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世界をリードする研究をめざして

巻頭言

環境庁企画調整局長 八木橋 惇夫

やぎはしあつお の写真

 本年7月に渡辺前局長の後を引き継いで企画調整局長に就任いたしましたが、この8月に初めて研究所を訪問させていただきました。

 「国立公害研究所」から「国立環境研究所」に生まれ変わって1年と少しが経過し、新しい体制下で研究者の皆様方が最先端の研究に日夜精励しておられる姿を拝見し、大変心強く思いました。この9月に英国のサッチャー前首相が研究所を訪問された際に、サッチャー氏が研究所の施設や研究内容に大いに感心されていたのは、研究所の日頃の努力の成果であると思われます。

 地球環境問題の解決に向けて、世界全体での取り組みが求められており、ことに地球の資源に依存し、今日の繁栄を築いてきた我が国は、世界の「持続可能な開発」のために積極的に努力する責務があります。かつて、激甚な産業公害を体験し、それを克服してきた我が国にとって、環境保全問題は最もふさわしい国際貢献の分野であると確信いたします。

 環境政策は、科学的基礎に基づいて形成され、実施されるものであり、環境研究の充実は政策を進めていく上で不可欠であります。とりわけ、地球環境問題は世界全体の環境資源と人間の経済活動にかかわっており、科学的に未解明な分野も多いため、国際・国内の両面にわたる政策づくりの基礎として、一層国際的、学際的な研究の推進が求められています。この分野における我が国への期待には、大きなものがあります。とかく日本人研究者の貢献度は外国、特に米国と比較すると十分でないと言われておりますが、真に地球環境保全のために世界に貢献して行くには、環境研究分野でこれまで以上の努力が必要と思われます。私もこのため全力を傾注したいと考えておりますが、研究所におかれても、研究者一人一人の資質を十分生かし、世界をリードしうる研究活動を今後とも進められますよう切に望むところであります。

(やぎはし あつお)