畠山成久
    (国立環境研究所)
  • トリクロロエチレンとテトラクロロエチレンの行動影響
    梅津豊司
    (国立環境研究所)

第3セッション 「環境化学物質とアレルギー疾患」

  • 群馬県におけるスギ花粉症の研究
    萩原美紀
    (群馬県衛生環境研究所)
  • 神戸市におけるスギ花粉症調査について
    鈴木行夫
    (神戸市環境保健研究所)
  • 一般住民におけるアレルギー性疾患の有無とIgE抗体保有状況
    山崎  貢
    (愛知県衛生研究所)
  • ディーゼル排ガスとスギ花粉症発症の関連に関わる疫学研究 —予備調査結果の解析
    新田裕史
    (国立環境研究所)