(10) 湖沼で蓄積する難分解性溶存有機物の動態とトリハロメタン生成能の評価
〔区分名〕文科-科研費
〔研究課題コード〕0002CD111
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕今井章雄(水土壌圏環境研究領域)・松重一夫
〔期 間〕平成12〜14年度(2000〜2002年)
〔目 的〕本研究の目的は,霞ヶ浦での難分解性溶存有機物(DOM)の動態を把握し,難分解性DOMとしてフミン物質が優占するかを確かめ,湖水とDOM発生源水の特性比較から湖水難分解性DOMの発生原因を検討し,湖水DOMの難分解性化が水道水源水としての湖水に及ぼす影響を把握することである。
〔内容および成果〕
霞ヶ浦湖水(5地点), DOM発生源水(流入河川水,下水初沈水,下水処理水,生活雑排水,し尿処理水,田面流入水・流出水,森林渓流水,藻類培養後ろ液(藍藻,緑藻,珪藻)やヨシ・ガマの繁茂する池の水をDOM分画手法(生分解試験+フミン物質の分離に基づく樹脂分画)に供し,サンプルDOMをフミン物質,疎水性中性物質,親水性酸,塩基,親水性中性物質の5つに分画した。引き続いて,ろ過サンプル(DOM),フミン物質(AHS),親水性画分(HiF:
親水性酸+塩基+親水性中性物質)のトリハロメタン生成能
(THMFP) をヘッドスペースGC/MSで測定した。
単位溶存有機炭素(DOC)あたりのTHMFPとして,HiFはAHSと匹敵するTHMFPを示した(HiF:0.176
μmol THM<CODE NUM=00A5>mg
C−1, AHS:0.195 μmol THM<CODE
NUM=00A5>mgC−1)。しかしながら,湖水中に存在する濃度を考慮した場合には,HiFのTHMFPはAHSのそれよりもはるかに高い値を示した(HiF:
0.374 μmole<CODE NUM=00A5>L−1,
AHS: 0.229 μmol<CODE NUM=00A5>L−1)。湖水中のトリハロメタン前駆物質としては,HiFのほうがAHSよりも重要であることが明示された。
サイズ排除クロマトグラフィにより,湖水中のDOM,AHSおよびHiFの分子量分布を測定した。湖水DOM,AHSおよびHiFは全て分子量分布の狭い,比較的低分子の有機物の集合体であることが示唆された。DOM,AHS,HiFの平均分子量は各々780,960,610g<CODE
NUM=00A5>mol−1であった。疎水性有機酸であるフミン物質は親水性DOMよりも高い分子量を持つことがわかった。
〔備 考〕
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