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経常研究


化学環境部


研究課題 1)バイカル湖の湖底泥を用いる長期環境変動の解析に関する国際共同研究
〔担当者〕 河合崇欣・柴田康行・田中 敦・相馬悠子・高松武次郎*1・功刀正行*2・森田昌敏*3・南 浩史*4(*1水土壌圏環境部,*2地球環境研究グループ,*3地域環境研究グループ,*4科学技術特別研究員)
〔期 間〕 平成6〜10年度(1994〜1998年度)
〔目 的〕 環境の変化が生物種の保存,絶滅や進化に与える影響を検討・評価するために,約3000万年と言われるバイカル湖の環境変化及びその地域で生存した生物層の変化を,バイカル湖底質柱状試料の古陸水学的解析によって調べる。
〔内 容〕 (1)バイカル湖底質柱状試料の採取を行い,600m柱状試料採取に成功した。(2)200m柱状試料について国際的・国内的に分析チームを組織し,項目ごとに分担して測定を行った。500万年の気候変動を解析できる測定・分析の結果が蓄積された。国立環境研究所では他に主として無機元素の分布の測定,光合成色素の分布,10Be年代決定法の研究,データベースの準備を分担した。(3)測定結果を総合し解析を行うために,プロジェクトの当面の目標を設定し,科学技術振興調整費総合研究の同内容課題の充実に努めた。
〔発 表〕 D-2,19

研究課題 2)塩素系有機化合物の新しい測定法の開発:超音速自由噴流の利用
〔担当者〕 藤井敏博
〔期 間〕 平成2〜10年度(1990〜1998年度)
〔目 的〕 気体試料分子を超音速自由噴流法により1-20eV程度迄高速化しこれを固体表面に衝突させる系において,この試料分子が電子励起からイオン化へと進む過程の機構解明と,農薬・トリクレン等の塩素系有機化合物のための,このイオン化過程を利用した高感度で確度の高い測定法の開発を行う。
〔内 容〕 (1)試料分子/H2系でseeded molecular beam超音速自由噴流法により1-20eV程度までの高速分子流を作り,固体表面に衝突させ,その試料分子の負イオン化を利用した,GC,GC/MS法が確立できた。
〔発 表〕 D-31,32,d-30

研究課題 3)環境汚染物質の測定技術および測定手法に関する研究
〔担当者〕 相馬悠子・横内陽子・久米 博・藤井敏博
〔期 間〕 平成2〜10年度(1990〜1998年度)
〔目 的〕 環境を正確に把握するという立場から,環境汚染物質の測定技術および環境の質を的確に計測し評価するための計測手法の確立を目的とする。コンピュータケミストリーを含むシーズ的,先導的研究を行う。
〔内 容〕 Li+イオン付加反応を利用した質量分析法により,CH/N及びC/N系のマイクロ波放電で生成する化合物の検出を行った。HC≡CC≡N,N≡CC≡N,HNC≡N,C等の多くの珍しい化学種を質量分析法で初めて確認した。
〔発 表〕 D-31,32,d-29,30

研究課題 4)室内環境における悪臭物質の発生機構の解明に関する研究
〔担当者〕 安原昭夫
〔期 間〕 平成9〜13年度(1997〜2001年度)
〔目 的〕 近年における悪臭苦情事例の多くが室内環境に由来しており,台所で発生する加熱臭や腐敗臭を対象として,原因物質の究明と発生機構を調べる。
〔内 容〕 食物の腐敗(発酵)で生成するフルフラールをシステアミンでチアゾリジン誘導体に換え,NPD-GCで定量する方法を確立し,発酵食品中のフルフラールを定量した。
〔発 表〕 d-34,36

研究課題 5)環境分析の精度管理に関する研究
〔担当者〕 安原昭夫・伊藤裕康・吉永 淳・山本貴士
〔期 間〕 平成7年〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 環境分析における有効な精度管理手法を確立するために,検討すべき各種要因を明らかにし,サンプリング法,計測法の高精度化を実現する。
〔内 容〕 ダイオキシン類の簡易分析法を検討するために,四重極GC/MSによる測定とサンプリング法,分離精製法の改良を研究した。

研究課題 6)塩素処理で生成する有機塩素化合物の分子量分布に関する研究
〔担当者〕 山本貴士・安原昭夫
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 塩素処理に伴って有害な有機塩素化合物が生成することはよく知られているが,同定・定量された物質は,生成した有機塩素化合物のうちの分子量の小さいものである。高分子量の有機塩素化合物について,定性・定量的な情報を得る方法はきわめて少ない。この研究ではこのような高分子量の物質の分析に関し,当面分子量分布に着目して分析法の開発を行う。
〔内 容〕 山間表流水を採取して塩素処理を行った。添加量の約1%が有機塩素化合物として検出された。これを濃縮してゲルカラムクロマトグラフィーで分画したところ,特定の画分に明瞭なピークが観察された。一方,この試料の抽出物をGC-ECD,GC/MSで測定したが,有機塩素化合物として同定される物質は検出されなかった。このことから,ゲルカラムクロマトグラフィーが高分子量の有機塩素化合物の分析に有用であると考えられた。
〔発 表〕 d-37

