ヘッダーユーティリティメニュー

イベント情報、交通案内、サイトマップ、関連リンク、お問い合わせ・ご意見

グローバルナビゲーション


ホーム > 刊行物 > 国立環境研究所年報 > 平成9年度 > 特殊法人等による公募型研究

ここからページ本文です

特殊法人等による公募型研究


(1)微生物を活用する汚染土壌修復の基盤研究

〔代表者〕 地域環境研究グループ 矢木修身
〔分担者〕 環境健康部 岩崎一弘・兜 眞徳・森田昌敏
水土壌圏環境部 内山裕夫・冨岡典子・向井 哲・服部浩之

〔期 間〕
平成8〜13年度(1996〜2001年度)

〔目 的〕
 世界各地でトリクロロエチレン(TCE),テトラクロロエチレン(PCE)およびPCB等の有機塩素化合物や水銀,6価クロム等の重金属による土壌・地下水汚染が顕在化し大きな問題となっている。これらの汚染の浄化に,より安価でかつ無害化処理技術である微生物を活用して汚染を修復するバイオレメディエーション技術の開発が期待されている。本研究では,有機塩素化合物や重金属の中で問題となっている,TCE,PCBや水銀等で汚染した土壌・地下水の修復をケーススタディとして取り上げ,バイオレメディエーション技術の実用化に際しブレークスルーすべき,(1)分解能強化微生物の開発,(2)土壌中における微生物の挙動解析,(3)微生物センサー機能を活用する有害物質モニタリング手法の開発,(4)分子生態学的手法を用いる生態影響評価システムの開発,(5)大型土壌・地下水シミュレータおよび現場における修復技術の適応性の評価,の5課題に関する基盤研究を実施する。

〔内 容〕
(1)分解能強化微生物の開発
 汚染物質分解菌の探索・分離を行い,次いで分解酵素遺伝子の単離,機能解析を行い,これらの結果をもとに,遺伝子操作等により分解能強化微生物の開発を行う。汚染物質として,TCE,PCE,1,1,1-トリクロロエタン,PCB,水銀等に着目する。
(2)土壌中における微生物の挙動解析
 土壌中の微生物DNAを直接抽出する方法を開発する。次いで,特異的なプライマーを用いて増幅,解析するPCR-MPN法による微生物の迅速計数法を開発し,土壌中での微生物の挙動解析を行う。
(3)微生物センサー機能を活用する有害物質モニタリング手法の開発
 運動性を有する微生物は外界からの化学物質等の刺激に応答して,その物質に集積したり,忌避したりする性質を有することが明らかにされつつある。この運動性に着目し様々な細菌を選抜し,画像処理による迅速高感度毒性試験法を開発する。
(4)分子生態学的手法を用いる生態影響評システムの開発
 生態系への影響評価方法として微生物生態系に着目し,特に,エネルギー代謝,窒素代謝に関する微生物相等に着目し,これらの微生物の種類と量を,培養法およびDNA法を活用して計数し,土壌生態系への影響を評価する。
(5)土壌・地下水シミュレーターにおける修復技術の適応性の評価
 フラスコ・カラムレベルの基礎データを踏まえて,シミュレータを用いて,汚染物質,浄化微生物の消長を明らかにすると共に,汚染現場でのバイオレメディエーションの有効性と安全性を評価する手法を開発する。
(備考)

