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研究成果物



 

(13) 山林域における水質形成と汚濁負荷流出過程に関する研究


〔区分名〕地環研
〔研究課題コード〕0101AH326
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕今井章雄(水土壌圏環境研究領域)
〔期 間〕平成13年度(2001年)
〔目 的〕山林集水域を対象とした精度の高い調査による実態の把握と情報の蓄積により,河川水質および流出特性を把握し,流出機構の解明および林地の原単位の算出と評価を行う。
〔内容および成果〕
 山林域からの栄養塩類流出負荷量を算出するために,晴天時流出は週1回の定期調査結果に基づく区間代表法により算出し,降雨時流出については降水量と流出負荷量の関係から降雨時の負荷量を推定するL-R法を用い,両者を組み合わせて年間流出負荷量を推定した。また,河川連続水位の測定値からH-Q式により流量を求め,流量と負荷量の関係式から負荷量を求めるL-Q法により年間流出負荷量を推定した。これらの2つの方法について1年間の調査結果をもとに比較検討したところ両者の違いは小さく,いずれも比流出負荷量の算出に対して有用であることが示唆された。次に,山林集水域の渓流河川に設置した自動測定・採水システムを用いて様々の降雨タイプにおけるサンプリングを実施し,降雨量や降雨強度が山林渓流水におけるリン等の栄養塩類の流出特性との関係について検討した。その結果,同一降水量でも水位変動やEC変動に大きな違いが認められ,その原因として,時間当りの降水量(降雨強度)の違いが影響していることが明らかになり,山林域からの汚濁物質流出負荷量をより正確に推定するためには,日降水量の影響以外に降雨強度の違いを加味することが必要であることが示された。
 また,山林集水域の中で集水域面積の大きく異なる渓流河川(谷川1)とそこに流入する小渓流河川(小谷川)の長期調査結果に基づいて,両者の水質の比較から山林からの物質流出プロセスについて検討を行った。小谷川の水温変化は谷川1に比べて小さく湧水に近い特徴を示したが,主要無機イオンのうち,流出成分のトレーサーとして使われるNO3−の平均濃度は0.71mg/lと0.78mg/lとほぼ等しかった。約2年間の濃度変動をみると,いずれも良く似た変動パターンを示し正の相関関係が認められ,NO3−は集水域の大きさに関わりなく同様のプロセスで渓流河川へと流出すると考えられた。小谷川集水域内の山林土壌水中のNO3−は調査期間を通じてほとんど検出されず,降雨後の流量増加時にはいくつかのピークが認められるもののその濃度は低く,降雨時の流出として高濃度のNO3−が集積している土壌表層から浅い表層部分を通る速い中間流出の寄与が示唆された。一方,晴天時の地下水流出時においても土壌水では検出されない一定濃度のNO3−が含まれており,表層から下層へ土壌水を通じて供給される有機態窒素の無機化によると思われるが,有機態窒素だけで渓流水中の濃度を説明することはできず,地下水への供給ル−トについては今後の検討課題となった。
〔備 考〕
共同研究者:駒井幸雄(兵庫県立公害研究所)・梅本 諭(兵庫県立公害研究所)


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