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国立機関公害防止等試験研究
1.地域の未利用資源を活用した河川等の生物的浄化システム開発に関する研究
〔研究担当〕
| 地域環境研究グループ |
: |
稲森悠平・水落元之 |
| 水土壌圏環境部 |
: |
西村 修 |
〔期 間〕
平成6〜8年度(1994〜1996年度)
〔内 容〕
我が国の公共用水域の水質は,環境基準の達成率からみても改善は遅々として進んでおらず,汚濁湖沼・河川・内湾が全国各地に数多く存在している状態にある。一方では,廃棄物排出量の増大による対策が大きな問題となり,資源リサイクル等を考慮した未利用資源の有効活用を促進することが重要視されている。本研究では,水質汚濁の現状,廃棄物排出形態,生活様式などが地域依存性に高いことを鑑み,東京都,神奈川県,長崎県の地方公設試験研究機関との連携のもと,特に地域に特有の未利用資源を活用した水質改善対策等を図ることを目的に検討を行ってきた。
最終年度は,地域未利用資源としての余剰汚泥,焼却灰,食品産業廃棄物などをセラミックス状の浄化接触担体に改変し,水路直接浄化法などのBOD20〜50mg/l,T-N5〜20mg/l,T-P1〜5mg/lの低濃度汚濁水浄化において,これまで除去対象とされていなかった栄養塩類除去システムの開発を目的に嫌気好気生物膜法の適用性について検討を行ってきた。その結果リン除去特性としてはCa(OH)2を多量に含有したセラミックス担体でT-Pで約80%の除去率が得られ,このときのPO4-P除去率は約60%と他の担体の除去率5%と比較して極めて高いリン除去能を有することが明らかとなった。窒素除去特性としては循環なしではD-Nで約30%の除去率であったのに対して循環比0.5に設定した系では約40%以上の除去率が得られ,循環効果により生物学的硝化脱窒反応に由来して窒素除去能の高まることが明らかとなった。しかしながら,カルシウム含有セラミックス担体ではリン吸着反応に伴い水酸化物イオンの放出が起こりpHが上昇し,嫌気槽では脱窒阻害を与え窒素除去能の低下がおこったが,アル
カリ度の供給に優れた結果を示したことから,好気条件での利用が有効になるものと考えられた。なお,BODの除去率は約90%と高い除去率が得られており,各種未利用資源担体は循環の有無に関わらず嫌気好気生物膜法において従来の担体と同様の性能の得られることがわかった。
〔発 表〕B-12,17,b-12,15,16,45,54
2.湖沼での有機物の動態解析手法の開発に関する研究
〔研究担当〕
| 地域環境研究グループ |
: |
福島武彦・松重一夫・高村典子 |
| 水土壌圏環境部 |
: |
今井章雄 |
〔期 間〕
平成7〜9年度(1995〜1997年度)
〔内 容〕
琵琶湖北湖湖水および流入河川水を対象として,3種類の樹脂を用いて,疎水性−親水性,酸性−塩基性の違いに基づいた溶存有機炭素(DOC)分画手法を適用し,各画分のDOC濃度および紫外部吸光度(UV)を測定した。琵琶湖湖水および流入河川水ともDOC成分として有機酸,すなわち疎水性酸(フミン物質)と親水性酸が卓越していた。湖水は親水性酸,河川水は疎水性酸が優占した。湖水のUV:DOC比は親水性酸,湖水DOC,疎水性酸の順に高くなった。湖水疎水性酸(フミン物質)のUV:DOC比は藻類由来フミン物質とほぼ同様な低い値を示し,湖水フミン物質は主に藻類由来ではないかと示唆された。
長期における連続測定が可能なDO,pH,水温,電気伝導度を測定し,それらの変化量から,湖沼における一次生産量を予測する手法を確立することを目的として研究を行った。本年度は,汽水湖である涸沼において本手法の検証を目的として,夏,秋,冬の計3回連続測定を行った。また,同時に明・暗ボックスを用いた手法による一次生産測定も行った。現在,データの解析を行っている。
十和田湖の湖心(水深100m地点)において,2年にわたり毎月,層別に水質(栄養塩),サイズ別クロロフィルa量(<2,2〜10,>10μm)およびプランクトン群集(細菌,ピコ植物プランクトン,植物プランクトン,動物プランクトン)について調べた。その結果,十和田湖は窒素:リン比が低く,他の貧栄養湖と栄養塩条件が異なることが明らかになった。また,春から夏にかけては,大型の植物プランクトンと輪虫が優占し,秋に小型の植物プランクトンと枝角類のBosminaが出現する傾向があった。1997年10月には,Daphnia
が出現し,この時期に小型の植物プランクトン量が増えた。
〔発 表〕K-94〜96,B-70,92,b-136,163,165,167,170
