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環境研究総合推進費による研究(地球環境研究)


10.先駆的地球環境研究


〔担当者〕
社会環境システム部 田村正行・清水 明・山形与志樹・趙 文経
   下線は研究代表者を示す

〔目 的〕
 植生の種組成分布やバイオマス分布など陸域生態系の空間構造は,地球規模での環境の状態を評価する上で最も基本的なパラメータの一つである。その変化は,熱帯林の減少や砂漠化,生物多様性の減少など地表面の変動に直接的にかかわる問題においてはもちろんのこと,地球温暖化などのより広域的な地球規模での環境変動に対しても地表面での物質,エネルギー収支の変化を通じて大きな影響を及ぼす。このため,生態系の空間構造とその変化を全地球レベルで計測,評価することが地球環境問題に取り組む上での最も重要な課題の一つとなっている。しかしながら,局所レベルから全地球レベルまでを対象として,生態系の構造を計測し,その動態を評価することは現時点では極めて難しく,いまだに十分なデータ,知見が得られていないのが実状である。本研究は,陸域生態系の最も基本的な構成要素である植生に焦点を合わせ,その三次元構造とその変動を計測するための観測システムを構築することを目的とする。一本の樹木のレベルから全地球レベルでの植生分布までを対象とするため,地上調査による方法から航空機,人工衛星を利用したリモートセンシング手法までの多段階観測手法を開発 し,さらに,その動態を評価するための構造変動モデルを開発する。

〔内 容〕
 陸域生態系の変化を把握しその地球環境における役割を解明する上で,リモートセンシング画像データ,特に人工衛星データは強力な武器である。人工衛星を利用することにより広域の地表面を定期的に観測し,現在起こりつつある変化を実証することが可能である。また,地球環境を駆動する生物地球化学的プロセスをモデル化する際に,衛星データを入力データあるいは検証データとして用いることにより,精度の高いモデル開発が可能になる。さらに,大陸レベルで二酸化炭素など温暖化ガスの収支を推定する上で,陸域生態系の分布や変動に関する衛星データは不可欠である。
 本研究では,種々の衛星センサを用いて植生の種類,分布,バイオマス,及び季節・経年変化等を計測する手法の開発を行う。本年度は,航空機搭載シミュレータによる先端的センサデータ(超高分解能センサデータ及びハイパースペクトルセンサデータ)の取得,レーザ樹高計の開発着手,衛星データの地形・大気補正手法の検討,及び衛星データの現地検証手法の開発を行った。

〔成 果〕

(1)人工衛星データを利用した陸域生態系の3次元構造の計測とその動態評価に関する研究
 本年度は,航空機搭載シミュレータによる先端的センサデータ(超高分解能センサデータ及びハイパースペクトルセンサデータ)の取得,レーザ樹高計の開発着手,及び衛星データの地形・大気補正手法の検討を行った。
 1)航空機搭載シミュレータによる先端的センサデータの取得
 1997年中に,超高分解能センサを搭載した衛星(アーリーバード),及びハイパースペクトルセンサを搭載した衛星(ルイス)が打ち上げられたが,いずれもオペレーションに失敗した。そこで本年度は,航空機搭載シミュレータにより衛星センサと同等のデータを取得しその解析を行った。超高分解能センサデータとしては,航空機搭載DMSV(Digital Multi Spectral Video)を用いて,尾瀬周辺の植生画像を地上分解能約1mで取得し,解析を行った。ハイパースペクトルセンサデータとしては,航空機搭載ハイパースペクトルセンサを用いて米国で撮影した画像を入手し,画像中の代表的なスペクトルパターンを抽出した。
 2)レーザー樹高計の開発
 衛星センサを使った樹高測定と地上からの測定を媒介するものとして,航空機搭載型のレーザー樹高計の開発を開始した。本装置は,航空機からレーザーを放射し,植生によって反射される信号を解析することにより,樹高,鉛直方向のバイオマス分布等を計測するものである。本装置によって航空機の航跡に沿った線上でバイオマスが測定され,さらに衛星センサデータと比較することにより,樹高分布を面的に推定することができると考えられる。本年度は装置を高層の建物に設置し,基礎的な試験を行った。
 3)大気・地形影響の補正手法の検討
 衛星センサが受ける信号には,地上のターゲットからの放射に加えて,大気による散乱光や,ターゲット周辺の地表からの影響が含まれている。これらは地表のターゲットを識別する上では外乱となる成分であり,その影響の度合いは大気の状態,地形及び標高により異なる。多時期の衛星画像を用いる場合,データの質をそろえるために,大気の影響を除去することが必要である。また,日本のように山岳地の多い場所で植生を正確に分類するためには,大気影響の補正に加えて,地形による影響の補正を行う必要がある。
 大気・地形影響の補正手法を検討するために,福島県の関地区のLANDSAT/TM画像を用いて解析を行った。同一の植生群落と分類されている地点においても,衛星データは大きなばらつきを持つことが判明した。これらは,主に地形影響と標高の差による太陽光線散乱光の違いによるものと考えられる。現在,これらの影響を補正するために地形効果を考慮した大気散乱モデルによる解析を実施中である。
[発 表]C-33,36,41〜45


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