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概要


1.地球環境研究グループ

 人間活動の急速な拡大が種々の地球規模での環境問題を生起している。その原因,現象,対応については要因が輻輳しており,これまでの学問分野をあげての協力による問題解決指向の取り組みが必要となってきている。当研究グループは1990年の発足時より,地球環境の諸問題について課題ごとにチームを結成し中核の研究をみずから行うと同時に,地球環境総合研究推進費を中心とする内外の研究を組織化しながら,環境保全政策に有効な科学的知見の集積につとめてきた。
 本年度は,これまで長期的に準備を重ねてきた衛星搭載オゾン観測がADEOS衛星の打ち上げ成功によっていよいよデータ利用段階にはいったこと,シベリア航空機観測や北太平洋定期航路観測による温室効果ガスなどのデータが解析できるまでに集積しはじめたこと,熱帯林では1996年の一斉開花に始まる新たなサイクルに基づく研究がはじまったこと,北半球におけるオゾン層減少の一因である極渦内部におけるオゾン層破壊が北海道上空まで生じていることをはじめて検出したことなど,なかなかにエポックメーキングな年であった。
 また,気候変動枠組み条約の進展にあわせて気候変動統合評価モデルに関するIPCCワークショップで政策検討を行い,アジア諸国の参加による東アジア酸性雨監視ネットワーク構築に向けての大気・土壌総合モデル開発や国際共同観測,生物多様性保全のための絶滅プロセス解明を進め,また今後政策実行の面から重要となってくる社会科学対応研究を拡大するなど,地球環境問題の国際的動きにあわせて的確な研究推進を行った。
 さらに,中国沿岸での長江経由の汚濁物負荷変動予測研究の開始や地域海計画への参加などアジア地域を中心においた国際的研究展開を進めている。

2.地域環境研究グループ

 地域環境研究グループは“保全対策”と“リスク評価”の2分野について9課題の特別研究を11チームによって実施した。また,4課題の“開発途上国環境技術共同研究”を4チームによって実施した。それら成果の要点を研究チームごとにまとめると以下のようである。
 海域保全研究チームは浅海域における,物質循環と浅海域の機能に関する新しい特別研究を開始した。内湾域の一次生産構造の理解に進展が見られつつあり,一例として小型原生動物プランクトンの重要性を明らかにした。
 湖沼保全研究チームは霞ヶ浦流域特性と水質の関係,ピコプランクトン発生,湖沼環境の指標化,屋外実験池を用いた生態系構造の水質,物質循環に及ぼす影響の解析を行った。溶存酸素,pHの連続観測データをもとにした生物代謝活性の評価,霞ヶ浦やその流入河川で溶存有機物のモデル化,流域特性の評価を行った。
 都市大気保全研究チームと交通公害防止研究チーム,水改善手法研究チームは共同して特別研究を実施した。東京及び大阪地域における大気汚染物質濃度立体分布の特徴をフィールド観測データを基に調べ,さらに三次元モデルを用いた解析を行い二次生成大気汚染と発生源との関連性,大気安定度を考慮した沿道大気汚染の分布を定量的に解析した。また粒子状物質の長距離輸送,炭化水素成分の挙動解明についても検討した。一方,都市域の水質の改善のための研究としてアルミニウム電解による,リン除去システム等についての研究を行った。
 交通公害防止研究チームは,大都市を中心とした交通公害問題をより精緻に把握するためのシミュレーションプログラムと情報システムの拡充に努めるとともに,公共交通,自動車交通,道路構造のそれぞれの分野における対策案と一部その技術開発に着手した。電気自動車として“ルシオール”号を完成させた。
 有害廃棄物対策研究チームは,廃棄物処分地に起因するリスク評価を行うため,埋立地からの浸出水や埋立地汚染土壌の分析手法を検討した。また生物検定を並行して行い強毒性物質の検索を併せて行った。併せて,汚染土壌標準試料を作製した。また,揮発性有機塩素化合物によって汚染された土壌,地下水汚染の浄化技術の開発と評価を行った。
 水改善手法研究チームは,輸送循環システムにかかわる環境負荷の定量化と環境影響の総合評価手法に関する研究を進めており,輸送システムにおける環境負荷を比較リスク評価手法や汚染物質排出量から整理すること,またリサイクルにおけるLCAの概念整理を行った。
 環境リスク評価を対象としている分野では,4つの特別研究が行われた。研究内容は,健康リスク評価と生態系リスク評価とに大別できる。
 新生生物評価チームは,浄化微生物を用いたバイオレメディエーション技術とその影響評価手法について研究を行った。組換え体の作成,それを用いた浄化機能試験法の開発を行うとともに組換え体の環境中での生残性の検討,さらに生態系への影響評価手法について検討を行った。
 化学物質健康リスク評価チームは,有機塩素化合物を対象として,大気中の有機塩素化合物及び化学物質の環境影響の総合評価手法の開発を目指して,河川での底質及び水中の有機塩素化合物の測定とそれを用いた暴露量の評価,検出された化合物の複合影響評価のin vitro系の試験システムの開発などを行った。また暴露量から発がんリスクの推定を行った。
 都市環境影響評価研究チームは,次年度開始特別研究である電磁波の人の健康に対する影響を調べるための予備的研究を行った。
 大気影響評価チームは,ディーゼル排気が気管支ぜん息やアレルギー性鼻炎に及ぼす影響とその量−反応関係,発症メカニズムの解明,及び呼吸器腫瘍の発症に及ぼす食事性因子の影響とその量−反応関係の解析などを行った。またディーゼル排気高濃度暴露集団の個人暴露量推定とリスクの評価を行った。
 化学物質生態影響評価研究チームは,複数の農薬の暴露が藻類,動物プランクトン,水生昆虫などに及ぼす相加的あるいは相乗的影響,生物種間の感受性の差や耐性,生物間相互作用に対する影響などの検討を行うとともに桜川に設置したバイオモニタリング施設を用いて,酵素活性変化による検出手法を調べた。
 健康影響国際共同研究チームは,大気汚染による被害の著しい石炭燃焼に伴う汚染の中で,1800万人に上るフッ素症が発生しているフッ素の室内外汚染に注目し,その暴露評価と健康影響について日中共同の調査研究を行い,フッ素症の診断,フッ素の個人暴露量推定を行った。
 水環境改善国際共同研究チームは,タイ,フィリピン,インドネシア等の諸国が生活排水,産業排水等の未処理放流で水辺環境の汚濁が著しく進行していることを踏まえ,自然利用強化型の適正水質改善技術の共同開発研究を行った。ラグーン処理,ガマ植栽浄化法等について検討した。
 生態系管理国際共同研究チームは,揚子江中下流域を含む東部湿潤地域にある淡水湖の湖沼管理に関する研究を行った。東湖及び洞庭湖の水質及び生物群集についての調査を実施し,また国内において霞ヶ浦に設定した隔離水界を用いて,食物網の構成要素,水界透明度等について検討した。
 大気環境改善国際共同研究チームは,中国の大気エアロゾル汚染に注目して研究を開始した。各地の大気粉塵試料のサンプリングを始め,粒型別組成変動についての解析を開始した。