共同研究グループ 九州大学農学部・広島大学工学部・国立水俣病総合研究センター・
株式会社荏原製作所

〔成 果〕
(1)遺伝子操作を用いたMethylocystis sp.M株由来メタンモノオキシゲナーゼ(MMO)の構造−機能相関の解析を実施した。すなわち,Methylocystis sp.M株よりクローニングされたMMO遺伝子を材料に野生型酵素よりも安定性/触媒活性の高い組換え蛋白を「設計」することを目的に,「分子設計」を行う際に必要な基礎データを集めることを前提に,初年度はそのための基本戦略)を検討した。MMOはヒドロキシラーゼ(H),レゼクターゼ(R)及び両者間での電子移動を調節する結合蛋白(B)計三つの構成要素からなり,RのFe-Sクラスターとフラビン補酵素を通じて系内に入った電子がBにより基質の結合と酸素分子の活性化を行うHに伝達されると考えられている。
 「分子設計」の基本戦略として,MMOの基本骨格であるヒドロキシラーゼには手をつけず,その活性中心と直接相互作用することで周辺の立体構造を制御していると考えられる結合タンパク(B)に注目し,第一段階として,ヒドロキシラーゼとの結合ドメインを調べるための手法を模索した。結合タンパク(B)はCys残基を含まないことから,ヒドロキシラーゼと“非共有結合的に”相互作用すると推定される。比較的弱い相互作用を生細胞で検出する方法としてTwo-Hybrid法を検討した。これは相互作用を特定のレポーター遺伝子の発現に変換することで検出するものである。真核生物転写因子のモジュールドメイン構造を利用しているBrent Labで確立された“interaction trap”法を用いた。レゼクターゼは結合タンパク(B)との結合力は弱く,電子伝達を調節するために,静電的/立体的な“反発”によりレダクターゼがコンホーメーション変化を起こし活性が制御されるのではないかと考えられた。
(2)土壌等の複雑な環境中において,従来用いられているプレーティング及びMPN法では,有機塩素化合物分解菌Mycobacterium TA27株及びTA5株のみの検出及び計数が困難であるため,16SrRNA遺伝子を利用した特異的な菌の計数法を開発するため,16SrRNA遺伝子の配列の決定を行った。
 16SrRNA遺伝子の配列の決定は,TA5株及びTA27株の菌体よりtotal DNAを抽出し,16SrRNA遺伝子に特異的なユニバーサルプライマーを用いてPCRを行い,DNAを精製後,シークエンサーにより16SrRNA遺伝子の配列の決定及び系統樹の作成を行った。
(3)浄化微生物の土壌中の局在性と挙動
 土壌の毛管孔隙に添加したBHC分解菌が増殖・生残・死滅する課程とそれに及ぼす有機質資材添加の影響を調べた。
 BHC分解菌の生残性(生残数と生残期間)を同一種類の処理区土壌の孔隙間で比較すると,対照区,稲わら区,堆肥区の場合は,細毛管孔隙に菌を添加した方が粗毛管孔隙に菌を添加した場合よりも生残性が大であるか同程度であった。しかし,厩肥区の場合では,粗毛管孔隙に添加した方が細毛管孔隙に添加した場合よりも生残性が大であった。
 また,BHC分解菌の生残性は稲わら区>堆肥区>対照区の順に低下する傾向が認められた。この順位は,添加有機質資材から水抽出される易分解性有機質資材中の易分解性有機物がBHC分解菌のエサとして利用されていること及び易分解性有機物含量の高い有機質資材ほどBHC分解菌の生残性を増大する効果が大きいことが示唆された。
(4)バイオレメディエーションを実施した場合の生態系に与える影響を,微生物群集を解析することにより評価することを目的とした。本年度は培養法による各種の土壌微生物の計数法について,すでに方法が確立しているものに関してはその確認を行い,さらにより簡便で再現性のある方法の開発を行った。
 好気性一般従属栄養細菌について,希釈平板法による計数法を検討し,糸状菌の生育阻害剤としてシクロヘキシミド,バチルス属細菌の生育を抑えるためのクリスタルバイオレットを加えた培地が,計数に適していることが判明した。またMPN法を検討し,96穴マイクロプレート濁度法により生育の有無を判定し計数する簡便法を開発した。さらに,小試験管MPN法を用いる脱窒菌,ケロシン,メタノール分解菌,亜硝酸,アンモニア酸化細菌の計数法を確立した。


(2)北西太平洋の海洋生物化学過程の時系列観測

〔代表者〕 地球環境研究グループ 野尻幸宏
〔分担者〕 地球環境研究グループ 向井人史

〔期 間〕
平成9〜14年度(1997〜2002年度)

〔目 的〕
 本研究は,国際共同研究であるJGOFS(Joint Global Ocean Flux Study)の枠組みの中で,北西太平洋高緯度海域の定点時系列観測を行う。高緯度海域の特徴である季節的な水温変化,混合層深度変化によってもたらされる海洋構造の変化を理解した上で,物質循環の季節変化の全体把握を行う。特に海域の二酸化炭素の交換(吸収・放出)にかかわる生物生産の規定要因を解明するために,炭酸系の精密観測,生物生産量と関連因子の解明に重点を置く。既存時系列観測である定期貨物船観測,衛星観測で得られる表面水情報と,この時系列観測で得られる,鉛直プロファイルの情報を総合解析することによって,季節的に変動する現象を正確に把握することができる。北太平洋では,ハワイとアラスカ湾の2点で時系列物質循環観測が継続されているが,我が国では外洋定点での時系列観測は行われていなかった。本研究課題によって,北緯44°,東経155°を定点と定める亜寒帯北西太平洋定点(KNOT:Kyodo North pacific Ocean Time series)観測が開始されることとなった。

