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経常研究


大気圏環境部


研究課題 1)光イオン化質量分析法によるクラスター分子及びフリーラジカルの研究
〔担当者〕 鷲田伸明
〔期 間〕 昭和60年度〜平成10年度(1985〜1998年度)
〔目 的〕 光イオン化質量分析法はフリーラジカルの直接検出や,クラスターの分子内イオン反応の研究に適している。本研究は光イオン化質量分析法を用いて,大気中の光化学反応とかかわりの深いフリーラジカル反応の速度・機構の研究を行う。
〔内 容〕 光イオン化質量分析計の検出感度を従来の常識の100倍に向上することに成功した。そのために,フリーラジカル反応研究に新しい展開が可能となった。本年度は光化学スモッグとかかわりの深い芳香族炭化水素の大気中での光酸化反応に関するラジカルとOの反応速度,反応機構に関する研究を行った。
〔発 表〕 F-1,26〜30,f-3〜10,68〜70,74〜77

研究課題 2)大気微量成分の分光学的方法によるモニタリング
〔担当者〕 井上 元
〔期 間〕 平成7〜9年度(1995〜1997年度)
〔目 的〕 大気微量成分濃度を分光学的に測定することは,(1)サンプリングや分離などの操作をせず大気中でIn Situで測定できる点,(2)応答速度が速いこと,(3)自動化が容易であることなどの利点を持っている。他方,測定のダイナミックレンジが狭く,温室効果気体のように濃度が高く,その濃度を高精度で測る目的には必ずしも適していない。本研究では測定精度を決める要因を明らかにし,改良方法を検討することを目的とする。
〔内 容〕 酸素の吸収を高精度で測定する目的で,Krのラジオ波での無電極放電光源を利用することを検討した。交流放電に伴う光源の20kHzの変調を利用した同期増幅方式で1秒の時定数で3桁の測定精度が出ることが明らかになった。
 非分散赤外吸収法による二酸化炭素測定において,参照ガスと試料ガスを交互に別のセルに切り替える方式でSNの向上試験を行った。流量を上げ,ガスの切り替え頻度をあげ,さらにdead volumeの削減により,大気濃度の二酸化炭素で10ppbの変化を時定数30秒で測定できることがわかった。
〔発 表〕

研究課題 3)熱帯対流活動の地球規模効果についての基礎的研究
〔担当者〕 高薮 縁
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 熱帯域積雲対流活動は,エネルギー・水の輸送過程を介して地球規模の大循環及び放射過程に影響を及ぼす。本研究では,個々には小スケールである積雲対流活動と,グローバルスケールの現象とが,いかなる機構で結合するかを解明することを目的とする。
〔内 容〕 雲活動が気候にもたらす放射効果を衛星データから見積もる際の検証解析として,気候監視のための国際的基準を満たす館野観測点の放射及び気象観測データを用いて1996年の1年間に雲が地表面短波放射量に及ぼす効果を定量的に見積もった。
〔発 表〕 f-60,62,64

研究課題 4)低気圧性渦におけるラグランジュ的流体運動の数値的研究
〔担当者〕 菅田誠治
〔期 間〕 平成8〜11年度(1996〜1999年度)
〔目 的〕 対流圏中緯度における大気塊の南北運動を調べると,多くの南北運動は数日以下の短い時間スケールを持つ単振動的運動であり,より長い時間スケールで見て実質的な南北物質輸送が活発に起きるのは限られた経度帯であり,かつその位置は大陸性気団の位置と強い関係があることがわかっている。本研究では,低気圧のライフサイクルおよび大陸性気団と活発な経度帯との関係を調べることを目的とする。
〔内 容〕 大気大循環モデルにより得られた大気循環中で,中緯度域での高低気圧周辺での多数空気塊のラグランジュ的運動を調べ,その南北輸送強度の時間・経度変化を調べた。その結果,実質的南北輸送が活発に起きるのは衰退期の移動性低気圧および高気圧に対応する位置であり,同時に移動性高低気圧の衰退しやすい経度帯は大陸性高低気圧気団の縁辺に位置していることがわかった。
〔発 表〕 f-43

