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文部省・科学研究費補助金による研究


(1)水環境修復のための有用微生物の機能強化・製剤化と高機能浄化システムの技術開発
〔代表者〕 地域環境研究グループ:稲森悠平
〔分担者〕 地域環境研究グループ:水落元之
東北大学大学院工学研究科:須藤隆一
東京農業大学応用生物科学部:高橋力也・藤本尚志
筑波大学応用生物化学系:松村正利
千葉県立中央博物館:林 紀男
〔期 間〕 平成9〜12年度(1997〜2000年度)
〔目 的〕 水環境修復を図る上では有用微生物としての細菌類,原生動物,微小後生動物の生理,生態学的機能を最大限に発揮し活用することが重要とされている。特に閉鎖性水域の富栄養化を防止する上で,処理水をBOD10mg/l以下,T-N10mg/l以下,T-P1mg/l以下にまた,微量化学物質による汚染を防止する上では,有害化学物質を高度に処理することが極めて重要な位置づけにある。本研究ではこのような点を鑑み,窒素除去に関わる硝化細菌・脱窒細菌,リン除去に関わる脱リン菌,難分解性物質分解菌,汚泥の減量化・処理水の透明化に貢献する原生動物・後生動物の高密度培養法の確立と,これらの細菌・微小動物を効果的に定着させ得る担体を活用した生物処理反応槽への高密度定着化ならびにのう子化,脱のう子化のための適正条件及び増殖促進因子を固定化するための実用化研究を行い,高機能浄化システムの技術を開発することを目的として推進する。本年度は,有用微生物の高密度定着化のための適正担体の活用について検討を行った。
〔内 容〕  生物学的窒素除去の律速因子である硝化速度を支配する硝化細菌のNitrosomonas属,Nitrobacter属を抗原・抗体反応で認識する手法を用いることの生物処理反応槽における硝化細菌の現存量の把握ならびに担体を活用した硝化細菌の高密度定着化への有用性を明らかにすることができた。
 また,回分培養系で原生動物繊毛虫類Vorticella属,後生動物輪虫類Philodina属の増殖に対するポリエチレン性の中空小円筒状担体の効果を評価したところ,担体の添加によりVorticella属で約9倍,Philodina属で約3倍に個体密度が高まり,表面構造,空間構造の適正な担体は微小動物を生物処理反応槽で高密度化する上で重要な要因となることを明らかにすることができた。
 さらに有害化学物質等を含有する浸出水を高度に除去する手法として活性炭の物理的吸着能と活性炭表層へのダイオキシン類の高分解能を有するPseudomonas属の付着による生分解能を活用することが効果的であり,流動条件を適正に保持することにより自己造粒ペレット化も可能となり反応槽あたりの分解能を向上させ得ることを明らかにすることができた。
〔発 表〕 B-13,20,b-4,14,29,71,73

(2)タイ王国におけるバイオ・エコエンジニアリング活用自然強化型水環境修復技術の開発
〔代表者〕 地域環境研究グループ:稲森悠平
〔分担者〕 地域環境研究グループ:水落元之
〔期 間〕 平成9〜10年度(1997〜1998年度)
〔目 的〕 タイ王国の河川,運河,湖沼,内海,内湾等は生活系及び産業系排水の処理の不徹底化により,水質汚濁,富栄養化が累進的に加速しており,その対策は待ったなしの状況にある。この対策を図る場合に重要なことは,熱帯地域という温度が高いことを十分に考慮に入れた技術開発にある。このような点を鑑みると,高い水温下,豊富な太陽エネルギーの存在下,高い成長速度を有する水生植物浄化法のシステム化,広い敷地を活用したラグーン処理における嫌気・好気条件の組み込みによる窒素,リン除去のための処理の高度化,生物処理プロセスの反応槽内で凝集体摂食者による汚泥の減量化及びろ過摂食者による処理水の透明化等に係わる有用生物の機能を最大限に高めることによる水環境修復技術の基礎と応用の両面に立った開発研究が重要である。本研究では上記の点を鑑み,タイ王国で活用可能な水環境修復技術を提案することを目的として推進することとする。
〔内 容〕  バンコク首都圏の親水空間ともいうべきクローンすなわち運河は人口密集地域の未処理生活排水の流入により,水質汚濁の進行が著しく透明度が低く,懸濁性物質濃度が高く,底泥からは重金属が検出され,かつ大腸菌群が検出されるなど水資源として大きな問題を有しており,浄化対策導入の必要性が示唆された。このような水域の浄化手法として水生植物のホテイアオイの活用の可能性もあるものの,成長した植物体の回収資源化を行わない限り,2次公害を引き起こすことになることからシステム化のための成長・回収・資源の物質収支の解析評価によるシステム化の重要なことが明らかとなった。このような水生植物のホテイアオイ以外のタイプについて人工湿地システムで,アシ,ヒメガマ,フトイなどの抽水植物群落を用いた修復手法の検討を行ったが,これらの水生植物は根圏が極めて発達し空気中の酸素を根圏に移送し,根圏部周囲が好気的で生物学的硝化反応がおこり,そのまわりが嫌気的になり生物学的脱窒反応がおこり,高い窒素除去能力を有すること,これらの植物は年間を通じて常に再生産が行われることから資源循環システムを創ることで熱帯地域における安定した処理手法 として大きく期待できることが明らかとなった。さらに,これらの水生植物の種類の違いにより根圏に生息する微小動物としての原生動物繊毛虫類,肉質虫類,ベン毛虫類,微小後生動物輪虫類,貧毛類,巻貝類等の生物種が異なり,捕食被食能の強化の程度でバイオマス減量化能,懸濁物ろ過能等が異なることから,生物間相互作用を適正に活用できる植生が浄化能強化に重要であることが明らかとなった。このような捕食被食系の積極的な活用は,水生植物浄化法,ラグーン法等の生物処理法に共通するものであり,処理水質向上のために微小動物の定着の場創りのための技術開発が極めて重要な位置づけにあることが明らかとなった。
〔発 表〕 B-18,19,b-7,8,17,18,41,54,59,76

(3)地球本位型社会の境界条件と実現手法に関する研究
−環境リスク評価と予測に関する研究−
〔代表者〕 東京大学生産技術研究所:安井 至
〔分担者〕 化 学 環 境 部:中杉修身
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔目 的〕 化学物質は環境汚染を通じて人の健康や生態系に様々なリスクをもたらし,その適切な管理は人類の生存にとって不可欠の課題である。そこで,本研究では過去の化学物質の製造・使用の動向を踏まえて,発がんを中心とした,化学物質の環境リスクの現状を評価するとともに,その将来動向を推定し,化学物質環境リスク管理のあり方を検討した。
〔内 容〕 ベンゼン,1,3-ブタジエン,ホルムアルデヒドやヒ素などの現状の環境濃度は一生涯さらされた場合に高い発がんリスクを示すレベルに達しており,過去の化学物質の製造・使用の動向から見て,累計の暴露量はまだ高い発がんを示すレベルに達していないが,現状のまま推移すると数十年後には高い発がんリスクレベルに達すると推定された。このような動向予測に対して,化学物質リスク管理を,汚染の未然防止,浄化,暴露防止の3つに分け,それらを組み合わせたリスク管理方策を提案した。また,未然防止については,規制と自主管理を組み合わせた包括的な管理方法の提案を行った。
〔発 表〕 D-22,24,28,d-28

(4)環境汚染物質に対するアレルギー反応性のヒトとマウスでの比較
〔代表者〕 島 根 大 学:秋葉道宏
〔分担者〕 水土壌圏環境部:西村 修
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 紙パルプ産業は木材資源,用水及びエネルギーの多消費型産業であり,環境負荷の発生源としても長年にわたり注目されてきた産業である。本研究では紙パルプ工場の個々のプロセスにおける物質フロー・エネルギーのインプット/アウトプットに関する解析を行い,ゼロエミッションの観点から技術的対応の可能性と対策の評価を行う。
〔内 容〕  パルプ工程,抄紙工程,塗工・仕上げ工程及び排水・排ガス処理施設及び動力施設において@エネルギー(重油換算消費量),水量及び炭素フロー,A排水(BOD,COD,窒素,リン,SS,AOX),残余物(含水率,炭素量,灰分量等)を調査した。日本の紙パルプ産業を対象として物質フローをまとめると,原材料(万t/年,用水57億m3/年)のインプットに対して製造工程では廃棄物259万t/年(内139万t/年有効利用),排水57億m3/年(内25億m3/年リサイクル)が発生し,流通過程で廃棄物2,815万t/年が発生し,内1,439万t/年が古紙リサイクルされ原材料となることがわかった。

