(7) 反応性窒素酸化物の野外観測による対流圏オゾンの生成・輸送過程の研究
〔区分名〕経常
〔研究課題コード〕0103AE287
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕谷本浩志(大気圏環境研究領域)
〔期 間〕平成13〜15年度(2001〜2003年度)
〔目 的〕対流圏におけるオゾンは北半球で二番目に大きな放射強制力を有する温室効果気体であるが,濃度変動にみられる季節性とその支配要因には未解明な部分が多い。そこで,オゾンの生成・消失をコントロールする上で重要な物質である窒素酸化物,パーオキシアセチルナイトレート,硝酸などの反応性窒素酸化物を通年観測することにより,オゾンの季節変動パターンをもたらす化学的・気象的要因を理解し,放出源の強度・光化学による生成強度・輸送の効率の季節依存性についての知見を得ることを目的として研究を行った。また,北半球中高緯度の対流圏オゾンに広くみられる春季極大現象の要因解明に寄与することも目的の一つである。
〔内容および成果〕
日本の最北端付近に位置する北海道・利尻島の地上観測ステーションにおいて行った,オゾンとパーオキシアセチルナイトレート,窒素酸化物,硝酸など種類別反応性窒素酸化物の間欠的通年観測の結果を後方流跡線解析と三次元グローバル化学輸送モデルを用いて解析した。オゾン,パーオキシアセチルナイトレートはともに春季極大・夏季極小・秋季第二極大を示す季節変化を示した。両者の季節変化パターンは類似しているものの,パーオキシアセチルナイトレートのそれはオゾンよりも振幅が大きいことが明らかとなった。一方,窒素酸化物,硝酸はともに夏季極大・冬季極小となる季節変化を示し,反応性窒素酸化物の種類分別に明確な季節性が見られることが確かめられた。ユーラシア大陸東岸の北部においては,シベリアを通過してくる清浄な大陸性気塊の到達頻度が年間を通じて30-40%程度を占めるものの,春から秋にかけては中国や朝鮮半島を通過してくる気塊の頻度が増加し,これがオゾンの春季極大を大きくする要因であることが分かった。また,消失速度が気温に大きく依存するパーオキシアセチルナイトレートは,輸送効率に大きな季節依存性を持つ結果,オゾンよりも大きな季節変化の振幅を形成することが分かった。利尻島において観測されたオゾンの春季極大は冬季から夏季にかけて活発になる発生源近傍での光化学的生成と,それとは逆に弱くなっていく化学輸送の効率のバランスの結果であることが示唆された。
〔備 考〕
研究代表者:谷本浩志
共同研究機関:地球フロンティア研究システム・東京大学先端科学技術研究センター・慶応大学理工学部
共同研究者:秋元 肇(地球フロンティア研究システム)・梶井克純(東京大学先端科学技術研究センター)・田中 茂(慶応大学理工学部)
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