〔内 容〕
 北西太平洋亜寒帯域では,CO2の吸収・放出に大きな季節変化があり,3月には二酸化炭素分圧の最大値がみられCO2放出域として作用する。春の植物生産で無機炭酸が固定され二酸化炭素分圧は低下し吸収域に変わる。秋に最低値となった後,混合層深度が増し,無機炭酸の回帰で冬季の二酸化炭素分圧上昇が起こる。栄養塩類も,同様な季節変化を示す。これは,国立環境研究所とカナダ海洋科学研究所の共同プロジェクトによる貨物船観測で確かめられた。このように,西部太平洋で二酸化炭素分圧,栄養塩類に見られる大きな季節振幅は,東部太平洋では顕著でなく,西部太平洋の生物生産性の高さを示す結果となった。
 この機構の解明には,表層に限られる商船による観測では不十分で,海洋の鉛直構造と関連物質の分布を計測できる,研究船の観測が必要である。特に時系列的に一定点で計測すると,季節変化を支配する要因の解明を行うことができる。
 本研究では,国内研究機関所属研究船の北西太平洋高緯度海域航海の中で,一定点での質の揃った化学・生物観測を行い,時系列的にデータを集めて解析する。開始年度の本年度は,観測の枠組みの確立,観測設備と機器の整備を行った。
 観測の枠組みとしては,1998年から2000年の本課題集中観測期間における,本課題協力機関の既存航海予定を考慮し,本課題観測要員が乗船して観測する時系列計画を立てた。
 観測設備と機器については,炭酸系の船上測定機器として,二酸化炭素分圧測定装置,全炭酸アルカリ度自動測定装置の新規開発を行った。

〔成 果〕
(1)定点時系列観測体制の構築
 海洋定点時系列観測は,海洋での生物化学過程の季節変化と,長期の海洋環境変化を解明するアプローチで,北太平洋ではハワイ,アラスカ湾で継続されている。我が国では,これまでは外洋定点での時系列物質循環観測が行われていなかったが,本研究課題が採択され,亜寒帯北西太平洋定点観測を開始することとなった。
 本年は,研究機関の協力体制と近隣海域調査観測船のネットワークで,次年度以降の定点観測維持体制を作り上げた。計画会議,外国研究者を含むワークショップを通じて今後の維持体制を協議し,1998年の観測船定点訪問として9回が確保できること,今後2〜3年にわたり,同程度の回数の定点訪問が継続できることが明らかとなった。
 CTD(電導度,水温,深度分布),化学成分(全炭酸,アルカリ度,栄養塩,溶存酸素),生物生産量,植物色素,周辺海域pCO2の測定を,指定航海の必須項目として,それに必要な観測機材の整備を行った。
 また,観測の標準化に必要な標準海水試料の調整として,亜熱帯太平洋表層海水を大量に採取し,栄養塩分析作業用ろ過海水,全炭酸・アルカリ度測定用標準海水の調整を行った。
(2)二酸化炭素分圧測定装置の整備
 水産庁水産工学研究所の大型室内海水プールを用いて,国内研究機関の測定装置を持ちよる相互比較実験を,戦略的基礎研究課題参加研究者の協力を得て行った。相互比較実験で発案されたバブリング式とミキサー式気液平衡器の組み合わせであるタンデム方式平衡器を応用し,船上使用にあう一体型平衡器を製作した。この装置を,日加間定期貨物船による観測航海でテストし,良い結果を得た。これらの結果を踏まえて,本課題による時系列観測用の標準測定システムを完成させた。
 また,定点時系列観測における大気・海洋二酸化炭素測定用標準ガス調製と,標準化システムの準備を行った。
(3)全炭酸・アルカリ度測定装置の整備
 全炭酸・アルカリ度の精密測定は,定点時系列観測において,二酸化炭素の収支とその生物活動との関連を解明するために,最も必要な項目である。従来から,船上で電量滴定装置によって全炭酸分析が酸塩基滴定によってアルカリ度が測定されてきたが,特に従来のアルカリ度測定では,開放型のセルで行っているという原理的な問題があった。本課題の観測を進める上で,これらの高精度化と正確さの確保をはかるために,温度管理の徹底した自動全炭酸電量滴定システムと密閉セルによるアルカリ度滴定システムを一体化した自動装置の開発を行った。
 アルカリ度は海水中の強塩基と強酸の差の量であり,ほぼ炭酸水素イオン量に対応する量である。これは希塩酸によって海水を滴定して求めるのであるが,開放系での滴定では生成した二酸化炭素が時間を追って逸脱していくので,終点決定が不正確になる。
 これまでも,二酸化炭素の逸脱がない密閉セルに酸を加えていく方法が,高精度化,正確化のために行われている例があったが,この方法では,セルの交換,洗浄の自動化が困難であった。今回,一定量の海水を滴定セルの密閉度を保ったままで自動的に送液する方法を,光検出素子の応用で実現し,十分な繰り返し再現性を得た。その結果,全炭酸,アルカリ度を自動測定する小型の船上装置が完成した。


