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経常研究


環境健康部


研究課題 1)環境有害因子の健康影響評価に関する研究
〔担当者〕 遠山千春・小林隆弘
〔期 間〕 平成7〜10年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 環境有害化学物質の健康影響に関するリスク評価および計測手法のための文献収集およびレビューを行うことを目的とした。
〔内 容〕 環境有害化学物質のなかで,ダイオキシン,紫外線,重金属,並びに浮遊粒子状物質の直径2.5mm以下の粒子(PM2.5)の健康影響に関するリスク評価および計測手法のためのレビューを行い,実験的検討も行った。また,土壌中ダイオキシンが浮遊した場合の暴露および取り込み量の評価を行った。
〔発 表〕 E-24〜26,e-20〜25,28,30,31,34〜36

研究課題 2)炎症細胞の遊走に関する基礎研究
〔担当者〕 小林隆弘
〔期 間〕 平成6〜10年度(1994〜1998年度)
〔目 的〕 ぜん息,花粉症などへの大気汚染物質の影響の機構を解析する際に抗原抗体反応および大気汚染物質による炎症細胞の浸潤および浸潤した細胞の相互作用について検討することが重要である。そこで,抗原抗体反応により浸潤してくる好酸球と好中球の相互作用およびオゾン暴露による炎症過程における抗原提示細胞の挙動などについて検討することを目的とする。
〔内 容〕 本年度は抗原提示細胞であるマクロファージ,B細胞,樹状細胞が大気汚染物質であるオゾンに暴露された場合どのような挙動を取るか凍結切片の免疫染色を行い気管の上皮および上皮下について検討した。マクロファージ,B細胞数には変化が見られなかったが,樹状細胞数は一過的な増加の後減少することを見いだした。
〔発 表〕 e-19

研究課題 3)T細胞分化の解析法に関する研究
〔担当者〕 野原恵子・藤巻秀和
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 T細胞は種々のサブセットに分化することによってそれぞれ異なった機能をもつようになり,免疫反応を担当しまた調節する。近年環境中の汚染物質がT細胞サブセットの分化に影響を及ぼして免疫機能を変化させ,その結果例えばアレルギーの増加にも関与している可能性が示唆されている。本研究は,T細胞分化への環境汚染物質の影響を感度よくスクリーニングし評価するための方法やマーカーの開発を目的とする。
〔内 容〕 GD1c(NeuGc,NeuGc)ガングリオシドに対して作製されたモノクローナル抗体AC1は,ラットヘルパーT細胞の中のサブセットを検出する。この細胞の分布を調べた結果,ヘルパーT細胞がCD45RC−Thy1.1+(未成熟)細胞を経てCD45RC+(ナイーブ),CD45RC−Thy1.1−(メモリー)細胞へと分化するにつれてAC1+細胞の比率が減少することが明らかとなり,AC1が分化と密接な関係をもつマーカーであることが示された。
〔発 表〕 E-28,29,e-40〜43,45

研究課題 4)人,家畜と野生動物の共生,生存に関する基礎的研究
〔担当者〕 鈴木 明・高橋慎司*1(*1地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕
〔内 容〕 前年度に引き続き,ザンビア大学獣医学部はレーチェ(大型のカモシカの仲間:K. k. Lechwe)と国立公園近在の牛やイヌから採血し,ブルセラ症の診断を血清学的に行い,家畜と野生動物の混在は共通伝染病にとって,大きなリスクであることが確認された。そこで,家畜と野生動物が混在する可能性のあるザンビアの国立公園について,管理事務所にアンケート調査を行ったところ,19の国立公園(国土の約8%)およびその周辺地域のうち,12カ所で,混在する危険性が高いことが判明した。国立公園の周辺地区では,貧しい集落が多く,家畜のコントロールが困難であることも明らかになった。そして,このことは,家畜と野生動物の共存形態を取らざるを得ない開発途上国に共通の問題と考えられた。
〔発 表〕