(5)古人骨の化学的分析から見た水田稲作農耕による食生活,生業形態の変化
〔代表者〕 化 学 環 境 部:米田 穣
〔分担者〕 地域環境研究グループ:吉永 淳
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 日本列島に居住した先史人類集団では約2500年前に弥生文化という水田稲作農耕を伴う新しい生業活動が開始されたと考えられている。それと同時に骨の形態も大きく変化することから大陸の人類集団が大規模に流入したと考えられ,現代人の遺伝情報もそれを裏付けている。実際に採集狩猟から農耕へと生業を劇的に変化させたのか,水稲が食生活でどのような役割を果たしていたかを骨の化学分析から検証する。
〔内 容〕  弥生時代遺跡より出土する骨組織に残存するタンパク質を抽出して,その炭素・窒素安定同位体比を測定する。同時にハイドロキシアパタイトに含まれるストロンチウム,バリウム,亜鉛等の微量元素の含有量を測定し,その個体が生前に営んでいた食生活を復元する。縄文時代には食生活の地域差が大きかったことが明らかになっているが,弥生時代に水田稲作農耕が開始されたこととでこの地域性が失われたかを調べる。

(6)熱帯域の大規模雲システムに伴う水・エネルギー循環の解明に関する研究
〔代表者〕 大気圏環境部:高薮 縁
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 気候の力学を考える際に熱帯域の雲システムに伴う水・エネルギー収支の定量化は大変重要であるが,これまでに十分な知見は得られていない。本研究では,雲クラスター・赤道波擾乱・スーパークラスター・季節内振動と階層化した熱帯の大規模雲システムに注目し,これに伴う放射フラックスや水物質分布の時間変化を解析し定量化することを目的とする。
〔内 容〕  気象衛星「ひまわり」のデータから雲情報を抽出し,高精度の放射伝達モデルを用いて地表面における短波放射フラックスを推定する手法を開発した。この方法により,0.5度格子1時間間隔で1996年1,4,7,10月について地表面短波放射量を推定した。また,計算領域内の高精度な放射観測サイトである館野の放射観測結果と比較し,推定精度の検証を行った。
〔発 表〕 f-61,63,64

(7)液状化による砂層の堆積構造の変化が強度特性に及ぼす影響に関する基礎的研究
〔代表者〕 水土壌圏環境部:陶野郁雄
〔期 間〕 平成7〜9年度(1995〜1997年度)
〔目 的〕 地震に伴って生じる液状化現象による砂層の堆積構造の乱れ具合が液状化強度特性に及ぼす影響を把握し,地盤環境への影響を明らかにすることを目的としている。
 1993年北海道南西沖地震の際,顕著な液状化現象が生じた後志利別川下流域において液状化層の開削調査を行うことによって,液状化に伴って生じる砂層の堆積構造の乱れ具合や粒子配列の変化を把握する。さらに,室内実験においても堆積構造の乱れ具合いと液状化強度の関係を定量的に把握しようというものである。
〔内 容〕  液状化によって引き起こされる一次的な堆積構造の変化や乱れ具合を地質学的・地盤工学的に検討するため,豊田橋上流約1.2km付近の左岸堤外地で再び調査を行った結果次のような事柄が明らかとなった。
 砂脈及び液状化砂層の密度試験を深度80〜295cmまでの8つの水平断面で,堆積構造調査を垂直断面で実施した。砂脈は地表面から約250cmの深さまで認められた。その下位は礫分を50%程度含む砂礫層であり,この層で液状化が生じていた。砂脈の深度約80cmのところにシルトの薄層があり,液状化した水の沈殿物のようであった。その下の砂脈を充てんしている液状化砂はシルト質砂からなっており,深くなるに従って次第に平均粒径が大きくなり,分級していた。堆積時に形成された1次的構造は,液状化の発生・砂脈の形成とともに,周囲から砂脈基部へ,砂脈基部から砂脈上部へと向かう流れに対応して礫が再配列したものと考えた。下部は主として礫からなっており,偏平な礫粒子が立っていた。砂脈内を上昇する砂礫と水の流れは,45mmより細粒な粒子を運び上げることができたが,45mmより粗粒な粒子を運び上げるには十分な条件をそなえていなかったことを示唆していた。

(8)間欠ばっ気方式による畜舎汚水の窒素除去方法の開発に関する研究
〔代表者〕 東 北 大 学:須藤隆一
〔分担者〕 地域環境研究グループ:稲森悠平
水土壌圏環境部:徐 開欽
〔期 間〕 平成7〜9年度(1995〜1997年度)
〔目 的〕 畜舎排水の水域への汚濁負荷を削減するために運転制御が簡単で維持管理費が安く,高効率に処理を行える排水処理プロセスが望まれている。本研究では,畜舎排水に含まれている高濃度の有機物及び窒素化合物を効率的に除去するために間欠ばっ気活性汚泥法を用いた畜舎排水処理システムの開発を目的として,豚舎排水を用いた室内実験及び現場パイロットプラント実験を行い,間欠ばっ気方式の最適化に関して検討を行った。
〔内 容〕  @豚舎排水の現場調査より豚舎管理方式が発生負荷量に及ぼす影響をまとめた。A室内実験において間欠ばっ気方式の嫌気・好気時間及びMLSSを適切に設定することで,高い硝化性能が得られたものの高率な脱窒のためには水素供与体(メタノール)の添加が必要であった。B反応容積20m3のパイロットプラントを用いて現場実験を行い,BOD容積負荷0.35〜0.54kg/m3/dayでBOD除去率97%,T-N除去率93%が得られ,間欠ばっ気方式の有効性が実証された。
〔発 表〕 B-17,G-12,15,b-39,181

(9)インターネットへの学習情報提供データベースと遠隔共同学習カリキュラムの実用化研究
〔代表者〕 静 岡 大 学:永野和男
〔分担者〕 地球環境研究グループ:村野健太郎
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 遠隔共同学習「酸性雨の共同観測」を実践するために必要な支援ツールを統合化し,開発する。サーバ側で,各種の学習情報をインターネットを通じてサービスできるようにする。「酸性雨の共同観測と,地球環境を考える」をテーマにした,カリキュラムを開発し,教材化する。開発されたカリキュラムを,実践校において実施し,今後の実践上の問題点について検討する。
〔内 容〕  システムの改善に基づき,ネットワーク教育利用研究促進協議会のカリキュラム開発研究として,子供ネットワークプランコンソーシアムの協力のもとに,全国から25校を公募して,実践研究を行った。インターネットを教育現場で共同学習に活用するための支援システムの要件や教師の役割などについても,示唆を与えることができた。
〔発 表〕

(10)氷床コアを用いた氷期ー間氷期にわたる大気成分とその同位体の変動に関する研究
〔代表者〕 東 北 大 学:中澤高清
〔分担者〕 地球環境研究グループ:町田敏暢
〔期 間〕 平成9〜12年度(1997〜2000年度)
〔目 的〕 地球表層における温室効果気体の循環を明らかにするためには,過去の長い期間にわたる温室効果気体とその同位体の変動に関する情報が不可欠である。本研究においては,深層氷床コアを分析することによって,過去30万年以上に及ぶ温室効果気体の変動と炭素循環にとって不可欠な情報である二酸化炭素の炭素同位体及び大気中酸素の変動を明らかにすることを目的としている。
〔内 容〕  本研究から得られる結果の信頼性を確実なものにするために,空気中の窒素同位体比の測定法を確立し,南極H15コアから抽出した試料空気の分析を行った。得られた窒素同位体比から,H15コアの気泡中空気の成分毎の詳細な年代を決定することに成功し,コアへの大気成分の取り込み過程を考慮した濃度の補正技術を確立することができた。これらの技術は来年度以降に行われる深層氷床コア分析に利用される。

(11)法医学的応用のための表面電離型有機マススペクトロメーター(SIOMS)の開発
〔代表者〕 浜松医科大学:鈴木 修
〔分担者〕 化学環境部:藤井敏博
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 使用が激増している乱用薬物,すなわちモルヒネ,ヘロイン,コカイン,覚醒剤,及びこれから使用が増加すると予想される幻覚剤等の研究のために,表面電離型有機マススペクトロメーター(SIOMS)のシステムを開発する。
〔内 容〕  ガスクロマトグラフ(GC)とSIOMSとの接続のためのインターフェースの開発を行うとともに,感度向上のため,SIOMS専用の酸化Reエミッターとインレット用プローブの改良を行った。
〔発 表〕 D-31,32,d-30

(12)環境汚染のタイムカプセル“入皮”による地球汚染時系列変化研究手法の開発と応用
〔代表者〕 地球環境研究グループ:佐竹研一
〔分担者〕 地域環境研究グループ:西川雅高
化 学 環 境 部:伊藤裕康・田中 敦
〔期 間〕 平成9〜12年度(1997〜2000年度)
〔目 的〕 本研究の目的は環境汚染のタイムカプセル樹木入皮についてそれぞれ産業化及び環境汚染の歴史の異なる国で必要な研究試料を入手し,その汚染の状況を調査することである。
〔内 容〕  本年度は特に英国樹皮試料に注目し,サンプリングを行い,ICP/MS分析計,及びイオンクロマドグラフを用いて予察的分析を行った。
 サンプリングを行った場所は@ロンドン市内:ハイドパーク,ケンジントン,キングスクロス駅前,Aシェフィールド:市中央公園,シェフィールド大学前,フォルテホテル庭,Bヨークシャー林業試験所試験地であり,サンプリングを行った。樹種はブナ(Fagus silvetica),シカモア(Acer pseudo platanus)等である。これらの外樹皮試料について共同研究を行っているシェフィールド大学地球科学研究所分析化学センターにおいてテフロン分解容器を用いて分解し,さらにICP/MSを用いて鉛を分析した結果,その汚染レベルはこれまで各国で報告されている樹皮汚染の最高値(約300ppm)に匹敵し,特に交通量の多い場所で高い値を示したが,より汚染の少ないと考えられる林業試験所試験地においてもその値は100ppmに近く英国の著しい鉛汚染を示していた。

