| 研究課題 |
13)スペシメンバンキングによる環境の時系列変化の保存並びに復元に関する研究(特別経常研究) |
| 〔担当者〕 |
柴田康行・田中 敦・米田 穣・森田昌敏*1・田邊 潔*1・吉永 淳*1・堀口敏宏*1・向井人史*2(*1地域環境研究グループ,*2地球環境研究グループ) |
| 〔期 間〕 |
平成7〜11年度(1995〜1999年度) |
| 〔目 的〕 |
人間活動によって環境中に放出される物質は膨大な数にのぼり,そのすべてを分析,監視し続けることは不可能である。また副生成物の混入や流通・処理過程での有害汚染物質の発生など,予見できないような汚染事例も増えている。こうした化学物質汚染の監視体制をより効果的なものにし,なるべく早期に適切な対応をとれるようにするための一つの手段として,モニタリングで集めた試料の一部を低温で長期保存し,新たな汚染がみつかった段階で過去に遡った分析を行ってその歴史的経緯の把握や起源の早期発見を可能にするスペシメンバンキング(環境試料保存プログラム)が有効と考えられる。本研究では,特にバックグラウンド地域の監視と試料保存に着目しながら,分析試料の収集と保存,並びに保存性試験などの基礎研究を行う。 |
| 〔内 容〕 |
環境質を代表する試料(日本沿岸各地の二枚貝,世界の外洋のイカ,大陸からの影響をモニターする島根県隠岐の大気粉塵,東京湾の二枚貝や鳥など)の収集・保存と分析作業を継続した。また,前年度に引き続き,平成9年1月に起こったナホトカ号沈没事故に伴う日本海沿岸重油汚染の実態調査と試料収集を重点的に進め,特徴的な分析項目(指標物質・パターン)の探索と環境中での保存性(分解性)に関する基礎データの取得を行った。数多くの化合物(群)の中で,ベンゾ(a)ピレン並びに環数の多い多環芳香族炭化水素(PAHs)のパターンに特徴が見つかり,10カ月日光・風雨にさらされてn-アルカン類がなくなってしまったような試料でもほとんど変化がないほど保存性が良いことがわかった。これらを指標として,海水中,並びに沿岸生物(二枚貝)中のナホトカ重油成分の10カ月後の状況を明らかにした。ナホトカ重油に特徴的なパターンは10カ月後にもいくつかの場所で認められたが,濃度は数分の一から十数分の一に減少しており,特に多数のボランティアによって回収・清掃作業の進められた場所での回復ぶりが目立った。今後の研究の基礎資料とすることを目指し
,福井〜石川沿岸の初期状態を示すこれらの分析データを集めて資料集(F-111-’98/NIES)としてとりまとめた。 |
| 〔発 表〕 |
D-10,13,d-6,9 |