3.社会環境システム部

 環境問題は,すべて人間活動が原因であり,人の自然外囲である大気,水,土,生物等の環境を介して,ふたたび人間の生存,生活,社会経済活動等に回帰してくる問題であるといえる。それゆえ,環境問題は一面すぐれて社会的な問題でもある。社会環境システム部では,こうした問題意識のもとに,システム分析等の手法により環境保全に関する政策科学的及び情報科学的な基礎研究を行うことにしている。
 本年度は,上席研究官及び環境経済,資源管理,環境計画及び情報解析の4研究室,及び主任研究官が,それぞれ基幹となる合計11の広範な経常研究のページへ課題を選定し実施した。同時に,3つの奨励研究課題を環境経済,資源管理及び情報解析研究室で各1課題ずつ実施した。
 上席研究官を中心として2つの基本的研究課題を実施した。この中で,環境社会学研究のあり方とともに,人々の環境認識と行動に意味論的環境観からの解釈を行った。また,自由記述法による住工混在地域や東京湾沿岸における環境意識調査結果から得られた情報の質的分析を行い,その回答から多様な意識を表出されることが見いだされた。
 環境経済研究室で行う経常研究のページへ課題1では,事例的に2つの分野をとりあげることにより,環境問題の社会経済的側面の解析と具体の環境保全施策の分析評価を行った。また他の研究課題では,気候変動枠組条約に関する国際交渉をとりあげ,2000年以降の締約国間の具体方策に関し,その経済的効果や合意可能性について検討した。なお,これと関連し,奨励研究でも,2つの異なるシナリオについて国際政治コストを含めた地球温暖化対策費用の推定を行った。さらに,環境政策の経済に及ぼす影響の分析では,モーダルシフトによる運輸部門からのCO2排出削減の効果を分析し,その削減に必要となる炭素税の推計を行った。
 資源管理研究室で行う2つの経常研究のページへ課題では,水資源と水環境との関係について調査及び検討を行った。また,廃棄物減量化とその影響に関連し,ライフサイクルによるトータルな環境負荷の算定に重要となるライフサイクル・アセスメント(LCA)手法の確立のため,具体事例として飲料容器及びごみ焼却発電施設の事例解析を行った。また,これと関連した奨励研究では,吹き付けアスベストを例にした有害物質のライフサイクル・アセスメントを行い,評価に必要な要件や評価手法の望ましい方向性を示した。
 環境計画研究室では,国の環境基本法及びこれに基づく環境基本計画の策定を受け,自治体レベルでの計画策定が進んでいることに鑑み,本年度から,その策定プロセスの手法開発に取り組んだ。まず環境保全目標の設定に関して住民関与との関連で検討した。また,主任研究官により,景観評価について,従来の研究成果をとりまとめ,さらに自然風景地利用行動の計測方法を検討するための調査を行った。
 種々の環境システムのデータや情報を的確に解析し,その構造や変動に関する有用な新たな科学的知見を得るためには,効率的な解析手法の開発が不可欠である。情報解析研究室で実施している2つの経常研究のページへ課題では,一つが人工衛星,地図,写真等による地理・画像データの解析手法の開発であり,他の一つは種々の環境システムの評価に資するモデル化やシミュレーション手法,特に線型計算手法の開発を行い,さらに,シミュレーション結果のCGによる可視化を行うものである。なお,奨励研究で,膨大な量になるNOAA衛星の受信画像データを効果的に検索するシステムの開発を行った。
 一方,当部における上記の経常及び奨励研究課題の多くは,総合部門の地球・地域環境研究グループで行われている多くのプロジェクト研究課題の一部,及び地球環境研究センターの総合研究課題とも関連して実施している。このため,上記の個別の経常研究のページへ課題の実施にあたっては,これらとの連携を十分配慮して研究の方向づけを行っている。