(13)野生生物個体群の生存力の評価手法に関する研究
〔代表者〕 生物圏環境部:椿 宜高
〔分担者〕 地球環境研究グループ:高村健二・永田尚志
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 狩猟や生息地破壊,化学物質などの影響で個体数が減少した集団においては,近親交配が生じる機会が必然的に増加する。近親交配によって個体の適応度を低下させる遺伝的な効果は近交弱勢と呼ばれる。近親交配が頻繁に行われている飼育集団においては,子供の死亡率が高いなどの有害遺伝形質の発現を示唆する結果が報告されている。しかし,野生集団では近交弱勢を検出した例はほとんどなく,その評価手法の開発を行う。
〔内 容〕  オオセッカ,コジュリン,イトヨ,ウスバシロチョウなど,メタ個体群構造を持つ種について,生息地の大きさと集団サイズあるいはその変動パターンを把握する。酵素タンパクやDNAの解析から,集団の遺伝的多様性を評価する。さらに,鳥類では翼長やふ蹠長,イトヨは体側面の鱗板数,ウスバシロチョウでは翅脈長を計測し,左右対称性と遺伝的多様性の関連性を明らかにする。また,寄生虫の保有率や病気に対する抵抗性と遺伝的多様性との関連性についても検討を行う。
〔発 表〕 A-41〜43,53〜55,a-57,58,78,79

(14)睡眠覚醒リズムのシフトと不眠症のストレス評価に係わる生理内分泌学的研究
〔代表者〕 地域環境研究グループ:兜 真徳
〔分担者〕 地域環境研究グループ:黒河佳香
環 境 健 康 部:影山隆之
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 近年,生活パターンの夜型化が進んでおり,夜間の活動や昼夜シフトの勤務等も増加している。こうした睡眠覚醒リズムの変化がストレスや不眠症の原因となることが示唆されているが,その本態についてはなお不明な部分が多い。本研究では,都内及びN県,G県及びO県の3カ所で行っている不眠症の疫学調査において見いだされた極端な睡眠覚醒リズムを示すケース,すなわち“short sleeper”,“long sleeper”,“daytime sleeper”,“nighttime sleeper”について,その自覚的及び他覚的な睡眠の評価を行うほか,職域でも同様な睡眠調査を行い,昼夜シフト業務や極端な睡眠覚醒リズムを示すケースについて同様に詳細な評価研究を行うことを目的とする。
〔内 容〕  他覚的評価は,カテコールアミン,コルチコステロン,メラトニン等の内分泌系及び心拍間隔変動のパワースペクトル成分を用いた自律神経系機能指標を用いて行い,また,心拍間隔変動のパワースペクトル解析から得られる超低周波成分は,睡眠のうちの「深睡眠」を示す指標であることが示されてきたので,心拍間隔のモニターデータを用いた睡眠の直接的評価も行うことにした。初年度である平成8年度においては,同調査のための基礎的な検討を行い,現在引き続き調査中である。
〔発 表〕 B-31,b-93

(15)IgG1を介する新しいタイプのぜん息様病態発現メカニズムの解明に関する実験的研究
〔代表者〕 地域環境研究グループ:嵯峨井勝
〔分担者〕 地域環境研究グループ:市瀬孝道・高野裕久
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔目 的〕 我々は,ディーゼル排気微粒子(DEP)をアレルゲンとともにマウスに気管内投与すると,好酸球の浸潤を伴うぜん息様病態が発現することを見いだした。本研究では,このぜん息様病態発現のメカニズムを明らかにすることを目的に,IgE抗体産生能の高いBALB/cマウスとIgG産生能の高いC3H/He系マウスを用いて実験した。
〔内 容〕  DEPと卵白アルブミン(OA)を繰り返し気管内投与した両系統マウスでIgE増加は見られず,IgG1の増加のみが認められ,またぜん息の基本病態である好酸球浸潤とIL-5もIgG高産生系マウスでのみ認められた。一方,ディーゼル排気とOAをICR系マウスに長期間吸入させる実験も行い,DEPの濃度に依存してぜん息様病態が発現することを見いだした。これらのことから,ぜん息様病態発現には,IgG1と好酸球浸潤,IL-5増加が重要であることが示された。

(16)環境汚染物質に対するアレルギー反応性のヒトとマウスでの比較
〔代表者〕 環境健康部:藤巻秀和
〔分担者〕 化学環境部:白石不二雄
〔期 間〕 平成7〜9年度(1995〜1997年度)
〔目 的〕 環境汚染物質のヒトの健康への影響を評価するときに,実験動物で得られた知見をヒトへの影響として直接外挿はできない。そこで,ヒトへの外挿の問題に科学的知見を提供するため,本研究では,環境汚染物質に対するヒトとマウスの細胞における感受性を比較する目的で,アレルギー反応に関与する細胞群に焦点をあて細胞増殖やサイトカイン産生への影響について比較検討した。
〔内 容〕  前年度のマウス骨髄由来培養肥満細胞での結果と比較するために,本年度はヒト幼若好塩基球細胞を用いて,環境汚染物質の影響を細胞増殖能とサイトカイン産生を指標に調べた。DEPの細胞増殖への影響では,マウス肥満細胞よりより低い濃度で抑制がみられた。サイトカイン産生では,PMAとionomycin刺激により誘導されるIL-6産生の濃度依存的な増強がみられた。
〔発 表〕 E-32,34,e-44,48

(17)砂分を多量に含む粘性土の繰返し圧密特性に関する基礎的研究
〔代表者〕 水土壌圏環境部:陶野郁雄
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 上越市西城町では豪雪年と暖冬年とでは10倍もの年間沈下量の違いがある。冬期の揚水量が2倍程度しか違わないのにこのような大きな地盤沈下量の差が生じるのは,地盤沈下対象層のほとんどが砂または砂質シルトからなっているためと思われる。そこで,砂質土及び砂分を多量に含む粘性土の繰返し圧密特性及び繰返し応力をかけた後の二次圧密特性を把握することを目的として研究を行うことにした。このような地層構成の地盤沈下地域はほかにもあり,年間数十日程度の揚水量の差が年間沈下量を支配している理由を明らかにする必要がある。
〔内 容〕  砂分を多量に含む粘性土の繰返し圧密試験を行えるようにするために,全自動繰返し圧密試験装置を改良した。砂質粘性土を用いて繰返し圧密試験を行い,0.1秒間に1回の割合でデータを収録できるように試験装置の一部を前年度改造した。そこで本年度は新たにプログラムを開発し,ほぼ自動的に繰返し圧密試験を行い,さらにその解析まで行える装置とするまでに至った。
 また,上越市の高田市街地において,消雪用に多量に地下水を揚水している深度40m付近の帯水層の地下水位と地層収縮量を新たに開発した持ち運びのできる簡便な地盤沈下測定装置を用いて測定し,地下水位の短期的な変動量と地盤沈下量の関係を明らかにした。さらに,六日町でも深度60m付近の帯水層の地下水位と地層収縮量を同様な方法を用いて観測した。地下水位が深度8mより低下すると,急激に地層が収縮し,しかも水位が回復してもほとんど膨張しないことがわかった。

(18)地理情報システムを応用した熱帯自然環境の変容と昆虫媒介感染症の動向に関する研究
〔代表者〕 神戸大学医学部国際交流センター:川端眞人
〔分担者〕 環 境 健 康 部:小野雅司
〔期 間〕 平成9〜12年度(1997〜2000年度)
〔目 的〕 動物媒介性の熱帯感染症は熱帯・亜熱帯地方の開発途上国に広く分布し,感染者の個人的損失のみでなく地域社会に大きな影響を与えており,温暖化,森林消失や都市化など地球環境の変容に伴い流行地は拡張すると予測されている。本研究ではマラリア(農村部)とデング熱(都市部)を対象に,リモートセンシングや地理情報システムを応用し,伝播動態の解析から今後の動向予測と対策法を構築する。
〔内 容〕  地理環境の異なるソロモン諸島ガダルカナル島,インドネシア東部島嶼地域,タイ国東北山岳地帯を対象に,リモートセンシング画像のほか,地形図,植生図,水系図等の資料の収集を開始した。さらに,それぞれの調査対象地域について媒介蚊の発生源の同定,住民の土地利用と行動域などのデータ収集を行った。これらの情報に基づいて,地理情報システムを使った解析を行い,感染危険要因を定量的に解明する。
〔発 表〕 e-13

(19)高速有機分子の表面電離法をイオン源とするガスクロマトグラフ質量分析計の試作研究
〔代表者〕 小山工業高等専門学校:岸  浩
〔分担者〕 化 学 環 境 部:藤井敏博
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 超音速分子加速法により高速化した有機・無機化合物は加熱固体表面上で効率よく正イオン化または負イオン化される。この原理を利用した高感度に有機・無機化合物を検出できる特異な分析機器GCの開発を行う。
〔内 容〕  Clイオン源用の大容量(150L/sec)ターボ分子ポンプ付きGC/MS装置を用い,GCとMSとのインターフェース部に550L/secのターボ分子ポンプを付加した新システムが組み上がった。
〔発 表〕 D-31,32,d-30

