6.2 途上国の経済発展と環境保全の関わりに関する研究
(1) アジア途上国における環境意識に関する研究
〔区分名〕経常
〔研究課題コード〕0104AE013
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕青柳みどり(社会環境システム研究領域)
〔期 間〕平成13〜16年度(2001〜2004年度)
〔目 的〕本課題では,アジア諸国における一般の人々の環境意識の形成について明らかにしようとするものである。特に,低環境負荷型経済発展の方策を探るために,どのようなライフスタイルを提示したらよいかについて意識,制度など行動を規定する諸要因に着目する。特に,日本,香港,ベトナム,タイでの研究グループに参加し,アジアの複数地域における比較において分析・考察する。
〔内容および成果〕
日本においては,化学物質(ダイオキシン)に関する態度,香港では大気汚染,ベトナムでは森林破壊,タイでは温暖化を中心に環境意識の形成について,選択肢を用意した質問ではなく自由回答方式の質問を行う深層面接による個人インタビュー調査により,各地域の人々の環境観,エココンシャスネスの形成,対応行動などを明らかにすることを目的として,調査分析を行った。この調査枠組みは1990年代半ばに発表されたアメリカの都市文化人類学者であるケンプトンのグループが,アメリカ東部において「地球温暖化」について実施したものを参考にした。このケンプトンの調査・分析では,専門家・エリート,環境活動家と一般市民(木材関係者,都市在住者など)との間の認識の差や宗教の影響を「文化モデル」として定式化し,さらに,一般市民に問題の混同(地球温暖化とオゾン層破壊の問題の混同など)が起きていることを明らかにした。
4カ国の比較調査の結果,日本においては,専門家は別として,エリートと一般市民の間のはっきりとした境界線は引きにくいこと,いわゆる「宗教」の明らかな影響は見いだしにくいこと(ただし,多くの表現や考え方の背景に仏教,神道や儒教的な考え方が見いだせるが明らかに,ある特定の宗教の教えを用いたものはない),共生,バランスなど人類を自然生態系の一部分と見なす考え方が支配的であること,などの結果が導かれた。調査共同の4カ国における共通の問題としては,Powerlessness(政治学的な用語ではEfficacyの欠如),政府に対する不信,調和(バランス)の考え方などが見いだせた。
〔備 考〕
当課題は環境-地球推進 H-1アジアにおける環境をめぐる人々の消費者行動とその変容に関する国際比較研究にも関連
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