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科学技術振興調整費による研究
8.生活・社会基盤研究
(1)環境保全と資源の持続的利用に資する地域エコシステムの開発に関する研究
1)流域汚濁付加削減管理手法の開発に関する研究
〔研究担当〕
〔期 間〕
平成7〜9年度(1995〜1997年度)
〔内 容〕
市町村ベースでの流域管理のための地理情報システム構築を行い,適正な管理手法を明らかにする目的で研究を行った。平成8年度は,霞ヶ浦流域市町村1つであるつくば市を対象に,町丁字単位での各種統計データを収集し,地図情報,航空写真,現地調査などによって,国勢調査区図単位での人口,土地利用などの環境情報データベースをパソコン利用地理情報システム上に構築した。さらにこれらのデータから窒素,リン,有機物及びゴミについて発生源負荷量を推定しデータベース化を行い,処理形態のデータと組み合わせ,排出負荷量を求めた。降雨,水道,地下水利用,農業用水等の水の流れを明らかにし,各水系毎に水路図を作成し,地理情報システム上にデータ化した。各水系を2次河川,3次河川等の小流域に分割し,小流域単位での水収支,物質収支を明らかにし,平均水質の水質予測を行った。
これらのデータベースを地図情報として提示し,各種保全対策の流域管理情報として活用する。また,地図上に特定地域を指定し,処理形態を変化させた場合や各種開発行為に伴う水質変化の予測を行う。このような操作により,各種の汚濁負荷対策を行った場合,例えば合併浄化槽を普及させたときの効果などについて評価を行った。
〔発 表〕K-98,b-168,169
(2)生活排水等の循環共生型処理技術の開発に関する研究
〔研究担当〕
| 地域環境研究グループ |
: |
稲森悠平・水落元之 |
| 水土壌圏環境部 |
: |
西村 修 |
〔期 間〕
平成7〜9年度(1995〜1997年度)
〔内 容〕
窒素,リン,有機物の高度処理,汚泥の減量化,処理システムのさらなるコンパクト化等を考慮した高性能な小型合併処理浄化槽の開発に対する社会的要請は年々強くなってきている。そのため,流入負荷条件,運転条件の変動に対して耐性可能となるような諸環境因子の解明,運転条件の最適化を図ることが極めて重要である。本研究では,流量調整型嫌気ろ床接触ばっ気方式,流量調整型嫌気ろ床生物膜ろ過方式を適用し,本年度は窒素等の処理特性に及ぼす水温,負荷条件,逆洗等の環境因子の影響,および吸着法,電解法によるリン除去プロセスの基礎的設計等について解析を行い,コンパクト化を目途した適正な逆洗条件,最適運転条件を明らかにすることを目的として実験を行った。
生物膜ろ過槽にかける逆洗は,処理能力の低下時期にて開始した結果,BOD除去はどの水温においても90%以上と高い状態であり,処理水中のBOD濃度はおおむね10mg/l以下と良好な水質が得られる結果となった。また,硝化反応は安定状態に入りHRTを24,18,12,6時間,10℃においては4時間とした場合,硝化率は90%以上と非常に高い値が得られ続け,充てん担体の目詰まり,逆洗操作による硝化反応の低下がみられず,高い微生物保持能力を維持できることを明らかにした。また,低水温下になるほど硝化反応より脱窒反応の方が律速因子となる傾向にあったが,流入負荷を高めることにより効率的な硝化脱窒反応の行われることが明らかとなった。また,リン除去能としては,対照系で処理水中のT-Pが2〜3mg/l程度であったのに対して,リン酸イオンを選択的に吸着できるセブントールTM-Pを充填した吸着法ではT-P0.2〜0.3mg/l,アルミニウム電極を用いた電解法では70〜97%の範囲でリン除去能が保持された。これらのことから,コンパクト化を目指した高度処理プロセスとして物理的リン除去を組み込んだ生物膜ろ過法の有効性を明らかにすることができた。
〔発 表〕K-40,b-13,14,17〜19,24,25,29,38,48,53,56,58,72
(3)日常生活における快適な睡眠の確保に関する総合研究
1)生体リズムの睡眠・覚醒調節作用に関する研究
−環境ストレスによる生体リズムへの影響と感受性の固体差の解明
〔研究担当〕
| 地域環境研究グループ |
: |
兜 眞徳・影山隆之 |
| 環境健康部 |
: |
黒河佳香 |
〔期 間〕
平成8〜10年度(1996〜1998年度)
〔内 容〕
睡眠に影響を与える物理的要因として,夜間の道路騒音,電磁界暴露あるいは照明環境等の影響が示唆されており,快適睡眠保全の観点から,それら影響の評価と対策法を探ることを目的として,本疫学調査を開始した。本年度は,東京都I区の住民男子約500名と沖縄のK島の住民男女約1,000名を対象として,不眠症や睡眠の取り方等に関するアンケート調査を,前者では郵送法,また後者では個別訪問により実施した。また,前回行ったアンケート調査の結果から,すでに不眠症(「入眠困難」,「中途覚醒」,「早朝覚醒」「覚醒時の不眠感」が週1回以上,1カ月以上持続しているもの)と判定されている都内I区の主婦約30名を対象として,連続一週間の超低周波電磁界への個人暴露測定を行い,不眠症との関連について解析中である。なお,測定は米国Enertech社のEMDEX-LITEを用い,1分ごとの3方向軸の磁界瞬時値の実効値(rms)を測定・記録した。上記アンケート調査結果については現在解析中であり,得られた知見については追って報告する。なお,前回の都内I区の主婦を対象としたアンケート調査では,不眠症の頻度は,幹線道路沿道では,後背地の数%に比較して約2倍であった。
〔発 表〕B-24〜26,b-82〜85,88,95
(4)スギ花粉症克服に向けた総合的研究に関する調査(FS)
〔研究担当〕
〔期 間〕
平成8年度(1996年度)
〔内 容〕
スギ花粉症克服に向けた総合的研究のFS調査として,花粉症と大気汚染物質との関係,および個人モニターによる生活環境での花粉暴露および花粉の自動計測装置の開発の2課題について,研究の現状と課題と今後の研究課題に関して,既存の知見に基づいて整理・検討を加えた。その結果,花粉症と大気汚染物質の関係については,動物実験からは関連性を肯定する知見が多くみられるものの,疫学研究による知見は肯定するもの,否定するもの両者の報告があり,今後さらに検討する必要があると考えられた。花粉の自動計測装置については,装置を構成するために必要な要素技術についてはすでに確立したものが多いと考えられるが,スギ花粉のサンプリング,免疫反応を応用したスギ花粉に特異的検出方法などをさらに検討することにより,実用的な装置の開発を目指すべきであると考えられた。また,スギ花粉飛散数測定の自動化は飛散予測・予報の高度化に大きく貢献するものと期待される。
〔発 表〕K-4
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