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地球環境研究総合推進費による研究


10.課題検討調査研究


(1)石油汚染の海産生物に及ぼす影響及びモニタリング手法の開発に関する予備的研究
〔研究組織〕  化学環境部
〔研究概要〕
 海洋汚染の中で注目される汚染のひとつである石油汚染のモニタリング手法の確立を目指して,多環芳香族炭化水素化合物(PAH)等の一斉分析と生物試料の分析,並びに生物濃縮を模倣した新しいサンプラーの評価を軸とする研究を行った。また,平成9年1月に発生した日本海タンカー沈没事故に対応して現場の調査研究並びに試料採取,分析を行った。本年度地球環境モニタリングFS課題の一環として収集したイカ試料のPAHを分析した結果,北東太平洋の限られた海域でベンゾ(a)ピレン等の濃度が高い現象を認め,以前の地球環境研究総合推進費課題での結果を確かめることができた。海流の関係で,この海域は1989年のエクソンバルディーズ号事件の影響を受けているものと予想されたが,検出されたPAHの分布パターンは報告されているバルディーズ号原油のものとは異なっていた。米国,カナダの研究者と連絡をとりながら,ほかの原因の可能性も含めた検討を進めている。また,生物蓄積に関して問題となる代謝分解や個体差,性差などの影響を抑えるために開発された生物模倣サンプラーである半透膜デバイス(SPMD)を入手して評価検討をすすめ,日本海重油汚染事故への適用を目指したが,冬の日本海の荒波に耐えて1カ月SPMDを海水中に保持・曝露する機構の開発と性能評価が間に合わず,海水並びに生物の採取と分析を優先した。くみ取り重油並びに漂着油の分析から,ベンゾ(a)ピレンを含むPAH(特に比較的分子量の多い領域)の分布パターン並びにアルキル化ジベンゾチオフェンのパターンが同定・追跡のよい指標となることがわかった。沿岸漂着油並びに沖合漂流油周辺の海水からも同じ特徴的パターンのPAHが検出できた。検出されるピークの中で手持ちの標品と一致して同定可能なものはその一部に過ぎず,その他の化合物がどのような構造を持つのかを明らかにするために,分離精製作業を続けている。


(2)アジア諸国における開発水準と生活の豊かさ(QOL),環境意識・行動に関する予備的研究
〔研究組織〕  地域環境研究グループ
 環境健康部
〔研究概要〕
 地球環境問題への具体的対策にとって,とくに工業化や産業化の活発な開発途上国における住民の環境意識・行動の水準が重要と考えられるが,それら水準を改善するためのインセンティブ等,今後の方策を考察するためには,それらの背景にある規定要因をも含む総合的かつ構造的な把握が必要と考えられる。本研究では,アジア地域諸国における環境意識・行動について,その背景要因と考えられる開発水準および生活・健康水準(したがって人口転換の水準)を基本として把握・整理することを目的として,中国,インド,ネパール,バングラデシュ,パプアニューギニアにおいて調査の可能性と調査内容の具体的検討を目的とした予備的調査を行った。
 各国における調査対象地域は,都市と農村に大きく分けられるが,これらを各国横断的にみると,都市は,工業化・産業化・都市化の水準に応じたランク付けが可能であり,それら開発活動に由来する環境負荷による「環境リスク」の問題を抱えている。ただし,こうした都市での「環境リスク」は,大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・振動等の地域環境問題と,同時に地球温暖化やオゾン層破壊を初めとする地球環境問題にかかわる「健康リスク,生態系リスク及び生活の質(QOL)」の3つの側面から解析しうるものとする。
 一方,農村での「環境リスク」としては,急激な人口増加を背景に,自然環境の乱開発による森林破壊・耕地の荒廃,砂漠化や飲料水の枯渇,農薬汚染,その他衛生環境の問題が大きい。このことは,とくに開発水準のい国の場合の疾病・死亡構造が,感染症や新生児死亡が多いことによって特徴付けられることからも明らかである。こうした農村環境の開発に係わる諸次元の中で,農業生産を取り巻く所与の自然環境,土地制度やカーストなどの階級制度といった社会・経済的要因等も重要と考えられる。
 本予備調査の検討の結果,これから実施する本研究において,これら諸国における都市と農村を対象として実施する調査として,既存データ(人口,社会経済,健康,環境測定値など)の収集整理,参与観察及び質問調査の進め方とその具体的内容について,整理した。

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