4.化学環境部

 環境問題の解決には,実態把握,機構解明,モデル化,対策立案といった一連の作業が必要となるが,いずれでも,要因の分布の正確かつ信頼性のある計測が不可欠となる。化学環境部では,環境中での各種汚染物質の計測・監視技術及び毒性評価方法の開発と,汚染物質の環境動態の解明への応用に関する研究を行っている。
 本年度は4研究室で9の経常研究のページへと2つの奨励研究を実施した。計測技術研究室では,質量分析法を用いた大気の連続測定やDNAアダクトの測定手法の研究を行うとともに,超音速自由噴流を利用した有機化合物の測定法を開発した。計測管理研究室は,ダイオキシンやPCBを対象に分析法の精度管理,標準化・高精度化の研究を行うとともに,悪臭成分の解明に関する研究を行った。また,排水の塩素処理に伴う有機塩素化合物の生成の研究を行った。動態化学研究室では,状態分析法を開発し,環境/生態系での元素の存在形態と動態を明らかにする研究を進めるとともに,有機スズ化合物が貝類に及ぼす生殖毒性を生態化学的手法で研究した。また,14Cをターゲットに加速器質量分析システムの測定条件の検討を行った。化学毒性研究室では,アオコの毒物質の化学構造と毒性発現機構の解明を行うとともに,バイオアッセイ系によるガス状物質の毒性検定手法の研究を進めた。
 スペシメンバンキングの研究では,二枚貝,イカなどの試料収集を継続するとともに,サンゴコアの元素同位体比の測定などを行った。環境標準試料の研究では,フライアッシュ抽出物とヒト尿などの作成や共同分析などを行った。また,科学技術振興調整費に基づき,バイカル湖の底泥を用いて地球環境の変動を解析する研究など,5課題を実施するとともに,総合部門のプロジェクト研究12課題に参加し,地方公共団体と共同で地域密着型研究も1課題実施した。さらに,ナホトカ号からの油流出事故に対し,汚染状況及び生態系被害の調査を行った。

