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概況

 国立環境研究所は,昭和49年3月15日に国立公害研究所として筑波研究学園都市に設立された。本研究所の特色は,研究者の専門分野が物理学,化学,生物学,工学,医学,薬学さらに人文・社会科学分野と幅広い構成となっていること,大学の研究者や地方公共団体公害研究機関の研究者等所外の専門家の参加も得て,研究を学際的に実施していること,及び第一級の環境研究を実施するために必要な大型実験施設を駆使し,野外の実験調査研究と併せ,研究をプロジェクト化して総合的に実施していることにある。

 創立以来,組織の充実,施設の整備を進めつつ,研究体制の強化に努め,多くの研究成果を蓄積してきたところであるが,(1)人間の健康保護や自然生態系保全のための目的指向型研究の充実,(2)環境研究の中核的機関としての役割の発揮,(3)環境データ等の蓄積と提供のための研究・業務の充実,(4)国際的な貢献度の向上と国際研究交流の推進,(5)大型実験施設及びフィールド施設の活用という役割を果たすため,(1)総合研究部門の創設等研究体制の充実,(2)複合的な研究機構への発展,(3)国際研究交流の促進,(4)研究員流動性の確保方策の整備,(5)研究運営の改善を基本的方向として組織・運営を進めていくこととし,平成2年7月,大幅な組織改編を行い,名称を「国立環境研究所」と改め,研究業務活動の充実に努めてきた。平成7年度には組織改編後5年が経過するところとなり,国立環境研究所評議委員会のもとに専門委員の参加を得て研究活動評価専門委員会を設置し,今後の研究活動について提言を受けた。

 国立環境研究所の平成8年度における主な活動は次のとおりである。

(1)研究活動評価

 上記の国立環境研究所評議委員会より平成8年2月に示された研究所の研究活動に関する提言では,今後の研究推進の基本的な方向性として,@研究課題の戦略的選定と重点化,A環境研究の総合化,B活力ある研究環境の創出,C国際的リーダーシップの発揮,D研究成果の社会的還元,の5項目が示されている。平成8年度は,これらの提言を受けて,所内において現状分析,対応状況及び今後の課題について検討を行い,評議委員会に報告した。

(2)組織・定員

 平成2年度に機構改革を実施し,研究部門として,社会ニーズに対応したプロジェクト研究を行う総合研究部門(地球環境研究グループ及び地域環境研究グループ)とシーズ創出や総合研究部門の支援のための研究を行う基盤研究部門(6部)を設置した。また同時に,環境情報センター,地球環境研究センター及び環境研修センターの3センターを設置し,幅広い活動を行っている。
 また,定員については,平成8年度において研究部門で1名の増員を図り,平成8年度末で272名となっている。(平成7年度末:273名,定員削減:2名)

(3)予 算

 平成8年度当初予算では,研究所の運営に必要な経費として7,747百万円,施設の整備等に必要な経費として215百万円が計上されたほか,国立機関公害防止等試験研究費として50百万円,海洋開発及地球科学技術調査研究促進費(科学技術庁)として27百万円,国立機関原子力試験研究費(科学技術庁)として61百万円が計上された。
 さらに年度途中に移し替え経費として,地球環境研究総合推進費1,171百万円,科学技術振興調整費(科学技術庁)563百万円が計上されたほか,補正予算として,施設の整備等に必要な経費249百万円が計上された。

(4)施 設

 国立公害研究所発足準備以来,施設について順次拡充に努めている。
 平成8年度には,特高受電需要設備棟(RC-1F延床面積524.88m)が竣工したほか,老朽化対策として電気中央監視装置更新等を行った。

(5)研究活動

 地球環境研究グループ及び地域環境研究グループが中心となって,社会ニーズに対応したプロジェクト研究を実施している。また,主として基盤研究部門において,新しい研究手法の開発等研究所の基盤となる科学・技術的知見の蓄積を図っている。さらに,科学技術全般からみて重要と考えられる共通基盤的研究についても環境分野と関連の深いものについて,他省庁や大学等の研究機関との連携のもとに積極的に参画している。

