5.3 流域圏の総合的環境管理に関する研究
東アジアの流域圏における生態系機能のモデル化と持続可能な環境管理プロジェクト
(1) @衛星データを利用したアジア・太平洋地域の総合的モニタリング
〔区分名〕 重点特別
〔研究課題コード〕 0105AA269
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.5 東アジアの流域圏における生態系機能のモデル化と持続可能な環境管理
〔担当者〕田村正行(東アジアの流域圏における生態系機能のモデル化と持続可能な環境管理プロジェクトグループ)・松永恒雄・山野博哉・陳 晋・松下文経
〔期 間〕平成13〜17年度(2001〜2005年度)
〔目 的〕アジア・太平洋地域を対象として,広域の地表面を定期的に観測することのできる各種の衛星センサ(Terra/MODIS,Landsat/TMなど)を利用することにより,環境の変化を実証的に把握し,自然資源の持続的管理に資する情報を得る。具体的には,土地利用・土地被覆及び生態系の現状と変化の把握,重要サイトと攪乱サイトの同定,温暖化や砂漠化による影響の監視などを行う。
〔内容および成果〕
本年度は主として,環境変化の主要な駆動要因である土地利用・土地被覆変化の抽出手法の開発と,陸上植生による炭素収支を見積もる上で基礎となる植生純一次生産量の推定手法の開発を行った。
土地利用・土地被覆変化の抽出に関しては,地表面の変化抽出の分野における過去の研究をレビューし,東アジアにおける土地利用・土地被覆変化の抽出に関して,Terra/MODIS衛星データを用いた新たな変化抽出手法の開発を行ってきた。ただし,本年度はMODISデータを定常的に取得,利用する体制が整っていなかったので,代替の衛星データとして,Landsat/TM,SPOT,NOAA/AVHRRデータを用いて手法開発を進めた。今年度中に開発を行った主要な土地利用・土地被覆変化の抽出方法は,(1)輝度−色相−彩度に基づく変化抽出手法と(2)変化ベクトル解析による土地利用・土地被覆変化の抽出手法の二つである。
植生の純一次生産量の推定に関しては,新たな土地被覆分類logicとrobustなNDVI-LAIアルゴリズムを生態系プロセスモデルBEPSに統合することによって,東アジア地域における陸域植生のNPPの推定方法を開発した。この方法を用いて98年研究地域におけるNPPの分布図も作成した。98年研究地域におけるNPPの総量は約25G
t/yearであり,全球の約40%を占めている。
NPPデータベースから得られた実測のNPP値と本研究により推定したNPPの値を比較した結果は,モデルNPPと実測NPPは実測NPPが1500g
Cm−2yr−1以下の範囲では比較的良く一致している。しかし,NPPが1500g
Cm−2yr−1以上の範囲ではモデルNPPが過小評価になっている。平均誤差は−20%であった。
異なるデータセットを使ったNPPの計算値を比較した結果,北海道地域においては,入力データの質によりNPPの推定結果に16.7〜39.7%の不確定性を与えていることが分かった。この結果は高品質な入力データセットの重要性を示唆している。
〔備 考〕
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