研究課題 5)陸面大気間の水循環的相互作用の研究
〔担当者〕 江守正多
〔期 間〕 平成9〜12年度(1997〜2000年度)
〔目 的〕 陸上の降水がどのような条件により規定されているかを明らかにすることは,気候変動における降水量予測などと密接に関連しており重要である。この問題には,陸面の状態が降水により変化し,逆に降水過程が陸面の状態に依存するという相互作用が重要な役割を果たしていると考えられる。本研究では,陸上の乾湿の状態と降水過程との相互作用が陸上の降水量をいかに規定しているかを解明することを目的とする。
〔内 容〕 様々な空間スケールと複雑さを持つ大気陸面システムの数値モデルを用いた実験を行い,土壌水分量とその空間分布が陸上の降水過程に及ぼす影響,降水過程による土壌水分の変動,およびその結果として形成される相互作用について解析した。これに伴い,陸面の乾湿の状態を適切に表現しうる陸面過程の数値モデルの構築,大気モデルによる降水過程の再現性の検証とモデルの改良などを行った。
〔発 表〕 f-12,28,30

研究課題 6) 大気化学に係わる気相化学反応の速度論的研究
〔担当者〕 今村隆史
〔期 間〕 平成9〜12年度(1997〜2000年度)
〔目 的〕 大気中の微量成分の変質過程や生成過程について,その反応機構や反応過程と係わる素反応(含光分解過程)の速度や分岐比を明らかにし,大気化学反応モデルのための基礎データを提出する。本研究では対流圏での光化学オゾンとハロゲン化合物の相互作用を明らかにし,ハロゲン化合物の存在によるオゾン濃度変動に係わる気相反応を明らかにすることを目的とした。
〔内 容〕 本年度は,対流圏光化学オゾンに対するハロゲン化合物添加の影響を調べた。光化学オゾンはNOx存在下での炭化水素の光酸化反応によって生成した。擬定常状態にある光化学オゾンに対し,ハロゲン分子を添加すると,光化学オゾン濃度の減少が観測された。化学反応モデルよりオゾン濃度の減少は,XO(X=Cl,Br,I)によるNO/NO比の変化を伴う反応を仮定しなければならないことがわかった。
〔発 表〕 F-28,f-6,8,10

研究課題 7)反応性大気微量成分の動態に係わる生成・変換過程の研究
〔担当者〕 酒巻史郎
〔期 間〕 平成5〜11年度(1993〜1999年度)
〔目 的〕 大気中の光化学反応に関与する窒素酸化物や炭化水素等の大気微量成分の動態解明を目的として,フィールドでのこれら成分の観測を通じてその生成・変換過程を検討する。
〔内 容〕 北海道落石岬モニタリング・ステーションにおいて平成7年9月末より連続測定を開始した窒素酸化物及びオゾンの濃度変動を解析し,移流大気とそれらの季節変動について検討した。また,平成9年5月より沖縄県波照間島モニタリング・ステーションにおいて窒素酸化物の測定を開始した。
〔発 表〕 f-41

研究課題 8)FTIRを用いたラジカルの反応機構に関する研究
〔担当者〕 猪俣 敏
〔期 間〕 平成6〜9年度(1994〜1997年度)
〔目 的〕 大気中においてラジカルは極めて反応性が高いために様々な反応に関与している。このようなラジカル反応の反応メカニズムを明らかにすることは,大気中での様々な現象を理解するうえで必要となる。本研究においては,光化学チャンバーを用い,検出器にFTIRを用いて反応物・生成物の時間変化から,気相中での反応機構を解明することを目的とした。
〔内 容〕 炭化水素-NOx-Air-hv系において温度変化が光化学オゾン生成にもたらす影響に注目した。炭化水素としてプロピレン,トルエンを用いたところ,顕著な違いが見られた。これはトルエンの光酸化でできる共鳴構造を持つラジカルが鍵となっていると考えられた。そこでこの種のラジカル(シクロヘキセニル,ペンタジエニル)と酸素分子の反応の温度依存性を調べ,これらの反応は比較的低温で反応しなくなることを見いだした。
〔発 表〕 f-3,4,6

研究課題 9)質量分析法による大気化学に関わるラジカル反応の研究
〔担当者〕 古林仁
〔期 間〕 平成6〜10年度(1994〜1998年度)
〔目 的〕 大気中で生じる様々な化学反応において,様々なラジカル種が反応機構・速度を決定する上で重要な働きをしている。本研究は,質量分析法やレーザー分光法を用いて大気中での化学反応に関与するラジカルを直接・高感度に検出し,大気化学に関わる化学反応に関与するラジカル種の同定や,それらのラジカルの関与した反応の反応機構・反応速度定数を決定することを目的とした。
〔内 容〕 前年度に引き続き,レーザー誘起蛍光法を用いてハロゲン(フッ素・塩素)置換エチレンや,メチル置換エチレンと酸素原子の反応生成物の蛍光を測定し,発光している化学種がビノキシ型のラジカルであることを明らかにした。また,これらのエチレンと酸素原子の反応機構や,ハロゲン・メチル置換におけるビノキシ型ラジカルの蛍光の波長移動の傾向についての検討も行った。
〔発 表〕 F-26,28,f-5,68,69