(3)生物・物理・化学的因子の制御による微生物細胞の活性化・機能強化

〔代表者〕 筑 波 大 学 前川孝昭
〔分担者〕 地域環境研究グループ 稲森悠平

〔期 間〕
平成8〜12年度(1996〜2000年度)

〔目 的〕
 水環境修復に貢献する微生物としては,有用な機能を持つ細菌,菌類,原生動物,微小後生動物が重要な位置付けにある。これらの微生物は,生物・物理・化学的因子との相互作用系の中で,汚濁物質の分解,水の透明化,汚泥の減量化,窒素・リンの除去等に関与している。汚水処理を効率よく行うためには,有用微生物をバイオリアクターへ高密度に定着させることが有効と考えられている。しかし,微小後生動物は細菌や原生動物と比較し,比増殖速度(μ)がかなり低いためにその密度を高めることが困難となる場合がある。このため,生物・物理・化学的因子の制御による微生物細胞の活性化・機能強化の重要な一環として,有用微生物を大量に培養し,排水処理等の浄化プロセスに定着化させる手法を開発する必要がある。そこで本研究では,処理水の透明化に微小後生動物輪虫類Philodina erythrophthalmaに着目し,リアクターへ輪虫を添加した場合の水質および輪虫,細菌の個体数の変動についての各環境因子からの存在効果,定着性の解析,評価と輪虫の大量培養の最適化に及ぼす重要な環境要因としてのBOD,窒素およびリン濃度の影響について検討を行った。

〔内 容〕
 孔径の異なる多孔質担体を充てんしたリアクターへ,輪虫を接種し,人工排水を用いて処理実験を行ったところ,透視度100cm以上の透明な処理水を得ることができた。この時,輪虫接種直後の担体に付着した輪虫の個体数は,担体の孔径の違いが,初期定着性に大きく影響し,輪虫の体長である約300μmよりも担体の平均孔径が大きい場合には,担体に定着しやすいことが明らかとなった。このことから,輪虫を接種し,迅速に担体へ効率的に定着させ,浄化能を高めるためには,担体の孔径が重要な因子となることがわかった。現場での応用を考えた場合,既存の施設に有用微生物を投入しただけでは,添加した微生物が担体へ付着する前に洗い出しが起こる可能性があることから,適正な担体の選定とともに,水理学的滞留時間等の操作条件の適正化が必要であると考えられた。また,大量培養時の環境要因として窒素,リン,BOD濃度を変えて培養を行ったところ,窒素,リン濃度がそれぞれ0〜50mg/lの範囲では,輪虫のμに大きな変動は見られないこと,Glucoseを基質とした場合,BOD濃度0〜200mg/lの範囲で,輪虫のμは,BOD濃度の増加とともに高くなる傾向が見られた。これらのことから,輪虫は幅広いPO4-P,NH4-N濃度に適応でき,BOD構成成分であるGlucoseの添加は,輪虫の増殖速度を高める効果があることがわかった。さらに,既往の研究から塩濃度,pHについても広範囲で輪虫は増殖可能であり,このことと,本研究結果から,輪虫を生物処理反応槽内に優占化・定着化させるための環境条件の範囲は広く,接種した輪虫を効率的に担体へ定着させるためには,有機物,栄養塩類等の濃度といった化学的条件よりも,むしろ撹拌や充てんされている担体の構造といった物理的条件が大きく影響することが示唆された。

