(12) ラン藻類の遷移に及ぼすキレート物質の影響に関する研究
〔区分名〕文科-科研費
〔研究課題コード〕9901CD196
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕岩崎一弘(生物多様性の減少機構の解明と保全プロジェクトグループ)
〔期 間〕平成11〜13年度(1999〜2001年度)
〔目 的〕全国各地の富栄養化した湖沼において,ラン藻類のMicrocystisを中心とする水の華が発生し,水質の悪化,異臭味の生成,魚類へい死,浄化施設のろ過閉塞等の弊害が生じ大きな社会問題となっている。しかし最近の霞ヶ浦においては,MicrocystisやAnabenaの発生が著しく減少し,かび臭の原因となるOscillatoriaやPhormidium等のラン藻類が異常に発生する現象が認められている。本研究では,4種のラン藻類に関して現場調査を行うとともに室内実験において4種の藻類の競合現象を解明し,最終的には藻類の異常発生機構を明らかにする。
〔内容および成果〕
本年度はMicrocystis aeruginosa
K-5株を用いて霞ヶ浦における藻類増殖制限因子を調べた。25℃,2000lx,白色蛍光灯連続照射条件で静置培養を行い,藻類の増殖量を測定した。M.
aeruginosa K-5株の増殖制限物質は,EDTAまたはEDTA<CODE
NUM=00A5>リン<CODE NUM=00A5>窒素であったが,EDTAのみの添加では増殖量は以前ほど認められず,利用可能なリン,窒素が減少しているのではないかと考えられた。さらに,合成キレート剤のEDTA(Na2EDTA
2H2O)およびNTA(Nitrilotriacetic
acid)ならびに霞ヶ浦の底泥より分離した天然キレート物質のフミン酸およびフルボ酸による,Microcystisの重金属毒性の抑制効果について明らかにするために,重金属を含む合成培地にキレート物質を添加し,Microcystisの増殖に及ぼす影響を調べた。Cd,Ni,WおよびZnは,低濃度でM.
aeruginosa K-5株の増殖を阻害したが,EDTA,NTA,フミン酸およびフルボ酸は重金属毒性の抑制効果を示した。フミン酸およびフラボ酸の同時添加は,K-5株の増殖の誘導期が短くなる効果を示した。キレート物質の重金属毒性の抑制効果はMicrocystisの種により異なっていた。
〔備 考〕
研究代表者:矢木修身(東京大学)
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