研究課題 7)タンデム加速器分析法の環境研究への応用に関する研究
〔担当者〕 柴田康行・瀬山春彦・田中 敦・米田 穣・久米 博・森田昌敏*1・吉永 淳*1    (*1地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 平成7年度に設置されたタンデム加速器分析施設(NIES-TERRA)の環境研究への応用に当たって必要となる運転技術,試料採取,前処理技術などの習得,確立を図るとともに,適用範囲を広げるためのハード,ソフト両面の改良,新しい分析手法の開発などを行い,今後の研究の発展の基礎作りを行う。
〔内 容〕 各光学系の変動に伴うビーム強度の変化や結果(平均値,精度)への影響に関する基礎データを得るとともに,付属してきた解析ソフトの検討と問題点の抽出などの作業を中心に加速器質量分析装置の立ち上げ作業を継続し,その結果を基にイオン光学系の改良,ソフトの改良などを進めた。また,PIXEの定量ソフトを装置に組み込む作業を行った。
〔発 表〕 D-3,8,11,d-1〜3,10,12

研究課題 8)環境中/生態系での元素の存在状態並びに動態に関する基礎研究
〔担当者〕 柴田康行・瀬山春彦・田中 敦・米田 穣・吉永 淳*1・堀口敏宏*1(*1地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成8〜12年度(1996〜2000年度)
〔目 的〕 汚染元素・物質の環境循環,生態系循環の解明や,毒性等の評価のためには,それぞれの元素の存在状態/化学形態や局所的な存在/蓄積部位に関する情報が必要である。一方,元素の同位体比は,元素・物質の起源を探り,環境動態を追跡し,さらに生態系における汚染物質の蓄積を解明する上で重要な手がかりを与えてくれる。そのための基礎研究を実施する。
〔内 容〕 地殻に最も多く含まれるケイ酸塩鉱物である長石と硫酸酸性の水との反応を岩石や土壌の化学的風化のモデルとし,長石の表面変化をX線光電子分光法(XPS)で測定し,風化のメカニズムを調べた。その結果,酸との反応ではSiに比べ,Na,K,Ca,Alは長石表面から溶出しやすいことがわかった。ヒ素の化学形態分析法を海外の環境標準試料に適用し,そのヒ素化合物の抽出特性等に関する基礎データを得た。
〔発 表〕 D-12,16,d-5,18

研究課題 9)低沸点有機化合物の毒性評価手法の開発に関する研究
〔担当者〕 彼谷邦光・白石不二雄・佐野友春
〔期 間〕 平成7年〜9年度(1995〜1997年度)
〔目 的〕 化学物質の毒性は様々な方法で検索され,一般毒性のほか,変異原性や細胞遺伝毒性を有する物質が数多く知られている。しかしながら,低沸点物質については毒性評価手法が確立されておらず,それらの毒性評価はあまり行われていない。本研究では,低沸点化合物を細胞に暴露する装置を開発し,それらの毒性を評価するシステムを確立するための基礎資料を得ることを目的とした。
〔内 容〕 半導体の洗浄に代替フロンとして使用され,生殖機能障害を引き起こしたことで問題になった2-ブロモプロパンとその異性体である1-ブロモプロパンについて培養細胞へのガス暴露システムを用いて細胞毒性と遺伝毒性を検討した。両ブロモプロパンとも1,2,及び4%のガスの直接暴露で細胞増殖抑制作用を濃度に依存して示し,また1%及び2%濃度で遺伝毒性の指標であるSCE誘発が2倍以上と顕著な遺伝毒性作用が認められた。
〔発 表〕 d-16

研究課題 10)炭素同位体比(13C,14C)および窒素同位体比(15N)測定の前処理法に関する研究(奨励研究A)
〔担当者〕 米田 穣
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 骨に記録されている炭素の放射性同位体比および安定同位体比を正確に測定するために有機分画であるコラーゲンが土壌埋没中に被った続成作用の影響を評価する方法を確立し,その影響が少ない分画を抽出精製する方法を検討する。これによって古環境試料に対する放射性炭素を用いた高精度な年代決定を可能とし,炭素安定同位体比に記録された古環境の変動やヒトを含む生物種の生態の変化を復元するための方法論確立を目的とする。
〔内 容〕 上記分画について炭素・窒素濃度および安定同位体比,放射性炭素存在比を測定した。試料としてロシア太平洋沿岸のBoisman2遺跡出土の人骨試料を使用した。その結果,ゼラチン分画では木炭と近似の年代が選られるがそれ以外の分画では土壌有機物の影響が認められた。安定同位体比についても窒素同位体の相関がゼラチン分画のみで認められ,他の分画では炭素,窒素ともに土壌有機物が影響していることが明らかになった。

