5.6 土壌劣化,土壌汚染の機構解明とその予測に関する研究
(1) 土壌中における無機汚染物質の挙動に関する研究
〔区 分〕経常
〔研究課題コード〕0103AE119
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕高松武次郎(水土壌圏環境研究領域)・越川昌美・村田智吉
〔期 間〕平成13〜15年度(2001〜2003年度)
〔目 的〕近い将来,「鉛フリーはんだ」などの金属材料として,利用が急増すると考えられる銀,ビスマス,アンチモン,インジウム,スズなど(いわゆる次世代技術利用金属)の環境中における溶出特性を暴露試験などを用いて明らかにする。また,それら金属の土壌中での挙動を,大型ライシメーターを利用して調べ,土壌の化学特性(pH,交換容量,有機物含量,粘土鉱物組成など)や土壌種との関連で検討して,金属の移動,蓄積,地下浸透などの機構を明らかにする。結果を,これまで人類が多用してきたカドミウム,亜鉛,銅,鉛などの重金属の動態と比較し,次世代技術利用金属による土壌汚染の予測と評価を行う。
〔内容および成果〕
組成の異なる2種類の「鉛フリーはんだ」試料(Ag0.8/Bi57/SnとAg3/In2/Bi1/Sn)を裸地とスギ,マツ,ヒノキ,及びシラカシの樹冠下に置いて降雨による金属の溶出特性を調べた結果,以下の点が明らかになった:1)金属は林外(裸地の)雨よりも林内(樹冠下の)雨により多く溶けた;2)林内雨では,樹種によって溶出量が異なった;3)溶出量は季節変動した。また,4種類の土壌(淡色黒ボク土,褐色森林土,褐色低地土,及び砂丘未熟土)中の金属の天然賦存量を調べたところ,砂丘未熟土以外では比較的一定していて,銀(0.19-0.26ppm),ビスマス(0.32-0.43ppm),アンチモン(0.70-1.2ppm),インジウム(0.063-0.088ppm)及び錫(2.6-2.8
ppm)であったが,砂丘未熟土では非常に低かった(それぞれ,0.069,0.13,0.35,0.068,及び1.8ppm)。逐次抽出法による形態分析の結果,金属は4種類の土壌で2〜8形態で存在した。銀,インジウム,及び錫は不溶性の画分(岩屑や未風化鉱物)に最も多く含まれ,ビスマス,アンチモン,及びスズは有機物態として比較的多く含まれた。また,ビスマスとアンチモンでは金属酸化物結合態も多く,アンチモンとスズではイオン交換態や炭酸塩態も一定程度存在した。ライシメーター土壌に添加した金属は数ヵ月間は大部分が土壌表層に蓄積していて,下方への移動はほとんど見られなかった。また,添加金属の形態は天然の形態とは非常に異なっていた。
〔備 考〕
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