(14) 中枢神経傷害における神経細胞死と神経細胞再生のメカニズムに関する研究
〔区分名〕奨励
〔研究課題コード〕0101AF282
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕今井秀樹(内分泌かく乱化学物質及びダイオキシン類のリスク管理と評価プロジェクトグループ)
〔期 間〕平成13年度(2001年度)
〔目 的〕有機スズ化合物のひとつであるトリメチル錫(TMT)をラットに投与すると海馬傷害が引き起こされるが,同傷害はグルココルチコイドを時期により増減させることによって軽減されることを見いだした。担当者らの予備的な知見では同領域において神経細胞のアポトーシスが生じ,さらに成体神経再生と思われる事象が見いだされている。これらのTMT由来の海馬傷害,アポトーシス,および神経再生の相互関連に関する知見は全く明らかにされていない。そこで本研究では成熟動物の生体に有機スズ化合物を投与して海馬傷害を引き起こし,同領域のアポトーシスと神経再生の関連およびこれらに対するグルココルチコイドの役割を明らかにすることを目的とした。
〔内容および成果〕
SD系ラットにトリメチル錫(TMT)9mg/kgを6週齢で経口的に一回投与した。内因性グルココルチコイドの海馬傷害への関与を検討する目的で副腎切除(ADX)を施した群およびSham手術群を設定した。TMT投与終了後1,2,3,5,7および14日目に麻酔下で屠殺し,脳サンプルを採取した。脳サンプルは脱血したのち固定処理を行い,病理組織学的検索,免疫組織化学的および細胞死・成体細胞新生検索試料とした。また新生細胞の分化については各種progenitor
markerの抗体を用いた免疫染色を行った。5日目のサンプルについてアポトーシスと細胞新生を検討したところ,ADXについては海馬歯状回の上部顆粒細胞層に優位にアポトーシスが観察され,TMT投与の場合にその数は下部顆粒細胞層の方が優位であった。TMT+ADX群においてはその数は相乗効果的に増加した。細胞新生はアポトーシスが生じている部位を取り囲むような分布を呈した。全サンプル(1−14日目)を通してアポトーシスを検討したところ,現在定量的な検討には至っていないが,TMT投与によりおおむね5日目にアポトーシスを示す細胞の数がピークに達すること,およびADXとTMT投与は相乗的な効果を示すことが観察された。
〔備 考〕
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