5.環境健康部

 環境健康部においては,環境有害因子(窒素酸化物・ディーゼル排気ガス等の大気汚染物質,有害化学物質,重金属,スギ花粉,紫外線,騒音等)がいかにヒトの健康に影響を及ぼすかに関する実験的・疫学的研究を行っている。この研究には,健康影響の現れ方のメカニズムの解明,並びに影響の検出及び評価方法の開発等が含まれる。これら環境有害因子の空間的広がりにより,地域規模での環境問題と地球規模の環境問題に分けられるが,それぞれ総合研究部門の地球環境研究グループ及び地域環境研究グループの研究チームと連携をとりながら,「地球環境研究総合推進費」,「特別研究」,「特別経常研究のページへ」を行ってきた。さらに,環境リスク評価のために,重金属,大気汚染物質,紫外線,ダイオキシン等についての文献レビューも行った。
 環境因子の影響を臓器や個体レベルで解明しようとする試みとして,大気汚染物質による酸素欠乏と心・循環機能への影響,並びに筋を対象としたin vivo状態でのNMRによる機能測定法の開発と応用等について検討した。細胞レベルでの研究としては,気道への影響機構解明のため,炎症細胞の遊走・活性化,肥満細胞の増殖分化,肺構成細胞の相互作用,並びに神経細胞初代培養系を用いた神経毒性の検出系の開発等の検討を行った。毒性発現を遺伝子レベルで解明するための分子環境毒性学にかかわる試みも行われ,PCBによる遺伝子の発現,カドミウム感受性に関与する遺伝子クローニング,並びに無機水銀・シスプラチンの腎毒性についてトランスジェニックマウスを用いた研究も行われた。
 人間集団を対象とした研究として,国民健康保険受療記録の健康影響指標としての有用性の検討,気象条件と死亡現象との関係,睡眠障害の解析による騒音暴露の影響評価などが行われた。本年度は,14課題の経常研究のページへと3課題の奨励研究が行われた。

6.大気圏環境部

 大気圏環境部では,地球温暖化,成層圏オゾン層破壊,酸性雨といった地球規模の環境問題や,都市の二酸化窒素問題に代表される地域的な環境問題を解決するための基礎となる研究を推進している。本年度は20課題の経常研究のページへと3課題の奨励研究が行われたほか,地球環境研究グループ(温暖化現象解明,オゾン層,酸性雨各チーム),地域環境研究グループ(都市大気保全研究チーム)の準構成員として,さらには地球環境研究センターの併任または協力研究者としてプロジェクト研究推進への協力も行われた。
 大気物理研究室では気象力学・流体力学を基礎とした大気循環についての研究が行われた。具体的には気象変動にかかわる気候モデルの開発と応用(大気大循環モデルを用いた気候シミュレーション,熱帯域での積雲対流活動の解析,大気・陸面での熱輸送過程の数値モデル化など),100km程度の地域スケールの大気循環と物質輸送のシミュレーション研究,極中心の大気の渦運動に関する理論的研究が行われた。それらに加えて本年度は奨励研究として「大気−海洋間フラックス決定法の精密化に関する研究」が行われた。
 大気反応研究室では,気相の化学反応論を基礎とした大気圏での物質の反応の研究が中心であり,気相反応では光イオン化質量分析計を用いたフリーラジカル反応の研究,レーザー吸収法やケイ光法を用いた化学反応速度の研究,FTIRやガスクロマトグラフを用いた反応機構の研究が行われた。またエアロゾル化学に関連して,微粒子の動力学・光学的性質の研究が,対流圏化学に関連して,炭化水素やNOの分析法の研究が行われた。
 高層大気研究室では,高層大気を対象とした遠隔計測手法に関する研究が行われ,ミー散乱レーザーレーダーの高度化とデータ解析手法,大気微量分子のレーザー吸収分光手法,全固体化赤外波長可変レーザー技術などの基礎研究が行われた。レーザーレーダーを用いた観測研究では,気候モデルの入力となるデータの作成を目的として対流圏エアロゾルの継続的な観測が実施された。また,レーザーリフレクタRISを搭載したADEOS衛星が8月に打ち上げられ,これを用いた実験が開始された。パルス炭酸ガスレーザーを用いて,地上衛星間のレーザー長光路吸収法による初のオゾンのスペクトル測定に成功した。
 大気動態研究室では,化学分析や安定・放射性炭素同位体分析による温室効果気体や関連物質の循環を明らかにする研究を行っている。特に,西シベリアにおけるメタンの発生に関する研究,新しい分析システムの開発によるO2/N2比の測定や省エネ型メタン分析の研究,航空機による温室効果気体の高度分布や,二酸化炭素フラックスの測定などを行った。それらに加えて本年度は奨励研究として「中空糸繊維を用いたスクラバーの開発」と「ガスクロマトグラフ法による大気中の酸素/窒素比の精密測定に関する研究」が行われた。

