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研究成果物



 

(22) アジアにおける水資源域の水質評価と有毒アオコ発生モニタリング手法の開発に関する研究


〔区分名〕環境-地球推進 D-1
〔研究課題コード〕0103BA283
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕彼谷邦光(環境研究基盤技術ラボラトリー)・今井章雄・松重一夫・佐野友春・高木博夫・笠井文絵・渡邉 信・田辺雄彦・河地正伸
〔期 間〕平成13〜15年度(2001〜2003年度)
〔目 的〕アジアの湖沼は,貴重な飲料水源としてのみならず,生活の維持に不可欠な漁場としても重要な役割を有している場合が多い。しかし,近年,これら湖沼に生活排水や肥料分を含んだ農業排水が流入することによって富栄養化が進行し,有毒アオコの発生が拡大しており,健康面だけでなく経済的にも大きな被害が生じている。現在,有毒藻類の監視の手法が先進諸国で検討されているが,未知毒素の種類,量ともに多いアジアの有毒アオコに適用できる方法はまだ確立されていない。このため,本研究では,緊急の課題である有毒藻類の監視手法を開発するとともに,漁業生産を維持し,有毒アオコの発生を最小限に押さえる「アジア型の水質管理手法」を開発することによって,21世紀におけるアジアの利用可能な水資源の確保に大きく貢献することを目的としている。
〔内容および成果〕
 本研究では,21世紀のアジア地域の発展途上国(中国及びタイ)と共同して,アジアの水資源不足の要因となる「水質汚濁の将来予測手法」と,魚介類の生産を維持しつつ有毒アオコの発生を最小限に押さえる「アジア型の水質管理手法」を開発する。
(1)アジアにおける水資源域の水質汚濁評価手法の開発に関する研究@汚染負荷特性の変化が湖沼など水資源域水質に及ぼす影響の評価に関する研究では,中国槙池の現地調査を実施し,湖沼の有機汚濁に関する実態を把握した<CODE NUM=00A1>また,宍道湖における汚濁負荷の変化と植物プランクトンや水質の応答を調べるため,生態系モデルの基本的な構築を行った。A食物連鎖の強化による湖沼など水資源域の水質改善手法に関する研究では,自然水域の食物連鎖と浄化の機構を調べるため,宍道湖において現地観測および漁獲データの解析を行った。二枚貝を中心とした生態系が成立し,負荷量が多い割に水質が良好に保たれていることを見いだした。(2)アオコの発生診断手法と発生制御手法の開発に関する研究@アオコの発生診断手法の開発に関する研究では,最も重要なアオコ発生要因の一つである溶存有機物を考慮した藻類増殖試験法を開発するための基礎部分の開発を終えた。本基礎部分は湖水の無機物組成を変化させずに溶存有機物濃度を制御する手法として,低圧水銀ランプの紫外線をろ過湖沼水に照射する方法を開発した。Aアオコの発生制御手法のかいはつに関する研究では,バクテリア用培地にはアオコが生育しないことから,その生育阻害物質としてアミノ酸のリジンとマロン酸を単離・同定した。また。中国,タイおよび国内の湖沼水を調査した結果,手賀沼の水からアオコの生育阻害物質として2-アミノアジピン酸を同定した。(3)アオコ等有毒藻類及び毒素のモニタリング手法の開発に関する研究@アオコ等有毒藻類のモニタリング手法の開発に関する研究では,中国およびタイの湖沼から微細藻類を採取し,国立環境研究所で同定を行った。中国の槙池の主要微細藻類はMicrocystis, AphanizomenonおよびAnabaenaであり,タイのバンプラー水源池ではMicrocystisであった。これらのMicrocystisについて毒素の遺伝子の構造を解析し,毒素生産株を識別するプローブ作成の可能性を検討した。A毒物質のモニタリング手法の開発に関する研究では,中国およびタイ,韓国,ベトナム,および我が国の有毒アオコに含まれる毒素ミクロシスチンの同族体の種類を調査した結果,アジアでは7番目のアミノ酸が全てデヒドロアラニン(Dha)であることを明らかにした。このDhaに求核試薬を反応させることにより,ミクロシスチンの簡便分析法の開発が可能となった。
〔備 考〕
研究代表者:彼谷邦光(国立環境研究所)
共同研究機関:独立行政法人 港湾空港技術研究所・中国(中国科学院 水生生物研究所)・タイ(タイ科学技術研究所)
共同研究者:福島武彦(広島大学)


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