研究課題 10)静止軌道衛星を利用したレーザー長光路大気微量分子監視システムのための狭帯域赤外波長可変レーザーの基礎的研究
〔担当者〕 杉本伸夫
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 人工衛星に搭載した分光計と地上から発射するレーザー光を用いたレーザー長光路吸収法による大気観測システムは,対流圏の種々の大気微量分子の観測に有効であると期待される。本研究では,このシステムを実現するために必要な狭帯域赤外波長可変レーザー手法について理論的および実験的研究を行う。
〔内 容〕 狭帯域の波長可変レーザー光源として,PPLN(Periodically polarized lithium niobate)を用いた光パラメトリック発振器と,光音響素子を用いた可視領域の波長可変レーザーを基礎とする波長変換法について考察した。また,RISの測定データに基づいてレーザー光の地上衛星間の伝搬特性について検討した。
〔発 表〕

研究課題 11)ミー散乱レーザーレーダーネットワークによる大気環境モニタリングに関する研究
〔担当者〕 松井一郎
〔期 間〕 平成7〜9年度(1995〜1997年度)
〔目 的〕 ミー散乱レーザーレーダーによる観測ネットワークはエアロゾルの長距離輸送や都市大気汚染現象の把握など種々のスケールの大気環境問題において有力な観測手段となる。本研究では技術的な観点からミー散乱レーザーレーダーによる観測ネットワークの構築にかかる基礎的研究を行うとともに,データの利用手法の開発など応用に関する研究を行うことを目的とする。
〔内 容〕 国立環境研究所小型レーザーレーダーの運転を自動化する技術を開発した。これによって,最小限の保守作業で長期間安定してレーザーレーダー観測を行うことが可能となった。さらに測定データを一定時間ごとに自動処理してクイックルックデータをインターネット上に公開するシステムを製作した。これを用いて,日本各地のレーザーレーダー研究者で構成される黄砂のネットワーク観測に参加した。
〔発 表〕 f-53,70〜73

研究課題 12)大気微量分子の遠隔計測のための高分解分光計測手法の研究
〔担当者〕 古閑信彦
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 大気環境問題に関する大気中微量分子濃度を遠隔計測する高分解分光手法に関して,近紫外からミリ波にいたる領域において調査し,将来の衛星センサー等の可能性を評価する。
〔内 容〕 前年度の調査の結果,対流圏の観測ではライダーや長光路吸収測定などの能動的な手法が有効であると考えられることがわかった。本年度は長光路吸収測定についてさらに調査を進めた。その結果,将来の高感度測定においては,光源の開発が最も重要であると考えられることがわかった。
〔発 表〕

研究課題 13)大気中における微小粒子分散系の生成,時間発展および沈着に関する研究
〔担当者〕 福山 力
〔期 間〕 平成9〜14年度(1997〜2002年度)
〔目 的〕 微量大気成分から気相−凝縮相転移によりエアロゾル粒子や微小水滴が生成し,粒子−気体および粒子−粒子相互作用を経て沈着により除去される過程を調べ,多相系としての大気の物理・化学的特性を明らかにする。
〔内 容〕 前年度に引き続き全長425mの立坑を用いて人工雲を発生させる実験を行った。新しい試みとして雲核となり得る塩化ナトリウムや塩化リチウムの水溶液を坑底で噴霧し,雲粒濃度および雲粒径に及ぼす影響を坑頂で観測した。その結果,上記の無機塩噴霧により雲粒濃度が著しく増加し,また粒径分布は大粒径側に向かって長い裾が伸びることが認められ,定量的解析により凝縮速度に関する知見が得られることがわかった。
〔発 表〕 F-3,23〜25,f-66