7.水土壌圏環境部

 水土壌圏環境部では海洋汚染,酸性雨,地球温暖化,砂漠化といった地球環境問題や湖沼・海域やバイオテクノロジーを用いた水質改善などの地域的な環境問題に関して総合研究部門の準構成員としてプロジェクト研究を行うとともに,それに関する基礎的研究を行っている。本年度は重点共同研究1課題,経常研究のページへ14課題,特別経常研究のページへ1課題,奨励研究2課題,国立機関原子力試験研究による研究2課題,科学技術振興調整費による総合研究1課題,国立機関公害防止等試験研究3課題を行った。
 水環境質研究室では,湖沼での藻類増殖促進・抑制物質についての研究及び有害化学物質の微生物による分解及び分析法について研究を行った。
 水環境工学研究室では,涸沼川流域を対象とした水循環,物質循環のモデル化や河川への農薬流出過程,河川での付着生物膜と水質変化,湖水中の溶存フミン物質の挙動の研究を行った。また,リモートセンシングを利用した水文・土壌などの環境解析を行った。
 土壌環境研究室では,土壌中での無機汚染物質・重金属や微生物の挙動についての基礎的研究を行った。また,地理情報システム(GIS)を用いた土壌分布特性についての研究を行った。
 地下環境研究室では,粘性土の圧縮性状,岩盤内の地下水の流動特性,地盤沈下観測システムの開発と観測についての研究を行った。

8.生物圏環境部

 生物圏環境部では分子レベルから生態系レベルまでの生物にかかわる基礎・応用研究を推進している。本年度は奨励研究を含めて19課題の経常研究のページへを行った。科学技術庁振興調整費による研究ではグローバルリサーチネットワーク等3課題が推進された。
 環境植物研究室では,植物形態の3次元計測を目的として,複数の焦点面の異なる画像から,3次元カラー画像が再構成できるシステムを開発した。また,中国の砂漠地域における植生の変動や植物種の分布と植物種子の発芽特性との関連性を検討した。低地と高地に生息するイタドリの個体群間では,活性酸素に対する光合成の抵抗性で明確な差が見られた。蘚苔類の連続培養法について検討した。
 環境微生物研究室では,水界生態系で重要な役割を果たしている微細藻類の種レベルでの多様性の形態学的,分子系統学的解析を行った。緊急に保護を必要とされている車軸藻類について,日本各地の湖沼における分布・生育状況の継続調査を行った。湿原の泥炭土壌中より単離したセルロース分解細菌は,アミラーゼ,プロテアーゼなど他の高分子分解酵素も生産した。オタマジャクシが有毒アオコを摂食し,有毒アオコの消長と密接に関連していることを明らかにした。
 生態機構研究室では,尾瀬沼に侵入した帰化植物の動態調査,尾瀬ヶ原池溏の浮葉植物の分布・生産及び生育環境の多様性を調べた。筑波山麓の農村地帯を流れる河川において底生動物の季節的な個体数変動調査,所内にある生態園実験池の水草帯において底生動物の生息場所および餌の選好性の調査を継続し,筑波山麓のゲンジボタルの生息する渓流において,11の水質測定項目とその羽化率との関係についても調べた。
 分子生物学研究室では,シロイヌナズナを材料とし,環境ストレス耐性と密接に関連することが知られている活性酸素解毒にかかわる新規の遺伝子の単離と,その発現機構の解明を目的とした研究を進めた。環境ストレス耐性遺伝子に変異を起こした植物の突然変異体の選抜法を確立することを目的として,環境ストレスとしてオゾンと低温を選び,突然変異を起こす処理をしたシロイヌナズナの栽培法や環境ストレスを与える条件を検討した。

9.地球環境研究センター

 地球環境研究センターでは,地球環境研究総合推進費における総合化研究を推進している。総合化研究の研究領域は,分野別に実施されている個々の研究プロジェクトと異なり,(1)個々の研究プロジェクトの成果を集約しつつ,経済学,社会工学的手法を含む観点から総合的かつ体系的に検討を行い,政策の具体的な展開に資する知見を提供する「政策研究」,(2)「課題別研究」として分野ごとに研究プロジェクトが推進される地球環境研究に対し,これらの個々の分野にまたがる研究領域や共通する研究領域を体系的かつ集中的に解析する「横断的」研究,(3)個々の研究領域の重要性を地球環境問題の解決という観点から総合的に評価する「リサーチ・オン・リサーチ」の3つの役割を有している。本年度は,(1)の政策研究に該当する2つの研究を実施している。第一は,環境と経済を統合して分析できる新しいタイプの経済モデル及び指標体系の開発を目指した「持続的発展のための環境と経済の統合評価手法に関する研究」,第二は,大陸スケールの環境の状況把握及び政策効果の数量的把握に向けた情報システムを国際研究機関との協力の下に構築することを目指した「地球環境予測のための情報のあり方に関する研究」である。いずれの研究も地球環境研究センターの併任研究者,客員研究員等の研究者の協力を得て遂行している。

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