| 研究課題 |
14)環境アレルゲンに対する免疫リスク評価のための予備的研究(奨励研究B) |
| 〔担当者〕 |
藤巻秀和・野原恵子・牛尾博子・小林隆弘・新田裕史*1(*1地域環境研究グループ) |
| 〔期 間〕 |
平成9年度(1997年度) |
| 〔目 的〕 |
最近のアレルギー疾患の増加に大気中の環境因子がどのように関与しているのか明らかにすることは,緊急な環境研究の課題である。アレルギー反応をつかさどる免疫応答系を標的とした環境因子の免疫リスクを評価するための予備的研究として,in
vitroのヒト細胞培養系で環境化学物質と生物アレルゲンの作用について比較検討した。また,実際のヒトの居住環境とアレルギー反応の誘導に働く因子との関連性についても血清中の因子について検討した。
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| 〔内 容〕 |
ヒト培養細胞として皮膚免疫で重要な役割を果しているケラチノサイト,アレルギー反応に関与する好塩基球類似のヒト培養好塩基球(KU812)を用いて,ホルムアルデヒドの作用を検討した。ケラチノサイトの増殖については,0.5と1.5μg/mlの濃度では影響がみられなかったが,0.25μg/mlでは培養3日目に細胞数の有意な増加がみられた。生物アレルゲンとしてのスギ花粉抗原(JCP)では1〜40μg/mlの濃度で影響はみられなかった。KU812細胞の増殖はいずれの濃度でも差はみられなかった。サイトカイン産生への作用について,ケラチノサイトからのIL-1β,IL-8産生にホルムアルデヒドのみでは影響はみられなかった。しかし,活性化物質としてのPMAの存在下ではIL-1β産生は5μg/mlで,IL-8産生は0.5μg/mlで亢進がみられた。JCPは,単独でもPMAとの併用のときでもケラチノサイトからのサイトカイン産生には影響を与えなかった。培養3日目で,KU812細胞では,ホルムアルデヒド,JCPそれぞれ単独ではサイトカイン産生は誘導されなかった。ところが,PMAとイオノマイシンで活性化したKU81
2ではホルムアルデヒドの作用によりIL-6とTNF-α産生の抑制がみられた。次に,大気汚染度の異なる2地域で過去に継続的に収集された呼吸器症状と血清IgE値の情報に基づいて,症状がなくIgE値が低い群と非特異的IgE値が高値を示した群を研究対象に選び,血清中の免疫系の諸因子を測定した。大気汚染度の低い地域では両群の間に接着分子としてのsL−selectinとsVCAM-1で差がみられたが,大気汚染度の高い地域では差がみられなかった。大気汚染度の高い地域と低い地域で全体の平均値として差が認められる項目もあったが,アレルギー群と非アレルギー群との比較結果は一貫しておらず,大気汚染をはじめとする環境条件の違いを検討するためにはさらにデータの蓄積が必要である。
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| 〔発 表〕 |
E-30〜32,34,e-44,46〜48 |