〔発 表〕b-33,36,71,73


(4)電気自動車用電池管理システムの実用化研究

〔代表者〕 地域環境研究グループ 近藤美則
〔分担者〕 NEDO 河上清源

〔期 間〕
平成9〜10年度(1997〜1998年度)

〔目 的〕
 地球温暖化に代表される地球環境および自動車排気ガスによる大気汚染等の地域環境の改善には,電気自動車が非常に有効であり,そのための研究・開発が官・民を問わず進められている。ところが,電気自動車に搭載した組電池間のアンバランスにより,実際の利用時における動力性能が公称能力をはるかに下回ることが明らかになってきている。組電池としての性能と寿命を向上させる手法として,単電池(12Vモジュール)ごとに管理用の測定モジュールや小型充電器を装着するシステムが提案され,最近の電気自動車に多く採用されているが,高電圧化する最新の電気自動車においてはシステムが複雑となり故障の原因や設置場所の点で問題がある。また,電池状態を常に均等に保つには,単電池ごとに電池状態を管理するのではなく,単電池のセルごとに管理をするのが理想である。
 本研究では,(1)実用型のセル単位での監視が可能なセル監視式電池管理システムの開発,(2)セル監視式管理システムの量産電池への組み込み時の技術基準の抽出,(3)車両用組電池にセル監視式電池管理システムを採用した際の運用基準の確立によって組電池内に生じるアンバランスを解消し,電気自動車用電池の利用効率を大幅に向上させる技術を確立する。同時に,電気自動車の使い勝手を大きく左右する電池の残存容量表示計の信頼性向上をはかる。これらを通して,実用時の組電池の性能を電池単体の公称能力に近づけることを目的とする。本研究所の分担は上記の(3)である。

〔内 容〕
 個別充電方式による電池管理方法を採用した小型高性能電気自動車エコビークルの電池及び管理システム部分を,セル監視式電池管理システムを組み込んだ電池及びその管理システムに置換した状態でエコビークルの試用試験,シャシダイナモメータ上での都市内走行模擬試験を行い,個別充電方式及びセル監視式の電池管理システムの比較評価並びにセル監視式電池管理システムの運用基準を求める。本年度はエコビークルへの電池の組み込みのための改良および評価手法の検討を行った。以下に研究成果を示す。
 1)電池のセルごとの電圧と温度等の情報を外部と通信系により交換可能なセル監視式電池管理システム用検出モジュール(以下,検出モジュール)を開発した。
 2)セル監視式電池管理システムの評価実験を行うための前準備として,本研究所が開発したエコビークル(車名:ルシオール)の電池に検出モジュールを組み込むための作業を行った。
 3)充放電効率の測定実験および充放電時の状況と電圧のばらつきとの関係を明らかにするために,ルシオールの走行状態におけるモータおよび電池等における電流,電圧等の実測値・指令値を100Hzで高速サンプリング可能な計測器を開発した。
 4)個別充電方式用組電池のデータを測定するために,単電池ごとに電圧と温度センサを取り付け,外部コンピュータでデータ取得が可能となるよう改造するとともに,走行実験に必要なセンサ,計測器類を車両に取り付けた。
 5)両方式による電池管理システムの評価前にデータ取得方法の検討を行い,ルシオールに標準で採用している個別充電方式とセル監視式電池管理システムによって充電された電池を用いて走行試験を行い,一充電走行距離と電池電圧のばらつきを測定することとした。
(備考)
 通商産業省工業技術院機械技術研究所エネルギー部エネルギー利用技術研究室長清水健一氏提案の研究課題の分担課題であり,日本電池株式会社よりNEDOへ出向,そのNEDOから研究所へ派遣されている河上清源氏との共同研究である。

〔発 表〕b-99


(5)超伝導受信機を用いたオゾン等の大気微量分子の高度分布測定装置の開発

〔代表者〕 地球環境研究グループ 中根英昭
〔分担者〕 地球環境研究グループ 秋吉英治・長浜智生* (*科学技術特別研究員)