(20)長大立坑を用いた雲の汚染・変質過程の実規模実験研究
〔代表者〕 北海道大学:太田幸雄
〔分担者〕 大気圏環境部:福山 力・内山政弘
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 酸性雨生成の最も基本的な過程である大気汚染物質の取り込みと反応による雲粒の酸性化過程について,鉱山の立坑(高さ約400m)を用いて実規模での実験的な検証を行い,雲の汚染・酸性化予測モデルの構築に資することを目的とする。
〔内 容〕  人工雲への二酸化硫黄放出実験結果に基づいて,雲粒の平均径を10μmとして,平衡に達するまでの時間を見積もると約30秒となり,これは雲底上30mに相当し実測結果とほぼ一致した。一方,雲水に含まれるS(IV)とS(VI)濃度の比は,観測高度すなわち反応時間にほとんど依存せずほぼ一定であった。このことから水滴内の熱反応による二酸化硫黄の酸化はこの実験の時間スケール(約10分)に比べて遅いことが結論された。
〔発 表〕 f-11,67

(21)汚濁内海・内湾の水質浄化における人工海浜の役割に関する研究
〔代表者〕 東 北 大 学:須藤隆一
〔分担者〕 水土壌圏環境部:徐 開欽
〔期 間〕 平成7〜9年度(1995〜1997年度)
〔目 的〕 内海・内湾のような沿岸域は,穏やかで生産性が高く,古くから良好な漁場として,また憩いの場として利用されてきた。しかし,高度成長に伴う埋立てや,護岸工事,汚濁の進行によって海浜は消失していった。日本に現存する自然海岸はわずかであり,しかも健全な内湾生態系は危機に瀕している。本研究では,汚濁の進んだ内湾を浄化する方法の一つとして,自然エネルギーを活用しながら景観を損なうことのない人工海浜システムを提案し,パイロットプラント現場実験による定期観測と連続調査を通して,人工海浜システムによる汚濁海水の浄化機能について検討した。
〔内 容〕  人工海浜による汚濁海水の水質浄化特性及びそのメカニズムを明らかにするために,室内実験と実海浜に設置したパイロットスケールの実験装置を用いて検討した。その結果,@礫を用いた人工海浜において,懸濁物質が効果的に除去され,この効果は主に礫浜の表層において大きく捕そくされ,濁質のうち一部は海水の逆流や波浪によって剥離し,海域へ再流出することがわかった。一方蓄積された有機成分は,分解・無機化された。また有機物の無機化や硝化に伴う礫浜内部のDO消費量は,泥の蓄積が増加するにつれ大きくなり,DOの低下は下層において大きいことが明らかになった。A礫浜内部では,NH4-Nが速やかに硝化され,低DO濃度部における脱窒反応によって窒素ガスとなり,系外排出されることが推察された。B礫浜において,リンは吸着作用によって除去され,海水と接触する表面積が増加するほど除去量は増えた。しかし単位面積当たりの吸着量には限りがあり,時間経過とともに衰えていくことが明らかになった。
〔発 表〕 G-13

(22)IgEを介さない新しいぜん息様病態発現メカニズムの解析とマウスの系統差に関する研究
〔代表者〕 地域環境研究グループ:市瀬孝道
〔分担者〕 地域環境研究グループ:嵯峨井勝
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔目 的〕 我々は先に,5系統のマウスにDEPとアレルゲンを気管内投与したところ,どのマウスにおいても血清中のIgE値は変化しなかったが,IgG1値は系統によって著しく異なり,その順序はぜん息の病態の最もよい指標である気道粘膜への好酸球浸潤や気道上皮の粘液産生細胞の過剰増生等と統計的に有意な相関を示した。このため,本当にIgEが関与しなくてもぜん息様の病態が発現するものかどうかを明らかにすることを目的に実験した。
〔内 容〕  そこで本年度は,IgEの結合相手である肥満細胞が遺伝的に欠損しているマウスを用いて実験した。その結果,肥満細胞が欠損してIgEが作用する場を持たないマウスでも正常マウス同様のぜん息様病態が発現し,IgEが作用しないぜん息様病態の発現が可能であることが示された。このことは,DEPとアレルゲンによるアレルギー性気管支ぜん息の病態発現にはIgEよりもIgG1が重要である可能性を示唆している。

(23)ディーゼル排気微粒子(DEP)によるぜん息様病態におけるリンパ球の役割に関する研究
〔代表者〕 地域環境研究グループ:高野裕久
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔目 的〕 気管支ぜん息は年々増加しつつあり,ヒトへの健康影響は深刻な問題となっている。この増加の原因は明らかではないが,大気汚染,特に浮遊粒子状物質が気管支ぜん息の有症状率や重症度と相関するという疫学的報告もある。都市部の微小浮遊粒子状物質の主体をなすdiesel exhaust particles(DEP)とアレルギー性気管支ぜん息の関連を実験的に明らかにするため本研究を行った。
〔内 容〕  マウスにvehicle,アレルゲン,DEP,アレルゲン+DEP併用を気管内投与した。アレルゲン,DEP単独群に比較しアレルゲン+DEP併用群では,好酸球とリンパ球を主体とする気道炎症と粘液産生細胞増生が著明であり,気道過敏性,抗原特異的IgG1,IgE産生も有意に増加していた。アレルゲン+DEP併用群の浸潤リンパ球にはIL-5陽性の細胞が散見された。肺局所のIL-5の発現は,アレルゲン単独群でも軽度にみられたが,アレルゲン+DEP併用群で顕著に増加していた。DEPは,アレルゲンによるリンパ球の浸潤やIL-5の産生を修飾することにより,好酸球性気道炎症を増悪していることが示唆された。

(24)自然発症肝炎・肝がん動物における加齢に伴うゲノム不安定性の解析
〔代表者〕 地域環境研究グループ:曽根秀子
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔目 的〕 発がん過程におけるLECラットのゲノム不安定性の加齢変化を解析するため,レポーター遺伝子である大腸菌のlacI遺伝子を導入したLECラットを作成した。
 このlacI遺伝子導入LECラットの発がん過程におけるlacI遺伝子の変異頻度を変異Atp7bを持つlacI遺伝子導入LECラット(変異BB-LEC)と正常Atp7bを持つlacI遺伝子導入LECラット(正常BB-LEC)で比較検討した。
〔内 容〕  平均100万DNA分子当たりの変異は,正常BB-LECの6,24,40,60週齢で1.3,1.8,2.3,3.0と加齢とともに増加していた。一方,変異BB-LECの場合は6,24,40週齢で,2.0,5.0,4.7と有意に高かったが,60週齢では差はなかった。以上の結果より加齢により変異頻度は自然に増加するが,異常BB-LECラットにおいては,肝炎発症により変異頻度が有意に上昇することがわかった。

(25)拡散サンプラー方式による揮発性有機化合物の個人暴露量と室内大気の影響
〔代表者〕 化学環境部:相馬悠子
〔期 間〕 平成9〜10年度(1997〜1998年度)
〔目 的〕 揮発性有機化合物は環境に広がりやすく,多くの人々の健康問題に関係してくる。そして人の健康を考える場合には,直接に人への暴露を示す個人暴露量の測定が重要である。それは今や化学物質が身近のものであり,室内汚染との相関も高いことにも関係する。
 この研究では30種類の揮発性化合物を対象として,都市住民の1日平均個人暴露量調査を行い,同時にその人達の室内空気濃度調査を行い,室内空気からの寄与を調査する。その結果からリスク評価を行い,問題となりそうな化合物を検討する。
〔内 容〕  フロン2種,有機塩素化合物8種,芳香族化合物8種の計18種類を測定できた。化合物により3傾向にわかれた。暴露濃度が一般環境大気濃度と同じで発生源が近くにない物質(四塩化炭素等),2番目は暴露濃度が高いが,地域差が少なく,室内の影響と考えられるp-ジクロロベンゼンである。3番目は都市大気汚染の影響が大きいベンゼンなどである。
 これらの結果から揮発性有機化合物は@鼻先にある物質の影響が大きい,A室内汚染の影響が大きい,B一般環境大気濃度より個人暴露濃度の方が高い物質が多いということがわかった。
〔発 表〕 D-18,d-20

(26)都市域における大気環境モニタリングシステムの新構築に関する研究
〔代表者〕 地域環境研究グループ:若松伸司
〔期 間〕 平成9〜12年度(1997〜2000年度)
〔目 的〕 都市域における大気環境質の経年変化や地域分布の特徴を的確に把握することができる大気環境モニタリングシステムの開発を目的とする。
〔内 容〕  研究の初年度である平成9年度においては@モニタリングの技術に関する検討,Aモニタリング項目の検討,Bモニタリングの空間範囲の検討,Cモニタリングの時間範囲の検討を行った。
 発生源モニタリングとしては,自動車からの大気汚染発生量を正確に把握するためには,シャーシダイナモを用いた発生源推定手法とともにトンネルや沿道での的確なモニタリングが必要であることが明らかとなった。
 環境モニタリングに関しては光化学オキシダントの地域分布と経年変化の傾向を現在のモニタリングシステムのデータを用いて解析し,その傾向を把握するとともにモニタリングシステムの検討を行った。解析の結果,オキシダントの観測を開始してから20年間に関東・関西地域においてオキシダントの平均的な濃度は増加の傾向にあり,両地域ともに日最高濃度が出現する地域は都心部から郊外に移動していることが明らかとなった。
〔発 表〕 B-30,109〜111,F-9

