(9) 宝満山モミ自然林の衰退に関する研究−調査10年後における衰退状況の変化−
〔区分名〕地環研
〔研究課題コード〕0101AH323
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕清水英幸(国際共同研究官)・藤沼康実
〔期 間〕平成13年度(2001年度)
〔目 的〕福岡県の三郡山地南部に位置する宝満山のモミ自然林に多数の枯損木が認められたことから,平成2〜4年度にかけて現地調査を実施した。その結果,モミ枯損の要因として,樹木の老齢化に加えて,大気汚染物質を含むさまざまな環境ストレスが複合して影響している可能性が指摘された。また,継続的監視/調査の必要性も指摘された。しかし,その後同様な観点からの森林植生調査および樹木衰退度調査は行われていない。そこで,最近10年間における森林衰退の進行あるいは回復程度について明らかにするとともに,その要因について検討することを目的として本研究を実施した。
〔内容および成果〕
前回調査時(平成2〜4年度)に設定した調査区(45×45m)において,森林植生,樹木衰退度(0〜4で評価)等を,前回と同様の方法で調査した。平成12年度に実施した調査区とあわせた全20地点において,モミ衰退の進行あるいは回復程度を検討した結果,前回調査時に平均衰退度が3以上の,衰退が顕著な7地点では,今回も同様に3以上の値であり,モミ自然林の衰退は10年前とほぼ同様の状況であった。また,調査区内やその周辺に生育するブナやアカガシは,前回調査と同様に健全と評価され,宝満山ではモミのみに衰退が認められた。モミの衰退は神奈川県の大山,東京都の山間部等でも報告されており,モミは環境変化の指標として有用であると判断された。ダケカンバ等の枯損が認められる奥日光地域とは生育樹種が異なるため直接比較は困難であったが,比較的高濃度のオゾンや酸性霧等が両地域で観測されており,これらの環境計測を含め,今後も継続的なモニタリングが必要と考えられた。
〔備 考〕
本研究は平成13年度地方公共団体環境研究機関と国立環境研究所との共同研究として実施された。
共同研究機関:福岡県保健環境研究所
共同研究者:須田隆一(福岡県保健環境研究所)
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