〔目 的〕
 近年,オゾン層破壊が予想されたよりも大きな速度で進行している。オゾン層破壊の激しいのは極域であるが,その影響が中緯度に及んでいる。オゾン層破壊の原因を明らかにするためには,オゾン及びオゾン層破壊の証拠物質であるClOの高度分布を測定することが必要である。ミリ波分光計はオゾンとClOの両分子を測ることのできる装置であるが,オゾンとClOの両者をを観測するためには,200GHz帯の分光計の開発が必要である。本研究は,200GHz帯のミリ波分光計を開発し,これを南米チリに設置して観測を行うとともに,観測データを用いて,南極オゾンホールとの関係等,オゾン及びオゾン破壊物質の動態解明とモデル化を行うことを目的とする。

〔内 容〕
 本研究は次の3つのサブテーマから構成されている。
(1)大気微量分子高度分布測定システムの開発
(2)エアロゾル変動の解析とモデル化
(3)オゾン・ClO変動の解析とモデル化
サブテーマ(1)は名古屋大学理学研究科(一部東京学芸大学教育学部),サブテーマ(2)は名古屋大学大陽地球環境研究所,サブテーマ(3)は国立環境研究所が受け持っている。
 サブテーマ(1)では,ミリ波観測システムの開発,超伝導受信機の開発,4Kクライオスタットの開発,ミリ波観測プログラムの開発,ミリ波分光計の開発を行い,ミリ波ClO・オゾン分光装置を完成させる。これを,南米チリ中部の山上の天文観測所のあるプンタアレナスに設置して観測を行う。
 サブテーマ(2)では,レーザーレーダーによるエアロゾルの観測に基づいて,極域成層圏雲等のエアロゾル変動の解析とモデル化を行う。
 サブテーマ(3)では,サブテーマ(1)で得られたオゾン及びClOの観測データに基づき,その変動の解析,モデル化を行う。モデル化に際しては,サブテーマ(2)で得られたエアロゾル変動モデル等を用いる。
 サブテーマ(3)においては,平成9年度には,まず3次元気象データの整備を行うために,高速・大容量のディスクアレイシステムをワークステーションに接続し,流跡線解析プログラムを実行した。これによって得られた流跡線上で光化学モデルを走らせ,オゾン,ClOx濃度(混合比)が,極域成層圏雲に触れる前後で大きく変化する等,妥当な振る舞いを示すことを確認した。

〔発 表〕a-66,75


(6)東アジアにおける酸性物質及びオゾンの生成と沈着に関する観測と環境影響評価

〔代表者〕 東京大学 秋元 肇
〔分担者〕 化学環境部 横内陽子

〔期 間〕
平成8〜12年度(1996〜2000年度)

〔目 的〕
 東アジア域における対流圏オゾン及び酸性物質の生成と輸送・沈着のメカニズムを明らかにするため,局地的汚染の影響を受けないリモート・ステーションにおけるオゾン,酸性物質およびそれらの前駆体の濃度変動を把握する。

〔内 容〕
 沖縄県辺土岬における大気集中観測に参加し,海洋起源ハロカーボン類,イソプレン等の日変動観測を実施した。また,航空機によって沖縄上空の大気を高度別に採取し,ハロカーボン等の測定を行った。これらの結果から,沿岸域が塩化メチルの重要な発生源であること,島の植生から発生するイソプレン濃度は日中3〜6ppbに達することが明らかとなった。

〔発 表〕d-38


(7)自立型都市をめざした都市代謝システムの開発

〔代表者〕 生物圏環境部 大政謙次
〔分担者〕 生物圏環境部 戸部和夫・清水英幸

〔期 間〕
平成8〜10年度(1996〜1998年度)

〔目 的〕
 下水処理場から放流される二次処理水中に含まれる窒素やリンは,閉鎖性水域での富栄養化による水質汚濁の原因となっている。一方,二次処理水を用いて植物を水耕栽培することにより水中の窒素やリンを除去すれば,水質の改善と栽培肥料の節減の両面で有効な結果が期待できる。そこで,下水二次処理水を利用した野菜栽培技術を開発するとともに,二次処理水中の栄養塩除去効率と栽培植物の生育効率を最適化する栽培条件を検討する。