(27)生物の相互作用と場の利用を考慮した貧栄養な湖の総合的な保全のための基礎的研究
〔代表者〕 地域環境研究グループ:高村典子
〔分担者〕 地球環境研究グループ:高村健二
生物圏環境部:上野隆平
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 湖沼の水質や透明度は,窒素やリンの濃度や負荷量だけでは十分説明できず,湖沼に生息する生物群集の相互の関係により大きく影響される。そして,生き物は生息場所のさまざまな環境により大きな影響を受ける。湖沼に生息する生物の場の利用や相互の関係を明らかにし,貧栄養湖沼の生態系保全のための基礎的研究を行う。
〔内 容〕  月1回の十和田湖の水質とプランクトン群集の調査から,沖の動物プランクトン群集が魚種や漁獲量の影響を大きく受けるが,植物プランクトン群集は季節により変化する水質や他の物理要因により規定されていることがわかった。沿岸域の底生生物群集は,波による影響を大きく受ける部分とそれ以深とに大きく分別された。沿岸域の水深1m以下では,その密度が水深とともに増加した。
〔発 表〕 K-9,b-123,124,130〜132

(28)植生景観の好みに及ぼす居住環境の影響解明
〔代表者〕 社会環境システム部:青木陽二
〔分担者〕 山 梨 大 学:北村真一
国立科学博物館:近田文弘
千 葉 大 学:古谷勝則
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔目 的〕 人類の発展とともに次第に獲得されていった景観評価という現象は,人々の日々の体験から得られた大変分かりやすい現象であったが,大脳における高度な処理技術に阻まれ,その現象は容易に明らかにならなかった。特に,気候風土を示す代表的景観指標である植生が,景観としてどのような評価を得ているかは明らかでなかった。本研究は,日本の多様な植生がどのような居住環境に住む人々によって好まれているかを明らかにするものである。
〔内 容〕  日本で最も多様な植物群落が見られる南アルプス周辺地域において撮影された24枚写真を用い,北岳山荘,北沢長衛荘,椹島ロッジ宿泊者,長谷村黒河内,伊那市大萱地区住民に提示し,好ましさ,親しみやすさ,自然性について686名から回答を得た。その結果を分析し,高山植物や亜高山樹林への好ましい評価,来訪者と住民の農業景観評価の違い,植物に関する趣味の植生評価への影響,性別や居住気候帯による好ましさの違いなどが分かった。

(29)ppbレベルの低濃度標準ガス(有機ハロゲン化合物)の保存のための容器材質の検討と評価
〔代表者〕 化学環境部:横内陽子
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔目 的〕 有機ハロゲン化合物の低濃度標準ガス(ppbレベル以下)について高圧容器の材質による保存性の違い,同種容器における保存性のバラツキ等を調べ,定量用標準ガスとして用いる場合の問題点と解決法について検討を行う。
〔内 容〕  研磨容器に充填した6種類の低濃度(100ppt)ハロカーボン標準ガスについて保存試験を行った。臭化メチルとヨウ化メチルについて直線的な減少傾向があり,その減少率には個体差が見られた。これらの大気中微量有機物質の高精度分析のためには,高濃度(〜1ppm)標準ガスの希釈ガスによって定期的にキャリブレーションした低濃度標準ガスをワーキングスタンダードとして用いることが必要である。

(30)日本及びヨーロッパの富栄養化水域に発生する糸状藍藻類の新規毒素の構造と毒性
〔代表者〕 化学環境部:彼谷邦光
〔分担者〕 化学環境部:佐野友春
生物圏環境部:渡邉 信
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔内 容〕 本研究では無菌株(CCAP1459/22)及びスコットランドの湖沼に発生するOscillatoria agardhiiのBloomを用いた。凍結乾燥藻体から有毒成分を抽出し,逆相HPLCで分画し,4種類の有毒成分を単離精製した。FABMS,NMR及びアミノ酸の光学異性体分析を行った。CCPAの株からは2種類の新規ミクロシスチン同族体[Asp3,(E)-Dhb7]microcystin HtyR及びLRが同定された。一方,スコットランドのBloomからは[Asp3,(Z)」-Dhb7]microcystin HtyR及びLRが同定された。デヒドロブチリン(Dhb,2-amino-2-butenoic acid)の幾何異性体の発見はこれらを生産している株の生合成に関与する酵素の違いによるものと考えられる。本邦の株からはDhbを含むような構造のmicrocystinは検出されなかった。また,これまでの分析ではDhbを含むmicrocystinsを生産する糸状藍藻類はノルウェーやフィンランドを中心とした北部ヨーロッパに限られる。このことは,有毒藍藻が地域環境により異なる進化を遂げたことを示すものと考えられた。

(31)表面分析法を利用したケイ酸塩鉱物の化学的風化メカニズムの解明
〔代表者〕 化学環境部:瀬山春彦
〔分担者〕 化学環境部:田中 敦
〔期 間〕 平成9〜10年度(1997〜1998年度)
〔目 的〕 本研究は,様々な表面分析法(二次イオン質量分析法,X線光電子分光法,走査電子顕微鏡法,ラザフォード後方散乱法)を組み合わせて,化学的風化,溶解によるケイ酸塩鉱物の表面変化を調べ,酸性雨などによる岩石や土壌の風化反応進行のメカニズムを解明することを目的としている。
〔内 容〕  本年度は,黒雲母と硫酸酸性の水との反応をケイ酸塩鉱物の化学的風化のモデルとし,黒雲母表面の変化を調べた。その結果,硫酸との反応により黒雲母表面からK,Fe,Alが選択的に失われ,Si濃度の高くなった表面溶脱層(SiO2・nH2O)が形成されることが明らかとなった。また,二次イオン質量分析法による深さ方向分析から,硫酸と1週間反応した黒雲母では,表面溶脱層の厚さが約100nmと見積もられた。
〔発 表〕 D-15,d-17,19

(32)MRイメージング法によるLECラット肝における多段階発がん説の検証に関する研究
〔代表者〕 環境健康部:三森文行
〔分担者〕 環境健康部:山根一祐
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 Long Evans Cinnamon(LEC)ラットは銅の代謝異常から,肝炎を経て肝細胞がん等の肝疾患を高率に発症する新しい突然変異動物であり,肝疾患の発症過程を研究するのに好適な実験系を提供する。本研究では,MRイメージング診断法を用いて,同一のLECラット肝を経時的に,繰り返し観察することにより,肝細胞がんの発症が慢性肝炎から前がん状態を経て多段階的に起きているか否か検証することを目的とする。
〔内 容〕  LECラット12匹を対象として,肝のMRイメージ測定を行った。60週齢より測定を開始し,同一動物を15週ごとに繰り返し経過観察を行った。これまで,60,75,90週齢で3回の測定を終了した。T2,T1強調画像,及びGd(DTPA)を用いた造影後T1強調画像により,肝において異常コントラストを示す病変を検出した。病変数は60週齢では4,75週齢では16,90週齢では27例と加齢に伴い激増している。
〔発 表〕 e-60,63

(33)脳神経系における細胞接着分子と細胞膜裏打ち構造との相互作用の解析
〔代表者〕 環境健康部:国本 学
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔内 容〕  脳神経系における細胞接着分子と細胞膜裏打ちタンパク質の相互作用の意義を分子レベルで明らかにするため,神経細胞接着分子L1と細胞膜裏打ちタンパク質脳アンキリンankyrinBに着目して,脳神経系の発生段階における神経細胞でのL1及びankyrinBの発現量と局在の変化をimmunoblot法及び免疫組織化学染色により解析した。alternative splicingによって生じる220-kD及び440-kD ankyrinBは全く同一の膜結合部位(L1と相互作用する部位)を有するにもかかわらず,ラットの脳組織においてはL1の局在は440-kD ankyrinBと一致し,一方ラット小脳由来の初代培養神経細胞ではL1の局在は220-kD ankyrinBと一致した。L1と脳アンキリンとの相互作用は,440-kD ankyrinBに存在する特異的挿入部分によって左右されるばかりでなく,神経細胞の外的環境によっても修飾されることが示唆された。次に,L1の細胞質部分をコードするcDNAを組み込んだ発現ベクターをヒト神経芽細胞腫NB−1細胞にトランスフェクトし,脳アンキリンとL1の相互作用の撹乱を試みた。少なくともNB−1細胞では,大過剰のL1細胞質部分が発現(エピトープタグによって確認)されている細胞においても,脳アンキリンの発現,局在,あるいは細胞の形態は有意に影響されなかった。このL1の細胞質部分は,脳アンキリンへの結合部位を含んでいるにも関わらず,脳アンキリンと相互作用できなかった可能性があり,これは従来より示唆されているようにL1の二量体化が相互作用に必要であるためかもしれない。
〔発 表〕 E-17,e-14