  • プロジェクト研究として,地球環境研究総合推進費,特別研究費及び重点共同研究費による研究を実施した。  地球環境研究総合推進費による研究としては,オゾン層の破壊,地球温暖化の現象解明・影響・対策,酸性雨,海洋汚染,熱帯林の減少,生物多様性の保全,人間・社会的側面からみた地球環境問題等の研究を行った。地球環境研究総合推進費の課題別研究及び総合化研究課題総数42課題のうち37課題の研究に参画した。
     特別研究として,「輸送・循環システムに係る環境負荷の定量化と環境影響の総合評価手法に関する研究」,「微生物を用いた汚染土壌・地下水の浄化機構に関する研究」,「海域保全のための浅海域における物質循環と水質浄化に関する研究」を新規に開始するとともに,6課題について継続実施した。  国際的連携のもとに実施する重点共同研究として,新たに「流域環境管理に関する国際共同研究」を開始した。
  • 経常研究として,各研究部・グループ等において,シーズ創出,プロジェクト研究に対する支援等の観点から研究を実施した。
  • 開発途上国環境技術共同研究として4課題の研究を行った。
  • 国立機関公害防止等試験研究として4課題の研究を行った。
  • 国立機関原子力試験研究費による研究として,5課題の研究を行った。
  • 科学技術振興調整費による研究のうち,総合研究として,「バイカル湖の湖底泥を用いる長期環境変動の解析に関する国際共同研究」をはじめ計6課題に参画した。また,生活・社会基盤研究では新規課題の「日常生活における快適な睡眠の確保に関する総合研究」をはじめ3課題に参画した。また,省際基礎研究1課題,省際ネットワーク2課題,国際共同研究8課題,重点基礎研究2課題に参画又は実施するとともに,重点研究支援協力員制度による研究1課題を実施した。このほか,緊急研究として,「ナホトカ号油流出事故による環境影響に関する緊急研究」を実施した。
  • 海洋開発及地球科学技術調査研究促進費による研究については,地球環境遠隔探査技術等の研究として1課題,地球科学技術特定調査研究として2課題にそれぞれ参画した。
  • 地方公共団体環境・公害研究機関との共同研究を引き続き実施した。
  • 地球観測衛星みどり(ADEOS)に搭載されたセンサーILAS,RISの開発研究を引き続き実施するとともに,ILASの後継機のILAS-Uの開発研究に着手した。

(6)環境情報センター

 環境情報センターは,環境の保全に関する国内及び国外の資料の収集,整理及び提供並びに電子計算機及びその関連システムの運用を行っている。
 平成8年度においては,国立環境研究所WWWサーバの運用及び提供情報の更新追加等の管理,自然環境保全総合データベース及び環境情報源情報データベースの整備充実,文献情報データベースのオンライン検索システムの運用等を実施した。
 また,コンピュータシステム及びネットワークシステム更改を行った。新コンピュータシステムは,スーパーコンピュータシステムと大型電子計算機システムを統合したUNIX環境のシステムとした。
 さらに,環境情報提供システム(EICネット)のパソコン通信サービスによる情報提供に加え,インターネットを利用したWWW(World-Wide Web)による情報提供サービスの運用を開始した。

(7)地球環境研究センター

 地球環境研究センターは,地球環境の保全に関し,国際的な協力のもと学際的,省際的な地球環境研究の総合化を図るとともに,データベース等の研究支援体制を充実させ,また,地球環境の長期的モニタリングを行う等,地球環境研究の推進に幅広く貢献していくことを目的として活動している。
 平成8年度においては,地球環境研究者交流会議の開催,総合化研究の推進,スーパーコンピュータシステムの利用,UNEP(国連環境計画)/GRID(地球資源情報データベース)の協力センター(GRID-つくば)としてのデータ提供等の業務,地球環境モニタリングステーション−波照間,落石岬での観測,小型航空機を利用したシベリア上空における温室効果ガスモニタリング等を始めとする地球環境モニタリング事業を実施した。

(8)環境研修センター

 環境研修センターは,環境庁所管行政に関する職員等の養成及び訓練を行っている。平成8年度は,行政関係研修20コース,分析関係研修12コース,海外協力研修1コース等を実施した。



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