研究課題 5)有害大気汚染物質と心・循環機能について
〔担当者〕 鈴木 明
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕
〔内 容〕 前年度までに,NO2吸入ラットの異常心電図では,P波,QRS波及びSTセグメントの周波数が低下し,PQ間隔の延長から心臓内の刺激伝導系及び心筋活動が非同期化していることを明らかにした。本年度は,さらに詳細に心拍数の変動を分析し,NO2暴露は,暴露初期に一時的な交感神経緊張後,副交感神経優位を示し,A-Vブロックの異常心電図を発現する。しかし,暴露期間が長くなると,交感神経の緊張が優位になり,自律神経のバランスが経時的に変化することが判明した。
〔発 表〕

研究課題 6)環境因子の生体影響を評価するための遺伝子導入動物を用いたバイオアッセイ手法の開発
〔担当者〕 青木康展・松本 理・石堂正美・佐藤雅彦
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 環境因子に対して高感受性の遺伝子導入動物あるいは環境因子をモニターするための遺伝子を導入した動物を開発する。これらの動物を用いて,環境中に存在する化学物質や紫外線などの低濃度・長期暴露に起因する生体影響を評価する手法を確立する。
〔内 容〕 本年度は次の研究を実施した。(1)環境水中の変異原物質を検出するためのゼブラフィッシュの開発を進め,安定したモニター遺伝子導入個体を確立した。この遺伝子導入魚の胚にエチルニトロソウレアを暴露したところ,濃度依存的にモニター遺伝子上に変異が発生していた。成魚を用いて同様の検証を進める予定である。(2)活性酸素種を消去するタンパク質であるメタロチオネイン遺伝子を欠損させたマウスの皮膚に発がん物質であるDMBAを塗布したところ,野生型のマウスよりも低い濃度でパピローマが発生した。メタロチオネインは皮膚がんの発症を軽減する要因である可能性が示唆された。
〔発 表〕 E-5,22,e-1,2,20〜28,35,37

研究課題 7)NMRによる生体の無侵襲診断手法の研究
〔担当者〕 三森文行・山根一祐・足立達美
〔期 間〕 平成8〜12年度(1996〜2000年度)
〔目 的〕 In vivo NMRの手法を用いて,従来の諸方法ではアプローチできない,生きている生体内臓器の代謝機能等を無侵襲的に解析する方法の開発を行うことを目的とする。生体内の臓器の機能を評価するためのNMR分光法,イメージング法の開発を行い,それを応用して,各種化学物質や,物理的環境要因が臓器の代謝機能に及ぼす影響を明らかにすることを目指す。
〔内 容〕 脳における物質の拡散速度の画像化法を実現するために,ラット頭部を測定対象とするNMR信号検出器,頭部固定装置を作製した。これを用いて,正常ラット,メチル水銀中毒ラット脳の水分子の拡散速度を測定した。正常ラット脳では脳皮質のカラムに平行な方向の拡散が直交方向より有意に長く,拡散異方性が観測された。中毒ラットではカラム直交方向の拡散速度が有意に延長し,拡散異方性が解消される方向の変化が見られた。
〔発 表〕 E-40,41,e-56〜59,61,62

研究課題 8)神経毒性指標としての脳アンキリンの分子生物学的解析に関する研究
〔担当者〕 国本 学・足立達美
〔期 間〕 平成7〜9年度(1995〜1997年度)
〔目 的〕 脳アンキリンは,440kDと220kDの少なくとも二つのイソ型からなり,特に440kD ankyrinBは神経細胞傷害の高感度マーカーとしての利用の可能性が明らかになりつつある。本研究では,未だ不明な点が多い脳アンキリンの分子生物学的な解析を行うことを目的とした。
〔内 容〕 脳アンキリンの二つのイソ型の脳神経系発生段階のごく初期(胎生期)における局在を他の神経細胞マーカーと比較検討した。440kD ankyrinBは,神経軸索の伸展に関与することが明らかにされているGAP(Growth−associated protei)-43と発現時期,局在も極めてよく一致し,実際の脳組織内でも神経細胞の分化の初期段階である神経軸索の伸展に関与していることが示唆された。一方,220kD ankyrinBは比較的広範に存在し,神経細胞のみならず,その前駆細胞,あるいは非神経細胞でも発現されていることが示された。
〔発 表〕 E-14,16,e-15