研究課題 11)Cr安定同位体を用いた底質・土壌中の6価クロム分析法の検討(奨励研究A)
〔担当者〕 田中 敦
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 底質・土壌中の6価クロムを正確に測定することが困難な理由は,酸化力の強い6価クロムが共存物質を酸化して自らは3価のクロムとなってしまうためである。6価クロムと3価クロムの形態ごとの同位体比を測定する方法の開発と,天然同位体比と異なる比を持つ6価クロムを添加し,酸分解・アルカリ抽出などの底質・土壌中の6価クロム分析法において,6価クロムが3価クロムへ還元される程度を評価することを目的とする。
〔内 容〕 液体クロマトグラフとマイクロ波プラズマ質量分析計を結合して,6価と3価のクロムを形態別に同位体測定を行う方法を作成した。この方法により,1ng程度のクロムの同位体比が測定でき,標準溶液の同位体比測定精度は1.5%程度であった。6価と3価クロムの同位体交換速度は遅く,同位体希釈測定が適用できた。その結果,模擬土壌での実験により,酸分解・アルカリ抽出の過程で多くの6価クロムが還元されることが示された。

研究課題 12)化学形態分析のための環境標準試料の作成と評価に関する研究(特別経常研究)
〔担当者〕 伊藤裕康・柴田康行・山本貴士・田邊 潔*1・安原昭夫*1・吉永 淳*1・堀口敏宏*1・森田昌敏*1(*1地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 環境標準試料NIES CRM No.16「河川底質」に含まれるPAHの保証値の検討を行った。また,NIES CRM No.17「フライアッシュ抽出物」に含まれるダイオキシン類(ジベンゾ-p-ジオキシン類とジベンゾフラン類)の共同分析をし,保証値を検討した。NIES CRM No.18「ヒト尿」は,予備分析として,全セレンと全ヒ素の分析を共同分析機関と行い,トリメチルセレノニウムイオン,ジメチルヒ素,アルセノベタインについて現在共同分析継続中で保証値を検討している。
〔内 容〕 平成9年度の標準試料は,No.17で「フライアッシュ抽出物」を作製したが,フライアッシュからの溶出試験も含めた形の標準試料が必要との観点と厚生省・環境庁がダイオキシンのガイドラインを発表するのに備えて,正しい分析のための基準が必要との観点から,粉末体試料のNIES CRM No.19「フライアッシュ」を標準試料として作製した。大学,公的機関と共同分析をし,保証値を検討している。
 平成10年度に作製予定のNIES CRM No.20候補として,底質試料,生体試料,廃棄物関係等が上げられ,分析対象物質は,ダイオキシン類,PCB,クロルデン,等有機化合物が考えられている。

研究課題 13)スペシメンバンキングによる環境の時系列変化の保存並びに復元に関する研究(特別経常研究)
〔担当者〕 柴田康行・田中 敦・米田 穣・森田昌敏*1・田邊 潔*1・吉永 淳*1・堀口敏宏*1・向井人史*2(*1地域環境研究グループ,*2地球環境研究グループ)
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 人間活動によって環境中に放出される物質は膨大な数にのぼり,そのすべてを分析,監視し続けることは不可能である。また副生成物の混入や流通・処理過程での有害汚染物質の発生など,予見できないような汚染事例も増えている。こうした化学物質汚染の監視体制をより効果的なものにし,なるべく早期に適切な対応をとれるようにするための一つの手段として,モニタリングで集めた試料の一部を低温で長期保存し,新たな汚染がみつかった段階で過去に遡った分析を行ってその歴史的経緯の把握や起源の早期発見を可能にするスペシメンバンキング(環境試料保存プログラム)が有効と考えられる。本研究では,特にバックグラウンド地域の監視と試料保存に着目しながら,分析試料の収集と保存,並びに保存性試験などの基礎研究を行う。
〔内 容〕 環境質を代表する試料(日本沿岸各地の二枚貝,世界の外洋のイカ,大陸からの影響をモニターする島根県隠岐の大気粉塵,東京湾の二枚貝や鳥など)の収集・保存と分析作業を継続した。また,前年度に引き続き,平成9年1月に起こったナホトカ号沈没事故に伴う日本海沿岸重油汚染の実態調査と試料収集を重点的に進め,特徴的な分析項目(指標物質・パターン)の探索と環境中での保存性(分解性)に関する基礎データの取得を行った。数多くの化合物(群)の中で,ベンゾ(a)ピレン並びに環数の多い多環芳香族炭化水素(PAHs)のパターンに特徴が見つかり,10カ月日光・風雨にさらされてn-アルカン類がなくなってしまったような試料でもほとんど変化がないほど保存性が良いことがわかった。これらを指標として,海水中,並びに沿岸生物(二枚貝)中のナホトカ重油成分の10カ月後の状況を明らかにした。ナホトカ重油に特徴的なパターンは10カ月後にもいくつかの場所で認められたが,濃度は数分の一から十数分の一に減少しており,特に多数のボランティアによって回収・清掃作業の進められた場所での回復ぶりが目立った。今後の研究の基礎資料とすることを目指し ,福井〜石川沿岸の初期状態を示すこれらの分析データを集めて資料集(F-111-’98/NIES)としてとりまとめた。
〔発 表〕 D-10,13,d-6,9

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