(2) アジアにおける環境をめぐる人々の消費行動とその変容に関する国際比較研究
〔区分名〕環境-地球推進 H-1
〔研究課題コード〕0002BA026
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕青柳みどり(社会環境システム領域)
〔期 間〕平成12〜14年度(2000〜2002年度)
〔目 的〕アジアにおける人々の生活水準の向上は,アジア各国のエネルギー消費の増大をはじめとするさまざまな資源消費の増大をもたらしている。しかし,人々の物質的な充足の欲求,快適性追求はしばしば指摘されるように環境への多大な負荷をもたらし,地球環境問題をはじめとする環境悪化の大きな原因となっている。本課題では,日本,中国をはじめとするアジア諸国の一般市民の消費行動を軸として,持続可能な消費の可能性をさぐるものである。さらに,その変容の大きな要因としての企業の環境行動および環境コミュニケーションのあり方に着目し,企業は環境をめぐってどのようなコミュニケーションを行っているのか,そしてそれが企業の環境戦略にどのように影響を与えているのか,について調査分析を行う。
〔内容および成果〕
アジアの消費者行動とその変容について探るために,1)アジアにおける消費者意識調査 2)企業の消費者環境戦略(環境コミュニケーション)の2つの調査分析を行い,それぞれの調査における欧米での調査結果との比較分析,また,特に日本においては,1)と2)の相互作用についての考察も進める。特に平成13年度においては,1)平成12年度に実施した中国の湖北省調査に続き,同じ様式・手順で江蘇省の調査を実施した。2)企業の環境戦略(環境コミュニケーション)調査は,平成12年度に日本調査を実施したが,これと対比する形で本年度はドイツ調査を行い,さらに比較分析を行った。
中国における湖北・江蘇の各省における調査は,環境に関する国際比較調査GOES(Global
Environmental Survey)の一貫であり,調査内容はGOESの調査内容に沿った内容に,1997年に共同研究の相手である北京大学の沈教授が中国国家環境保護局の依頼で実施した中国全土の環境意識調査で実施した内容も取り入れ,さらに日本側が過去に実施したアジア調査の内容も加味した者で行った。過去に中国で実施された一般市民を対象とした調査において,ある一定の行政地域を対象とした無作為抽出の調査は実施されておらず(意識調査の試みはあったが,人口比例確率による無作為抽出では実施されていない),今回が中国国外で分析可能なデータとして最初のデータとなった。この結果,日本では中国の都市における公害問題がクローズアップされているが,@一般市民は,農村部においても水質悪化など公害問題が発生していることを指摘している,A農村部においても,エネルギー使用を増加させる家庭用電化製品の普及が始まっており,テレビなどは既に白黒からカラーへの買い換えが進んでいる。また,伝統的な価値観を尊重することに対する同意の程度も都市部から急激に崩れ始めている,などが明らかになった。
日本における企業の環境戦略に関する調査は,環境コミュニケーションに重点を置く調査である。日本以外のアジア地域については,対象企業の絞り込みなどに難点があること,さらに当該地域へ向けた製品・サービスの提供をしている場合が少なくコミュニケーションを中心とした調査の有効性の問題などがあり,この調査分析は日本と欧米を念頭に置いたものとなっている。平成12年度に実施した日本調査と比較分析する形でドイツの環境報告書発行企業(把握できたもの全数)およびEMAS取得企業の中からの無作為抽出の形で調査隊小企業を抽出し調査を実施した。その結果,日本においては環境コミュニケーションは広報の範囲にとどまっているのに対し,ドイツでは全社的な経営戦略の一つとしてとらえられ,企業全体の経営戦略の重要な位置にあることが判明した。
〔備 考〕
共同研究者:沈 明明(中国北京大学中国国情研究中心)
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