研究課題 9)マウスにおける行動毒性試験法の確立に関する研究
〔担当者〕 梅津豊司
〔期 間〕 平成9〜12年度(1997〜2000年度)
〔目 的〕 環境中には莫大な種類に及ぶ化学物質が含まれており,その暴露を受けながら我々は生活している。それら化学物質が健康に及ぼす影響が懸念されるものの,生体影響が良く調べられている化学物質はわずかな種類に限られる。本研究では,環境化学物質がヒトの精神機能に及ぼす影響を効率良くかつ的確に評価するための,マウスにおける行動毒性試験法の体系の確立を目指す。
〔内 容〕 各種行動試験法をICR系マウスに適用できるかどうか,また適切な条件設定を検討し,次いで実際の環境化学物質をその手法で検討する。今回は,正向反射,ブリッジテスト,正強化オペラント行動,Vogel型コンフリクト課題及びGeller型コンフリクト課題のマウスへの適用を検討し,これらの手法によってトリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,1,1,1-トリクロロエタンに正向反射消失作用,ブリッジテストでの成績の悪化作用,正強化オペラント行動抑制作用,Vogel型及びGeller型コンフリクト課題での抗コンフリクト作用があることを証明した。
〔発 表〕 E-6,7

研究課題 10)大気汚染物質の個人暴露評価法に関する研究
〔担当者〕 小野雅司
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 大気汚染による健康影響評価に不可欠な,地域住民の汚染物質への暴露量評価手法を確立することを目的に,それに関わる様々な要因(地域特性−幹線道路との距離など,家屋構造,対象者の属性,個人の生活パターン等)の寄与を明らかにする。また,従来から研究の行われてきた二酸化窒素だけでなく,浮遊粒子状物質や有害化学物質等についても簡易測定法等を利用した調査を行い,知見の収集に努める。
〔内 容〕 過去数年間にわたり環境濃度と個人暴露濃度を調査しデータを蓄積してきた。大阪市内,東京都内の幹線道路沿道の家屋を対象に実施した調査で得られた,二酸化窒素,浮遊粒子状物,さらには有害化学物質濃度の解析から,道路からの距離による濃度減衰や屋内外濃度並びに個人暴露濃度相互間の相関について,季節変化,地域特性が見られることを明らかにした。
〔発 表〕 E-8,e-10,11

研究課題 11)環境保健指標の開発に関する研究
〔担当者〕 小野雅司・本田 靖・吉川麻衣子
〔期 間〕 平成5〜9年度(1993〜1997年度)
〔目 的〕 環境汚染による疾病の発生を監視するための新たな環境保健指標の開発を目的に,既存情報,各種の健康調査及び健康診断データ等の統合と,疫学研究デザインの開発・検討を行う。既存情報については,健康情報としての信頼性の検討とともに,継続的な健康情報としての活用の容易性等についても検討を行う。
〔内 容〕 国保レセプトデータの収集・解析を継続するとともに,あらたに救急搬送データ,人口動態死亡統計について検討を開始した。救急搬送データに関して,名古屋市消防局,大阪市消防局のデータについて,気象変動と救急搬送者数の関連について検討を開始した。死亡統計に関しては,気温,湿度など日別気象データとの関連,大気汚染物質濃度との関連について検討した。さらに,最近大きな社会問題となっているダイオキシン汚染に関連して,出産時の異状,死産,出生性比等についての検討を開始した。
〔発 表〕 E-8,38,e-10,11

研究課題 12)肺胞マクロファージと肺線維芽細胞の相互作用に関する研究
〔担当者〕 持立克身
〔期 間〕 平成5〜9年度(1993〜1997年度)
〔目 的〕 肺胞には,マクロファージ及び線維芽細胞が存在する。マクロファージが線維芽細胞の増殖や機能にどのような影響を与えるか,あるいは線維芽細胞がマクロファージにどのような影響を与えるか明らかになっていない。本研究ではマクロファージと線維芽細胞を,細胞外基質中で共同培養し,各々の細胞の増殖及び機能に与える影響について検討する。
〔内 容〕 これまで,T型コラーゲンゲル内に肺線維芽細胞と肺胞マクロファージを共に包埋培養すると,線維芽細胞単独の場合は細胞がコラーゲン線維を引き寄せるため,ゲル収縮が引き起こされた。しかし,マクロファージ共存下では,両者は接触しゲル収縮は抑制された。今回,両者をコラーゲンゲル上に播種すると,線維芽細胞はゲル表面近くを層状に分布した。肺胞マクロファージは,表面でのゲル収縮の影響が及びにくい内部に移動し,それぞれ個々に存在した。このことは,線維芽細胞により発生した張力が,それを抑制する方向にマクロファージの挙動に影響を与えている可能性が示唆された。
〔発 表〕