(34)大深度立坑を利用した実スケール雲化学実験−二酸化硫黄の酸化に関する研究
〔代表者〕 大気圏環境部:福山力
〔分担者〕 地球環境研究グループ:村野健太郎
大気圏環境部:内山政弘
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 深さ約400mの立坑内に,実大気におけるのとほぼ同じ規模の人工雲を発生させ,ガス状及び粒子状大気微量成分と雲粒との相互作用あるいは雲粒内で進行する液相化学反応を調べ,地球規模の物質循環や環境変動における雲化学過程の役割に関する知見を得ることを目的とする。当面の具体的目標は,雨水酸性化の主要原因物質である二酸化硫黄のレインアウト過程や雲粒とエアロゾル粒子との相互作用等を調べることである。
〔内 容〕  平成8年9月に釜石鉱山において行った人工雲への二酸化硫黄放出実験結果を解析したところ,二酸化硫黄濃度の鉛直方向減衰率は雲底より上で明白に増加すること,また,雲水中S(IV)濃度は,雲粒のpH〜6という条件で二酸化硫黄が気液平衡にあると考えた場合の濃度と一致することなどが認められた。これらの結果より,雲粒の生成とともに気相の二酸化硫黄はすみやかに雲へ取り込まれて平衡量まで水滴に移行することがわかった。
〔発 表〕 f-11,67

(35)土壌生態系に及ぼす汚染物質の影響評価手法に関する基礎研究
〔代表者〕 水土壌圏環境部:服部浩之
〔期 間〕 平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔目 的〕 重金属や酸性物質による土壌の汚染が進んでいるが,これらの汚染物質が土壌生態系に及ぼす影響は明らかでない。土壌の物質循環機能への汚染物質の影響を未然に防止するためにも,汚染物質の土壌生態系への影響を把握し,その影響手法を確立する必要がある。本研究は,汚染土壌の物質代謝特性を明らかにし,それに基づいて土壌生態系に及ぼす汚染物質の影響評価の手法を開発することを目的としている。
〔内 容〕  青森県恐山の硫気孔の周辺の草地及び林地から採取した12地点の土壌のpH,微生物数(糸状菌数,細菌数,放線菌数など),酵素活性(セルラーゼ,β-グルコシダーゼ),呼吸活性,硝化活性などを調べた。土壌のpHは2.8〜6.1で大半は4以下であり,土壌pHと相関が高かったのは放線菌数で相関係数は0.86であった。また,硝化活性はpH4以下の土壌では少なかった。その他の微生物や活性は,土壌pHとの相関はみられなかった。

(36) DOC分画手法を用いた溶存有機物のトリハロメタン生成能評価
〔代表者〕 地域環境研究グループ:今井章雄
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 浄水過程の塩素処理において有機物から発がん物質であるトリハロメタンが生成される。トリハロメタン前駆物質は溶存有機物に起因し,代表的物質としてフミン物質が良く知られている。本研究は,トリハロメタン前駆物質の適正な定量的分離手法を開発し,トリハロメタン生成原因物質の存在濃度及びトリハロメタン生成特性を明確に評価することを目的とする。
〔内 容〕  非イオン性XAD8樹脂,陽イオン交換樹脂,陰イオン交換樹脂を用いて,湖沼河川水中の溶存有機物を,溶存有機炭素(DOC)をパラメータとして,疎水性酸(フミン物質),疎水性塩基,疎水性中性物質,親水性酸,親水性塩基,親水性中性物質の6つに分画する手法(DOC分画手法)を確立した。この手法を琵琶湖,霞ヶ浦及び流入河川水等に適用し,湖水及び河川水溶存有機物の特性や起源について検討した。
〔発 表〕 B-77

(37) 河川生態系を健全に維持するための瀬と淵のあり方に関する研究
〔代表者〕 水土壌圏環境部:徐 開欽
〔分担者〕 地域環境研究グループ:稲森悠平
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 本研究では,近自然工法によって河川内における生物多様性の確保を実現させるために,生物の生息環境として重要な淵を対象として,河川水質に応じた瀬と淵の構造の最適化を図ることを目的とする。この目的を達成するために,河川水質の中で特に有機物・窒素化合物濃度と淵の構造とを変数として作成したモデルにより,淵底部における溶存酸素濃度を予測し,底生生物の生息可能な溶存酸素濃度を確保しうる瀬と淵の設計因子を検討する。
〔内 容〕  平成9年度では,主に水質の異なる河川でのフィールド調査と,河川で採取した河床礫生物膜を用いた室内実験により,硝化細菌と付着藻類の生理特性を明らかにすることを目指した。その結果,@窒素化合物を高濃度に含む下水処理場2次処理水が放流されている河川においては,窒素由来の酸素消費(N-BOD)が高頻度で検出された。その水質要因として,C/N比が小さいこと,NH4-N濃度が高いこと,水温が高いとN-BODが検出されやすいことが明らかとなった。A現場調査で明らかになった水質条件から人工河川水を調整し,それを用いて河床礫生物膜を馴化させ,N-BODと窒素化合物,硝化細菌数の経時変化を検討した結果,C/N比が小さいほどN-BOD検出までの遅滞時間が短く,水温が高いほど硝化速度が高いことが明らかとなった。
〔発 表〕 B-20,b-18,56

(38)周囲の土地利用が湿原の乾燥化に及ぼす影響評価に関する研究
〔代表者〕 生物圏環境部:野原精一
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔目 的〕 自然環境保全地域,特に湿原生態系の植生は安定した水循環により支えられている。そのため,周囲の地下水位の変化によって植生への影響が出やすい。そこで保全地域とその周囲,エコトーンを含む全体の水循環を明らかにし,植生や生物生産への影響を評価する。植生調査,生理生態的な測定と環境との相互関係を明らかにする。
〔内 容〕  調査は福島県会津若松市にある国の天然記念物の赤井谷地植物群落で行う。赤井谷地は周囲を農地に囲まれ,水路・水田・放棄水田・休耕田など土地利用の違いが存在するので地下水位の変化を通じて湿原生態系に及ぼす周囲の影響や範囲を明らかにできる。特に乾燥化に伴い湿原周辺に侵入しているチマキザサとアカマツの栄養塩吸収における周囲からの肥料の流入を明らかにし,乾燥化へのチマキザサ等の寄与を評価する。今後の赤井谷地の遷移を水循環及び栄養塩循環の点から明らかにする。
〔発 表〕 h-20

(39)湖沼における車軸藻類の消滅機構の解明と生息域外保全に関する研究
〔代表者〕 生物圏環境部:渡邉 信
〔分担者〕 生物圏環境部:野原精一
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 湖沼において激しく消滅している車軸藻類について,その分布と生息状況を水環境を含めて調査し,それらの消滅要因を明らかにするとともに,車軸藻類の培養を行い,増殖条件や生活環制御条件を検討し,個体での保存,卵胞子,精子,受精卵での保存技術を確立することを目的とする。
〔内 容〕  38湖沼における車軸藻類の調査結果について,各種車軸藻類の減少率をもとめ,これに基づきレッドデータカテゴリーに従ってランク付けを行った。その結果,絶滅種はハコネシャジクモ,イケダシャジクモ,チュウゼンジフラスコモ,テガヌマフラスコモ,キザキフラスコモの5種,野生絶滅種はホシツリモの1種,絶滅危惧I類種はシャジクモ,カタシャジクモ等24種と,湖沼に生息するすべての車軸藻類が絶滅あるいは絶滅の危機に瀕していることが判明した。その要因は,干拓,湖岸の開発,富栄養化,草魚放流,水位変動が主要なものと思われる。
〔発 表〕 H-20

(40)森林被害の見られる亜高山域でのオゾンの観測
〔代表者〕 地球環境研究センター:畠山史郎
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 奥日光の白根山周辺においては深刻な森林被害が見られる。被害を受けている樹木は特定の樹種に限らず,広葉樹も,針葉樹も広範囲に被害を受けている。関東平野内で生成する光化学オゾンや,これと植物が放出するテルペン類等の天然炭化水素の反応で生成する過酸化物が原因の一つではないかと考えられる。このため,実際に深刻な被害を受けている高山,亜高山地域でのオゾン濃度の測定を本研究の目的とする。
〔内 容〕  電池で駆動できる定電位電解セルを用いた小型オゾンセンサーと小型のデータロガーにより,平成9年8月1〜10日に,奥日光前白根山頂上直下の鞍部稜線上においてオゾン,気温,風速風向,湿度の測定を行った。夏型の気圧配置が安定せず,比較的低温で,北西からの風が多かった。このため,高濃度のオゾンは観測できなかったが,首都圏方向からの風が続くときにはオゾン濃度が高くなる傾向が見られた。
〔発 表〕 I-19,i-26

