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研究成果物



 

(13) 水質改善効果の評価手法に関する研究


〔区分名〕経常
〔研究課題コード〕9903AE235
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕稲森悠平(循環型社会形成推進・廃棄物研究センター)・水落元之・松重一夫・徐 開欽
〔期 間〕平成11〜15年度(1999〜2003年度)
〔目 的〕化学物質および微量化学汚染物質含有廃水の生態系影響評価では,OECD試験等のガイドラインにみられるように単一種系試験が用いられている。しかし,自然生態系が捕食・被食関係をはじめとする極めて複雑な相互作用の上に成り立っていることを考慮すると,対象とする化学物質の生態系への評価は多種生物系試験で行うことが重要である。多種生物系試験法としては,生産者・捕食者および分解者からなる水圏モデル生態系としてのマイクロコズムが開発されつつあり,生態系における物理的・化学的・生物的要因とそれらの相互作用による物質循環・エネルギーフローの変遷を解析可能な生態系影響評価手法として期待されている。本研究では,各種農薬等の化学物質の水域における有毒性・残存性をマイクロコズムにおける構成種の個体群動態を解析することにより,生態系の観点から自然水域における影響評価を行う。
〔内容および成果〕
 供試マイクロコズムは生産者としての緑藻類Chlorella sp., 糸状性藍藻類Tolypothrix sp., 消費者としての原生動物繊毛虫類Cyclidium glaucoma, 後生動物輪虫類Philodina sp., Lecane sp., 貧毛類Aeolosoma hemprichi, 分解者としての細菌類から構成されており,これらの微生物により安定な生態系が成り立っている。ここに供試農薬としてトリアゾール系の除草剤であるカフェンストロールを0.5mg・l-1,1.0mg・l-1,2.5 mg・l-1,5.0mg・l-1の濃度で添加し,各マイクロコズム構成生物の個体数を農薬添加後0,2,4,7,14日目に計数した。その結果,Chlorella sp.の場合は対照系と比較して全ての濃度であまり大きな変化が見られなかったのに対し,A. hemprichiは1.0mg・l-1でも農薬添加後2日目で消滅してしまうことがわかった。またC. glaucoma, Lecane sp.はそれぞれ2.5mg・l-1,5.0mg・l-1の時点でカフェンストロールの影響を受けているのに対し,細菌類は5.0mg・l-1で,添加後7日目で対照系に比べ個体数が増加しており,捕食者である微生物が農薬の影響により減少したことにより,それまで安定していた生態系が攪乱してしまったと考えられた。すなわち,直接的に農薬の影響がない微生物の場合,対象化学物質の影響評価を過小評価してしまうことが考えられることから,環境影響評価法としては物理的・化学的・生物的要因とそれらの相互作用による物質循環・エネルギーフローの変遷を自然生態系の観点から評価・解析することが重要であると考えられた。
〔備 考〕
共同研究者:川端善一郎(京都大学生態学研究センター)・常田 聡(早稲田大学)


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