研究課題 13)基底膜標品を用いた肺上皮組織の再構成(奨励研究A)
〔担当者〕 持立克身・古山昭子
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 基底膜は,上皮細胞が本来の機能を発現するのに重要な構造体であるが,in vitroで基底膜を形成させるのは困難であった。環境汚染物質に対する各臓器の健康リスクを簡便に評価するために必要な種々の上皮組織を,in vitroで容易に再構成するために,本研究では,すでに確立した“肺上皮組織”の基底膜を用いて上皮組織を簡便に形成させる方法の確立を目指した。
〔内 容〕 “肺上皮組織”で形成された基底膜を,他の上皮細胞の培養に転用し,種々の上皮組織の簡便な形成法を確立するために,基底膜標品作成法と,肺胞上皮細胞の再播種による“再構成肺上皮組織”の形態について検討した。再播種した上皮細胞の接着は良好で,正常な上皮細胞の特徴である細胞境界に局在するアクチンベルトの形成が観察された。
〔発 表〕 E-35,e-49〜51

研究課題 14)環境アレルゲンに対する免疫リスク評価のための予備的研究(奨励研究B)
〔担当者〕 藤巻秀和・野原恵子・牛尾博子・小林隆弘・新田裕史*1(*1地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 最近のアレルギー疾患の増加に大気中の環境因子がどのように関与しているのか明らかにすることは,緊急な環境研究の課題である。アレルギー反応をつかさどる免疫応答系を標的とした環境因子の免疫リスクを評価するための予備的研究として,in vitroのヒト細胞培養系で環境化学物質と生物アレルゲンの作用について比較検討した。また,実際のヒトの居住環境とアレルギー反応の誘導に働く因子との関連性についても血清中の因子について検討した。
〔内 容〕 ヒト培養細胞として皮膚免疫で重要な役割を果しているケラチノサイト,アレルギー反応に関与する好塩基球類似のヒト培養好塩基球(KU812)を用いて,ホルムアルデヒドの作用を検討した。ケラチノサイトの増殖については,0.5と1.5μg/mlの濃度では影響がみられなかったが,0.25μg/mlでは培養3日目に細胞数の有意な増加がみられた。生物アレルゲンとしてのスギ花粉抗原(JCP)では1〜40μg/mlの濃度で影響はみられなかった。KU812細胞の増殖はいずれの濃度でも差はみられなかった。サイトカイン産生への作用について,ケラチノサイトからのIL-1β,IL-8産生にホルムアルデヒドのみでは影響はみられなかった。しかし,活性化物質としてのPMAの存在下ではIL-1β産生は5μg/mlで,IL-8産生は0.5μg/mlで亢進がみられた。JCPは,単独でもPMAとの併用のときでもケラチノサイトからのサイトカイン産生には影響を与えなかった。培養3日目で,KU812細胞では,ホルムアルデヒド,JCPそれぞれ単独ではサイトカイン産生は誘導されなかった。ところが,PMAとイオノマイシンで活性化したKU81 2ではホルムアルデヒドの作用によりIL-6とTNF-α産生の抑制がみられた。次に,大気汚染度の異なる2地域で過去に継続的に収集された呼吸器症状と血清IgE値の情報に基づいて,症状がなくIgE値が低い群と非特異的IgE値が高値を示した群を研究対象に選び,血清中の免疫系の諸因子を測定した。大気汚染度の低い地域では両群の間に接着分子としてのsL−selectinとsVCAM-1で差がみられたが,大気汚染度の高い地域では差がみられなかった。大気汚染度の高い地域と低い地域で全体の平均値として差が認められる項目もあったが,アレルギー群と非アレルギー群との比較結果は一貫しておらず,大気汚染をはじめとする環境条件の違いを検討するためにはさらにデータの蓄積が必要である。
〔発 表〕 E-30〜32,34,e-44,46〜48

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