(41)極地を中心とした人間(生物)・地球環境試料の超長期保存ネットワークに関する研究
〔代表者〕 近畿大学:江藤剛治
〔分担者〕 化学環境部:柴田康行
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 21世紀の始まりである西暦2001年前後を期して,現在の地球環境並びに生態系の状態を代表する試料・情報を集め,将来にむけて超長期に自然環境下に保存する構想の実現を目指す。具体的な研究を重点領域研究として実施することを目指し,そのための企画調査を本課題で実施する。
〔内 容〕  関連する様々な領域を広くカバーし,効率的な総合研究を進めるために,@保存すべき試料の種類と現在の保存事業に関する調査,A研究機関における冷凍長期保存と極地自然条件下での超長期保存の役割分担の明確化,B欧米と日本を含むアジア地域各国との関連・役割分担,C南極条約との関連整理,D21世紀初頭を目指した地球環境調査の可能性の検討をすすめ,実施研究の研究計画と研究組織案を作り上げる。

(42)新規大環状配位子の創製とそれを用いる希土類錯体の物性および相互分離の新展開
〔代表者〕 神 戸 大 学:増田嘉孝
〔分担者〕 水土壌圏環境部:稲葉一穂
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 化学的性質が類似しているため相互分離が難しいことで知られている希土類元素の効率的な分離分析法の作成を目指して,イオンサイズの差異を認識して安定度の異なる錯体を生成する大環状配位子を開発し分離へと応用することを目的としている。
〔内 容〕  4酸素原子,2窒素原子の6配位座を持つ水溶性の18員環化合物であるクリプトフィクス22を水溶液内でのマスキング剤として,希土類元素のキレート剤による溶媒抽出分離の効率を改善する手法を検討した。クリプトフィクス22は自身の環径に対応してイオンサイズを認識すること,溶液の水素イオン濃度条件でプロトン付加して錯形成能力を失効することからマスキング効果を利用した分離の効率化が可能と考えられた。
〔発 表〕 g-2

(43)“高速有機化合物分子の負イオン表面電離法”のガスクロマトグラフ検出器への応用
〔代表者〕 小山工業高等専門学校:岸  浩
〔分担者〕 化 学 環 境 部:藤井敏博
〔期 間〕 平成7〜9年度(1995〜1997年度)
〔目 的〕 固体表面上での負イオン生成に対する分子の持つ運動エネルギーの効果を定量的に検証し,ガスクロマトグラフ検出器に応用することを目的とする。
〔内 容〕  イオン化度と分子の運動エネルギー:トリカーボネイト固体表面を用い,各種有機化合物について生成される各種のイオン(分子イオン,擬分子イオン,フラグメントイオン)を測定し,生成イオン量と分子の運動エネルギー,固体表面温度,固体表面の仕事関数等との関係について考察した。
〔発 表〕 D-31,32,d-30

(44)化学反応とラジカル分光から見た大気環境科学
〔代表者〕 東京工業大学:渋谷一彦
〔分担者〕 大気圏環境部:鷲田伸明・今村隆史
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 大気中の化学反応プロセスは大気微量成分の除去・変質・生成・蓄積とかかわっており,大気微量成分の濃度変動や微量成分間の相互作用を引き起こすことにより,大気組成・放射場・気候変動に対する応答並びに化学的フィードバックを引き起こす。本研究では,化学反応並びにラジカル分光といった分子科学的基盤からの大気環境科学の切り口を明らかにすることを目的とする。
〔内 容〕  大気化学反応による微量成分中の同位体濃縮メカニズム,電子的・振動的励起化学種の生成とその反応機構,エアロゾル内反応の素過程の解析,界面での適応過程と分子的相互作用,大気中のラジカルや微量成分の計測手法と問題点,窒素・酸素・水等のクラスターの分光学とその大気化学的インパクトをはじめとした多くの話題に関する調査研究を行い,大気環境における様々な現象に対する分子科学的な現象解明の切り口と今後の課題を明らかにした。
〔発 表〕 F-26〜28,f-9,75〜77

(45)高層湿原への人為的影響の評価と保全対策
〔代表者〕 北海道大学:橘 治国
〔分担者〕 水土壌圏環境部:井上隆信
〔期 間〕 平成9〜10年度(1997〜1998年度)
〔目 的〕 本研究では,湿原地下水の水質形成機構を明らかにし,湿原の乾燥化あるいは湿原涵養水や土壌の組成の変化等,人為活動の地下水に及ぼす影響を評価する。特に高層湿原の代表種であるミズゴケ繁茂地域と非湿原種であるササの進入域の水質の特性とその形成機構の差異を明らかにし,自然状態(高層湿原)を維持するための環境条件さらに保全対策を提案する。
〔内 容〕  広域的な地下水と地表水の水質,泥炭組成さらに地下水の流動を調査し,基礎的な湿原地下水の形成機構を解明する。また湿原の保全状況や開発の程度と湿原環境のとの関連を調査し,総合して湿原への人為的影響を評価する。調査は,北海道内のサロベツ湿原16カ所,霧多布湿原10カ所で行い,地下水流動解析,栄養塩と主要無機・有機物質を中心とした水質分析,ICP質量分析による泥炭組成分析を行う。

(46)秋田県鹿角市八幡平地すべり土石流災害に関する調査研究
〔代表者〕 東 北 大 学:柳澤栄司
〔分担者〕 水土壌圏環境部:陶野郁雄
〔期 間〕 平成9年度(1997年度)
〔目 的〕 平成9年5月11日に秋田県鹿角市八幡平において発生した土石流災害は,澄川温泉の裏山における地すべりに端を発し,澄川・赤川両温泉の全16棟を巻き込み,熊沢川に達する大規模なものであった。この際,火山性の水蒸気爆発も認められており,地すべり,土石流,水蒸気爆発がほぼ同時に発生した複合災害の様相を呈した特殊な災害事例として研究上の価値が極めて高い。また,この災害では旅館経営者等の的確な判断もあり,避難誘導がスムーズに行われ,死傷者が出なかったことも特筆される。このようなことから広領域の研究者による包括的な調査研究が必要であり,現地調査,資料収集解析を含めた総合的な調査研究を行うことを目的としている。
〔内 容〕  気象条件と地すべり災害の因果関係,水蒸気爆発を伴った複合災害,八幡平の自然環境を担当し現地調査を行った。今回発生した地すべりは,昭和48年の蒸の湯温泉,昭和36年のトロコ温泉と同様に融雪によりほぼ積雪がなくなった時に発生しており,しかも100mmを超す大雨の後であった。これらを含む大規模な地すべり地内で既存の地すべりが再移動したものであり,熱水変質作用により温泉余土が多量に生成されているところで発生した地すべりであった。水蒸気爆発によって噴き出したもののほとんどは温泉余土であり,この爆発が引き金となって土石流が発生した可能性が高い。この地すべりは火山活動に起因する現象の1つであり,八幡平火山群が解体に向かう1つのプロセスと考えることもできる。

(47)気候変動と大気エアロゾル中のメタンスルホン酸の変動
〔代表者〕 地球環境研究グループ:向井人史
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997年〜1999年度)
〔目 的〕 大気中のメタンスルホン酸(MSA)は海洋の植物プランクトンから放出されるジメチルサルファイド(DMS)の二次生成物であることから,DMS発生量の良い指標となっている。ここでは,隠岐島で長期的に採取された大気粉塵中のMSAを分析し,長期的な気候変化と対応させることによって,DMSの発生量と気候変動がどのような関連で動いているかを解析する。これによって,植物プランクトンのDMS生産が,地球の温暖化の負のフィードバックになり得るかどうか検証する。
〔内 容〕  隠岐島での大気粉塵の採取を継続するために,採取ポンプやケーブルの更新を行った。さらに,隠岐島との比較を行うため北太平洋上での粉塵の採取を行った。MSAの分析のための条件検討を行い,微量での分析が可能になった。これにより,太平洋上のエアロゾル中のMSAの分析が行われ,季節変化などが明らかになった。これによると,その濃度は隠岐島よりさらに高く,地域性が高いことがわかった。本年度はエルニーニョの年であったため,来年度以降起こるであろうラニーニャ期と比較するためさらに継続して粉塵の採取を行う予定である。

(48)中国大陸から越境移動する大陸性エアロゾルの起源の特定に関する研究
〔代表者〕 地域環境研究グループ:西川雅高
〔分担者〕 地域環境研究グループ:森 育子(科学技術特別研究員)
〔期 間〕 平成9〜10年度(1997〜1998年度)
〔目 的〕 中国から越境移動する大気汚染物質の問題は,酸性雨に代表されるように風上側と風下側で見解が異なることがある。エアロゾルは,ガス状物質よりも拡散し難いので飛来ルート特定のよい物質である。春期に大量に飛来する黄砂エアロゾルは,日本の土壌と違った特徴をいくつか有している。この黄砂エアロゾルを利用することによって,中国大陸からの汚染物質飛来ルートを特定する手がかりを探ることを目的とする。
〔内 容〕  中国大陸から飛来する黄砂エアロゾルを緯度,経度ごとに採取できるようにモニタリングステーションを配置した;西表島(東経128度,北緯28度),阿蘇(東経131度,北緯33度),隠岐島(東経133度,北緯36度),富山(東経137度,北緯37度),つくば(東経140度,北緯36度)。中国各地の砂漠/乾燥地帯で採取した表層土の化学分析結果と,日本で採取した黄砂エアロゾルを比較し,気象学的考察を交えて,その飛来ルートの特定を試みる。
〔発 表〕 B-56,81,b-149,184,185