3.兵庫県南部地震による突発的負荷変動が大阪湾環境に与える影響に関する研究
〔研究担当〕
| 地域環境研究グループ |
: |
竹下俊二・木幡邦男 |
| 水土壌圏環境部 |
: |
渡辺正孝 |
| 地球環境研究グループ |
: |
原田茂樹 |
〔期 間〕
平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔内 容〕
兵庫県南部地震により,阪神地区の下水,排水処理施設が大きな損傷を受けたため,未処理水,各種廃棄物などによる流入汚濁負荷が増加した。この,突発的な負荷の変動と,それにより引き起こされる生態系の変動,内部生産の増加,底層の貧酸素化などの過程を正確に把握することで,富栄養化の機構解明を研究するための,他では得られない貴重なデータを蓄積する。また,過大な有機汚濁や栄養塩の負荷は底泥に蓄積され,後年にも影響が及ぶものと考えられる。流入負荷や底泥からの栄養塩回帰を考慮した大阪湾の生態系モデルを構築し,集積されたデータを用いてモデルを検証することを目的とした。河川から流入する栄養塩の負荷につき,増水時の負荷量が大きいと言われてきたが,現在まで,極めてデータが不足している。本年度は,兵庫県を流れ,大阪湾に流入する5河川(武庫川,東川,夙川,妙法寺川,明石川)で,平成8年10〜12月の増水時に5回,流入量及び流入負荷量の調査を行った。
平成7年度に,震災直後から調査された大阪湾水質データを整理した。震災直後の平成7年2月には,被災した東灘処理場周辺の海域で,COD(化学的酸素要求量)が非常に高い値であったが,6月以降の調査では,特徴的な差は見いだされなかった。本年度も,長期にわたる震災の影響を調べるため,大阪湾にて5測点,播磨灘にて8測点を設定し,水質,生物量等の調査を行った。また,大阪湾,播磨灘で採泥し,底泥からの栄養塩の溶出量を測定した。大阪湾,播磨灘を1kmメッシュで区切った3次元流動モデルを構築した。モデルを検証するために,流動など,多くの実測値が入手できた1989年について,水温・塩分の実測値と計算値を比較した結果,海峡部の流入速度等に差違が見られたものの,水温・塩分の水平・垂直分布は良く一致した。
4.有害金属の形態別分析技術の開発と地下水汚染機構解明に関する研究
〔研究担当〕
| 地域環境研究グループ |
: |
西川雅高 |
| 化学環境部 |
: |
中杉修身・柴田康行 |
〔期 間〕
平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔内 容〕
近年,様々な有害物質による地下水汚染が顕在化し,その対策が緊急の課題となっている。一昨年に水環境基準項目,環境基準値の見直しや強化が行われて以来,ヒ素等の基準値を超える地下水汚染が,全国的に見つかっている。こうした背景から,本研究では,ヒ素を始めとする有害元素による地下水汚染機構の解明と無害化技術の開発を中心課題として行っている。
ヒ素の形態別分析方法は,多くの報告があるが2つに大別される。一つは,試水中のpHを調整して,発生する水素化ヒ素化合物を形態ごとに分離する方法で,pH3〜5の弱酸性下では,無機態3価とジメチルアルシン酸(DMA)が水素化物を生成し,無機態5価やモノメチルアルソン酸(MMA)は,水素化物を形成しないことを利用した方法である。また,一つは,液体クロマトグラフ法によって試水中のヒ素化合物を形態別に分離し,原子吸光,ICP発光分析法,ICP/MS法により定量する方法である。地下水中に溶存する主なヒ素化合物は,無機態3,5価とMMA,DMAの4種類であり,その他の形態は,特殊な有機化合物を除くと毒性が弱く,しかも溶解度も高くないため,分析の必要性が低い。そこで,この4種類に限定した迅速分析法を開発した。長さ3cmの弱陰イオン交換樹脂を充填したマイクロカラムに試水通し,分離された4種類のヒ素をICP/MS装置で分析する方法である。本法は,分析に必要とする試水量が200μl以下であり,全分析時間は10分以内と短時間であり,検出感度も10pptと環境基準値の1/1000が測定できる。ヒ素汚染している地
下水を分析した結果,無機態5価のヒ素による汚染のケースが多かった。そのほか,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,硝酸態窒素によって汚染された地下水の実態解明を行い,汚染の低減下方法についても検討した。
〔発 表〕D-21,23〜25,27,b-146,d-19
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