〔内 容〕
 下水二次処理水とほぼ同一の栄養塩組成をもつ人口下水二次処理水を調製し,これを連続的に水耕栽培用の栽培槽に供給してリーフレタスを水耕栽培した。栽培槽に供給する処理水の流量が1〜128l/dayの範囲内で5段階に異なる処理区を設定し,各処理区で生育したリーフレタス個体の生育重量を比較したところ,流量16l/dayの処理区で,生育重量が最大となることがわかった。


(8)都市ヒートアイランドの計測制御システム

〔代表者〕 地球環境研究センター 一ノ瀬俊明

〔期 間〕
平成8〜12年度(1996〜2000年)

〔目 的〕
 都市の人工排熱を通じ,人間活動が都市の熱環境に与えるインパクトを正確に評価し,都市構造及び人間活動の制御がどの程度こうしたインパクトを軽減しうるのかを定量的に明らかにするため,地表面境界条件の重要な要素である都市人工排熱や土地利用・地表面物性の詳細なデータを作成し,ヒートアイランドや大気汚染現象の数値シミュレーションに反映させる。

〔内 容〕
 過去150年間(4時点)における日本全国の2kmメッシュ土地利用データセット(LUIS)をもとに,メソスケール気象モデルCSU−MMによる地上気温場,地上風系の数値シミュレーションを行い,平野部の都市化に代表される近世以降の土地利用変化がもたらした局地的な気候変動の定量化を試みた。東京,大阪,福岡の周辺では,夏の静穏日における地上気温への影響が顕著であった。

〔発 表〕I-5,11,i-2,3,5,7,8


(9) 都市交通の環境負荷制御システムに関する研究

〔代表者〕 上 智 大 学 岩田規久男
〔分担者〕 社会環境システム部 日引 聡

〔期 間〕
平成9〜14年度(1997〜2002年度

〔目 的〕
 本研究では,時系列データを用いて,輸送需要に関する計量経済モデルを構築し,以下の点について分析することを目的としている。
  @貨物輸送における輸送分担率変化の要因分析
  A輸送モード間の代替弾力性の推計
  B炭素税の導入による,自動車から鉄道あるいは海運へのモーダルシフトの効果及び輸送部門からの二酸化炭素排出量削減効果の推計

〔内 容〕
 貨物輸送における輸送手段の選択決定に関する従来の研究をサーベイし,計量モデル構築に当たり,どのような関数形を用い,どのような統計的手法を使っているか,また,どのような推計結果を得ているかについてまとめた。さらに,サーベイを基礎にして,どのようなモデルの構築が可能かについて考察し,理論モデルのフレームワークについて検討した。また,モデルのパラメータ推定のために必要なデータを収集した。


(10)生態工学を導入した汚濁湖沼水域修復技術の開発とシステム導入による改善効果の総合評価に関する研究

〔代表者〕 東 北 大 学 須藤隆一
〔分担者〕 地域環境研究グループ 稲森悠平・水落元之
生物圏環境部 渡辺 信
化 学 環 境 部 彼谷邦光
水土壌圏環境部 徐 開欽

〔期 間〕
平成9〜14年度(1997〜2002年度)

〔目 的〕
 本研究においては,生活排水の高機能新設型の合併処理浄化槽として,BOD10mg/l以下,SS10mg/l以下,T-N10mg/l以下,T-P0.5mg/l以下の処理能力を有する窒素・リン除去流量調整型ヘドロセラミックス充てん生物ろ過システムの開発および河川・水路の直接浄化手法として栄養塩類も除去可能な省エネルギー,省メンテナンスなシステム技術の確立を目的として最適な充てん担体の特性評価と実態調査研究を行った。

〔内 容〕
 生物ろ過システム充てん担体の最適物性値として,粒径6〜9mm,比重1.15が得られ,リン除去方法においては,濃厚塩化第二鉄法,鉄電極法,アルミ電解法3方法をスクリーニングできた。また,既存の河川・水路浄化施設を調査した結果,有機物に対する効果的な処理は行えるものの窒素・リンの除去は難しく,適正な担体の充てんと嫌気好気の組み合わせを行い,かつ目詰まりの起こりにくい構造に配慮したシステム設計の重要なことがわかった。

〔発 表〕b-6,13,18,25,28


フッターユーティリティメニュー