(49)リモートセンシングによる熱帯林の更新様式に関する研究
〔代表者〕 地球環境研究グループ:足立直樹
〔期 間〕 平成9〜10年度(1997〜1998年度)
〔目 的〕 熱帯林の保全や復元のためには,熱帯林の更新様式を定量的に解析することが必要である。そこで本研究では,更新の核となる林冠ギャップ(倒木などによって生じた空隙)の動態を定量的に明らかにすることを目的としている。具体的には,航空機及び人工衛星で取得した画像データを基に,東南アジアのいくつかの異なるタイプの熱帯林で,林冠ギャップの生成と消滅(=修復)速度を広い面積で定量的に測定する。
〔内 容〕  マレーシアの低地熱帯林の2時期のステレオペアの空中写真を入手し,この画像に含まれる50haの保護林について,林冠高のデジタル標高モデル(DEM)を作成した。そしてそれぞれの時期の林冠高分布から,ギャップとそれ以外の林冠部分に森林を分類し,さらに2時期のデータを重ね合わせ,ギャップの生成と修復速度を算出した。その結果,この2時期では両者はほぼ釣り合っており,森林は安定していると考えられた。
〔発 表〕 a-9

(50)光合成誘導反応に及ぼす空気湿度と土壌水分の影響及びその生態学的意義
〔代表者〕 地球環境研究グループ:唐 艶鴻
〔期 間〕 平成9〜10年度(1997〜1998年度)
〔目 的〕 一部の植物では,気孔コンダクタンスが常に高く,光の変化に対する気孔の反応が極めて小さい。これらの植物は通常の植物より変動する光資源の利用効率が高いが,水ストレスに弱い可能性がある。そこで,本研究は変動する光環境下で気孔の反応が少ない植物の光合成誘導反応と水利用効率を明らかにする。
〔内 容〕  異なる光と水環境下で育てた温帯樹種のピース(Populus Koreanax trichocarpa cv. Peace)と熱帯稚樹のStyrax benzoinについて葉の光合成反応を測定し,気孔が常に開いているピースは,通常の気孔反応を持つS. benzoinより,光合成誘導反応の時間が約3倍ぐらい短いことがわかった。また,葉の水ポテンシャルが光合成誘導反応に及ぼす影響が少ないことが示唆された。

(51)化石骨含有コラーゲンに対する続成作用とその炭素同位体比への影響に関する研究
〔代表者〕 化学環境部:米田 穣
〔期 間〕 平成9〜10年度(1997〜1998年度)
〔目 的〕 化石や考古学遺物として発掘される過去の骨試料にはその生物が存在した年代,生息していた生態系に関する情報が記録されている。しかし,続成作用と呼ばれる土壌埋没後の化学変化や分析に先立つ前処理によってその情報は撹乱されている危険性がある。年代測定あるいは生態学的研究で使用される骨組織のタンパク質,コラーゲンに関して続成作用が与える影響を評価するための指標を確立することを目的とする。
〔内 容〕  生物試料の年代測定に使用する放射性炭素同位体及び食物連鎖における栄養段階の指標となる炭素安定同位体比について前処理によるコンタミネーション及びコラーゲン精製による外部炭素除去能力に関して標準物質及び約6000年前の骨試料を用いて検証した。前処理でのコンタミネーションについては当研究所の加速器質量分析器及び前処理装置では60,000yBPという非常に良い結果を得ており,ほとんどないといえる。

(52)アワビ類の再生産に及ぼす有機スズ化合物の毒性に関する実験的研究
〔代表者〕 地域環境研究グループ:堀口敏宏
〔期 間〕 平成9〜10年度(1997〜1998年度)
〔目 的〕 日本産アワビ類主要4種において,1970年代以降,それまで周期的な増減を示していた漁獲量に一貫した減少傾向が認められている。また同時に人工的に放流された種苗生産個体の漁獲量に占める割合(混獲率)が増加傾向にある。このような天然アワビの漁獲量の著しい減少に関してこれまでに種々の原因調査がなされてきたが,いまだ明らかでない。そこで,アワビ類の生殖機能障害(仮説)に関する調査を引き続き実施した。
〔内 容〕  漁獲量の減少と混獲率の増大が著しい海域(A)とそうでない海域(B)から,マダカアワビを毎月購入し,その生殖巣組織標本の作製と含有される有機スズ化合物の化学分析を行った結果,@両海域間で生殖巣の外部形態に差異が認められた,ABでは雌雄が同時期に成熟盛期に達したが,Aではそうでなかった,BAでは周年未熟な雌が観察され,また雌雄同体も観察された,Cアワビ体内の有機スズ濃度はAにおいてBよりも高かった。今後さらに検討を進める。
〔発 表〕 b-169,170,174

(53)重金属および酸化的ストレスに対する生体内防御因子としてのメタロチオネインの役割
〔代表者〕 環境健康部:佐藤雅彦
〔期 間〕 平成9〜10年度(1997〜1998年度)
〔目 的〕 あらかじめ生体内でメタロチオネイン(MT)を誘導合成することにより,無機水銀やカドミウムなどの重金属の毒性が軽減されることやフリーラジカル除去作用を示すことが報告されているが,生体内に存在する既存のMTの役割については明確にされていない。そこで,本研究では,MT遺伝子欠損マウスを用いて,生体内での重金属毒性及び酸化的ストレスに対するMTの防御効果を明確にすることを目的とする。
〔内 容〕  MT遺伝子欠損マウス及び正常(野生型)マウスに,重金属として塩化第二水銀を,酸化的ストレス負荷として制がん剤シスプラチンをそれぞれ1回投与したところ,MT遺伝子欠損マウスでは水銀あるいはシスプラチンによる腎毒性がいずれも野生型マウスに比べて有意に増強することが明らかとなった。従って,内因性MTは重金属及び酸化的ストレスに対する生体内防御因子として重要な役割を果たしていることが強く示唆された。

(54)発展途上国の環境問題の構造分析−大都市の自動 車排気ガスとその健康影響を例に
〔代表者〕 群 馬 大 学:鈴木庄亮
〔分担者〕 地域環境研究グループ:新田裕史
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔目 的〕 発展途上国では大都市の人口増加が著しく,自動車による大気汚染が悪化している。そこで,インドネシアの首都ジャカルタ,その他の地方都市及び農村地区について,大気汚染の現状把握を試みるとともに,アンケートによる住民の健康調査を実施し,汚染物質への暴露量,環境疫学調査を行い,熱帯大都市の健康影響の問題点を解明することににより,途上国の自動車による大気汚染問題の構造を明らかにする。
〔内 容〕  調査計画については,日本側とインドネシア側研究者との共同で立案し,調査の実施はインドネシア側研究者が行った。大気汚染の現状については,常時測定局のデータが不十分であることから,簡易測定器を用いて二酸化窒素の測定を実施した。また,ジャカルタをはじめとする6地区の24中学校の生徒約1万2千人に対して,呼吸器症状調査を実施した結果,呼吸器症状有症率は二酸化窒素濃度と相関し,ジャカルタ中心部では農村地区の約2〜3倍に達していることが明らかになった。

(55)中央アンデスにおける祭祀センターと文明形成の研究
〔代表者〕 東京大学:大貫良夫
〔分担者〕 化学環境部:米田 穣
〔期 間〕 平成8〜9年度(1996〜1997年度)
〔目 的〕  紀元前1000年紀のアンデス文明形成期における祭祀センターが有した政治・経済的な側面での役割を明らかにすることによって,多様な環境を内包する広範囲における祭祀センターの機能を実証的に明らかにする。分担者は遺跡から出土した人骨試料の化学分析を通じて,高精度な年代決定,古食性の復元,古環境の復元,古生態系における物質循環を明らかにする。多様な環境が近接する環境における古環境復元のモデル研究を確立する。
〔内 容〕 祭祀センターである考古学遺跡から出土した人骨試料を分析対象として,加速器質量分析を用いた放射性炭素存在比測定による高精度年代決定,炭素・窒素安定同位体比による古生態系復元を実施した。人骨試料における炭素・窒素安定同位体比からは当時の人類集団にとってトウモロコシ等のC4植物がタンパク質源として重要であったことが明らかになった。引き続き酸素同位体比から沿岸域と山岳域とのヒトの往来を検証する計画である。

(56)南極での自然界超長期保存を中心とした生物・地球環境試料保存国際ネットワークの構築
〔代表者〕 近畿大学:江藤剛治
〔分担者〕 化学環境部:柴田康行
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕  21世紀の始まりである西暦2001年前後を期して,現在の地球環境並びに生態系の状態を代表する試料・情報を集め,将来にむけて超長期に自然環境下に保存する構想の実現を目指す。そのため,関連する欧米等の諸外国の研究者とともに国際的な共同研究体制を作り上げることを目的とする。
〔内 容〕 本年度は大阪千里において,諸外国の関連研究者を招へいして国際シンポジウムを開催し,研究の意義と位置づけ,実現可能性,試料の保存性,関連研究の現状等に関して意見交換を行い,その結果を踏まえて今後の共同研究の進め方に関するアピールを採択した。

 


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