研究課題 14)多相雲化学過程に関する基礎的研究
〔担当者〕 内山政弘
〔期 間〕 平成9〜14年度(1997〜2002年度)
〔目 的〕 雲の物理・化学特性および過程は大気中の様々な過程と深くかかわっている。例えば酸性質の沈着,大気中の成分の酸化過程,大気放射過程などである。雲と大気中の他の成分(エアロゾルやガス)との相互作用を定量的に把握することを目的とする。研究は主として深さ500mの立坑に人工曇を発生させ,この系に凝結核の種撒あるいはエアロゾルやガスを添加することによる雲の変動を観測することにより行う。
〔内 容〕 深度500mの立坑において上昇気流により人工雲を発生させた。坑底で化学組成の異なる数種類の凝結核を添加し,これによる坑頂での雲粒の粒径分布の時間変動を観測した。坑頂で観測された雲粒の分布は凝結核の添加により顕著な個数濃度および大粒径雲粒の増加が観測された。しかし,凝結核の種類による粒径分布の差異は明確には観測されなかった。これはラウール効果が雲の生成過程においてあまり重要ではないことを意味している。
〔発 表〕

研究課題 15)モニタリングステーションにおける大気中のメタンと亜酸化窒素の連続観測
〔担当者〕 遠嶋康徳
〔期 間〕 平成9〜10年度(1998〜1999年度)
〔目 的〕 大気中の微量気体成分であるメタンと亜酸化窒素は温室効果気体であり,その増加による地球の温暖化が懸念されている。本研究では,国立環境研究所が落石岬と波照間島のそれぞれに所有するモニタリング・ステーションにおいてメタンや亜酸化窒素の長期連続観測を行い,それらの大気中の濃度変動を明らかにすることを目的とする。
〔内 容〕 波照間・落石でメタン,波照間で亜酸化窒素の連続測定を行った。およそ2年間の観測から,波照間でのメタン濃度の季節変動の振幅が落石での振幅に比べて大きいことがわかった。このような大きな振幅は,冬に大陸から高濃度の空気が,夏に太平洋から低濃度の空気が波照間に流入するためと考えられる。亜酸化窒素は2年間を平均すると毎年約0.7ppbの割合で増加していることがわかったが,明瞭な季節変動は見られなかった。
〔発 表〕

研究課題 16)大気中の温室効果気体に関する基礎的研究
〔担当者〕 高橋善幸
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 大気中に存在する温室効果気体の挙動を詳細に知るためには,その発生源あるいは吸収源が何処にどのくらいの大きさで存在しているのかという点を十分に把握する必要がある。本研究では,二酸化炭素とメタンの高精度な分析方法を確立し,その同位体分析を行うための手法を確立することを目的とする。
〔内 容〕 前年度作成したガスクロマトグラフィーによる温室効果気体の測定装置を改良し,大気中の二酸化炭素の同位体分析を行うために必要な試料濃縮装置を作成した。また,微量試料からメタンの炭素安定同位体比を測定する手法を開発した。
〔発 表〕

研究課題 17)対流圏高−低緯度大気間物質輸送パイプラインの季節・気候依存性の研究
(奨励研究A)
〔担当者〕 菅田誠治
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 大気大循環モデル(GCM)の風データを用いた大気塊の軌跡の解析により北半球中緯度の冬季に高−低緯度大気間の南北物質輸送を妨げるバリアとなる緯度帯が存在し,かつ,その緯度帯でも相対的に物質が通過しやすいパイプライン的役割を果たす経度帯が存在することが示唆されている。複数年の客観解析データの風データを用いて,現実大気中でのパイプライン的経度帯の季節・年変動特性を調べることが本研究の目的である。
〔内 容〕 1993年4月から1996年3月までの客観解析データ(ECMWF)を用いて,三年間の両半球中緯度における南北物質輸送を調べた。両半球とも夏季と冬季に明確なバリアが存在するが,他の季節では弱い。バリアの南北位置は大きく季節変動する。冬季に東アジアから日本付近にかけて位置するパイプラインは,年によらず強固なものであることがわかった。対流圏界面における鉛直物質交換についても調べた。
〔発 表〕

研究課題 18)パルスレーザー長光路吸収法による大気微量分子計測の測定限界に関する研究(奨励研究A)
〔担当者〕 古閑信彦
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 パルスレーザーを用いた長光路吸収法による大気微量分子の計測において,測定精度を制限する要素を明確にし,測定限界を明らかにするとともに,その改善の可能性を探る。
〔内 容〕 パルスレーザー長光路差分吸収法による大気中微量分子濃度測定における誤差要因について,2台の炭酸ガスレーザー光源を用いて実験的に評価した。その結果,2台のレーザーのビームパターンの微妙な違いが測定精度を制限していると考えられることがわかった。濃度測定の到達精度として,1shot当たりの受信光強度比の信号対雑音比が15という値を得た。
〔発 表〕 f-38

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