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研究成果物



 

(15) 環境低負荷型オフィスビルにおける地球・地域環境負荷低減効果の検証


〔区分名〕環境-地球推進 B-56
〔研究課題コード〕0103BA263
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕一ノ瀬俊明(地球環境研究センター)
〔期 間〕平成13〜15年度(2001〜2003年度)
〔目 的〕地球環境保全に配慮した建築手法は,温暖化防止に有効な熱負荷低減手法など様々な提案があるものの,各手法の効果を具体の事例で確認した調査研究例は非常に少ない。平成12年度に国立環境研究所敷地内に建設された地球温暖化研究棟には各部に様々な環境保全手法が取り入れられていることから,本研究では,研究棟の各部位における放射と熱の挙動に関する通年モニタリングを通じた個別技術毎の環境負荷低減性の比較検討及び建物全体のLCA評価を行う。また,アメニティーを含めたオフィス(研究棟)内外空間の快適性向上の検討や日本の気象条件,建物使用実態に即した環境負荷低減手法の効果の確認を行う。更に,エネルギー消費行為から大気への放熱に至るまでの躯体内部の詳細な熱挙動の把握とモデル開発を通じて,大規模に環境低負荷技術が普及した場合のヒートアイランド低減効果などによる副次的環境負荷低減効果を明らかにする。そのために都市気候数値モデルにおける人工排熱の取扱い方の確立,屋外熱環境に対する建物内部の人間活動の影響のリアルタイムでの把握を行う。以上を通じて,個別建物から都市スケールまで建築における各種環境保全手法が導入された場合の環境負荷低減効果の定量化とコスト対効果の比較などによる技術評価を行うとともに,それら手法の効果的な設置法や現実的な活用法を提示することを目的とする。
〔内容および成果〕
(本年度成果)
 フレックスタイム制度を導入して屋内人間活動密度を分散させた場合,節電をこまめに実行した場合など,人間活動のバリエーションに応じた屋内外熱環境負荷,エネルギー消費量が比較できるような実験を設計(屋内外センサーの取り付け個所など)・計画し,モニタリングを開始した。比較実験は南面の研究室を,個別の対策技術に割り当てて開始した。また,本研究棟の事例と比較するため,海外の先駆的事例について情報収集を行った。
本研究棟研究室開口部において,白濁ガラス(複層)を用いた数種類のガラス仕様について,日射遮蔽と自然光利用に関する比較実験を行った。室内側に白濁ガラス,室外側ガラスにLow-E膜をスパッタリングした仕様において,白濁頻度及び長波長放射を含めた温熱環境の点から高く評価できるとの結果を得た。白濁ガラスと庇を組み合わせた開口部計画について,温熱・光環境及びエネルギー実測,ならびに執務者を対象としたアンケート調査により,快適な環境が形成されていることを確認した。
 また,秋期以降冷熱供給量を,冬期以降電力消費量(照明及び南面居室におけるコンセント)を,それぞれ2階,3階の東・西ウィング毎に取得している。特に,電力消費量では夜間全棟連続点灯実験を行い,定格出力に対する削減率は南面全体で38%に達することや,照明用のエネルギーは少ないが冷房負荷は高いという,3階東ウィングにおける得意なエネルギー消費特性が明らかになった。建物エネルギー消費量計算プログラムSMASHを用いた数値シミュレーションにより,従来技術に対し全棟で52%のエネルギー消費削減効果が期待できるとの結果を得ている。
 さらに,典型的な真夏日と真冬日において,屋上面及び東西南北の計5面の熱画像(日中午後と明け方)を取得した。屋上緑化や太陽光発電パネルなど,屋上面施工の違いによる表面温度の差やエネルギーセンターからの熱供給の影響を見ることができた。
 加えて,太陽光発電パネル設置による屋上面熱収支変化の実測と数値モデルの構築を行った。その結果,設置したパネル表面の総括熱伝達係数hは風速Vに対してh=4.3V+1.6と表され,顕熱フラックスを風速と気温とパネル表面温度から求めることができた。Inputを風速,気温,日射量,室温とする熱収支モデルを作成し,設置による顕熱フラックス,伝導熱フラックス変化を定量的に計算できた。
(平成14年度計画)
 建物開口部の構造に関して,白濁ガラス(複層)と通常複層ガラス,通常ガラスの比較実験(室内居住環境,アメニティーの視点を含む)を行い,個別技術の導入可能性を検討する。屋上面の構造に関しては,大面積太陽光発電パネルと屋上緑化の比較を行う。また,これらの複合的な適応例として,複層ガラスと室内気流制御の組合せ効果の検証,及びその基礎となる風圧・自然換気量の実測を行う。さらに,個別の対策技術の効果を理論的に実証するため,照明及び室内熱負荷低減効果の数値シミュレーションモデル,屋外熱負荷低減効果の数値シミュレーションモデルの開発を行う。加えて,LCA評価手法の開発を行う。
(平成15年度計画)
 本研究棟において得られたデータに基づいて個別の対策技術を評価し,国際的な普及の一助とするため,国内外の建築家,環境科学者等を招へいして実地検討会を行うほか,国際シンポジウムを開催する。また,個別の対策技術の効果を理論的に実証するため,照明及び室内熱負荷低減効果の数値シミュレーションモデルによる検証,屋外熱負荷低減効果の数値シミュレーションモデルによる検証を行う。屋上面の構造に関しては,高アルベド塗料と通常塗料,屋上緑化の比較を行う。また,建物内部における人間の行動,エネルギー消費の屋内外環境へのレスポンスを探るため,各種ライフスタイルシナリオの下での比較モニタリングを行う。さらに,研究棟運用段階における個別対策技術の二酸化炭素排出量・コストパフォーマンスからみた評価を行い,各種技術の導入可能性を検討する。
〔備 考〕
研究代表者:一ノ瀬俊明
共同研究機関:東京理科大学
共同研究者:井上 隆(東京理科大学)
課題全体の研究代表者も一ノ瀬である。


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