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研究成果物



 

酸性・酸化性物質に係る陸域生態系の衰退現象の定量的解析に関する研究
(7) 陸域生態系衰退地域における酸性沈着の実体とモニタリング手法に関する研究

 
〔区分名〕環境-地球推進 C-4
〔研究課題コード〕9901BA221
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.6 大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価
〔担当者〕福山 力(大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価プロジェクトグループ)・畠山史郎・内山政弘
〔期 間〕平成11〜13年度(1999〜2001年度)
〔目 的〕大気汚染によって森林被害が現れていると見られる山岳地域(北関東など)においてオゾン,過酸化物を中心とした大気汚染物質を観測し,森林被害との関連を明らかにする。また,これらの地域に適用可能なモニタリング手法を開発し,森林への汚染物沈着の実態を把握するために汚染物濃度の空間分布等の測定を行う。
〔内容および成果〕
 1)7月23日から8月5日まで,国立環境研究所奥日光環境観測所および白根山において次の観測を行った。(i)過酸化水素,メチルヒドロペルオキシド(MHP)などの有機過酸化物,その前駆体であるRO2ラジカル(R=H またはアルキル基),α-ピネン等の植物起源炭化水素,オゾン,NOx,気象要素を測定した。また白根山山頂においてオゾン測定を行った。RO2の測定は化学増幅法を用いた。植物起源炭化水素はサンプリングの後,GC-MSで同定,定量した。前半は雨や曇りが多く,過酸化水素の濃度はあまり高くなかったが,後半の8月3日には最高で0.8ppbの過酸化水素を観測した。7月30日から8月1日までRO2の観測を行った。晴天の場合には明瞭な日変化を示し,最高で20pptのRO2ラジカルを観測した。過酸化水素とRO2ラジカル濃度の間には,弱い相関が見られ,過酸化水素の濃度が高いときにはRO2の濃度も高くなる傾向を示した。植物起源炭化水素のなかでイソプレン,α-ピネンを7月28日から7月30日の日中観測した。イソプレンは終日1ppb程度を示すこともあれば,午前は1ppbで午後には0.2ppb程度まで減少することもあった。α-ピネンは0.2ppb以下で推移していた。他の観測との重複期間が短いため植物起源炭化水素と過酸化物やRO2濃度間の相関は明確ではない。7月30日から8月2日の間,オゾンやNOxは午後高くなる傾向があり,オゾンは最高90ppb,NOxは最高4ppbを記録した。観測期間の後半には晴天が続いたが,台風通過の影響で,風向は北東または北が多く,東京近郊からの汚染物質の影響は明瞭には観測できなかった。また午後3時頃から霧や雨になることも多く,その場合には,過酸化水素,RO2ともに濃度が減少した。白根山山頂のオゾン測定では,今回は悪天候のため,オゾン濃度はあまり高くなかった(70ppb)。山上での長期無人オゾン観測を行うため,ソーラーバッテリーとNiCd電池によって駆動する紫外線吸収式オゾン計を製作し,性能試験を行った結果,長期無人観測に適することがわかった。(ii)30m観測塔を用い,熱収支ボーエン比法により森林キャノピーへのオゾンと二酸化窒素の沈着速度を測定。観測点周囲に傾斜地が迫りしかも地表面粗度が大きいため,上記方法の摘要条件が必ずしも充たされていなかったが,オゾンについては沈着速度の系統的日変化および日射との相関を測定することができた。日射が強いときの沈着速度は2〜4cm/sであり,アカマツ林等における値と大差ない結果となった。二酸化窒素の沈着速度はおおむね0.2cm/s程度であったが,濃度レベルが低く推移した(ほとんどの時間10ppb以下)ため,一定の傾向を認めるに至らなかった。(iii)キャノピー下に高さ約2mのポールを立てて風速センサーを用いた風速プロファイル法により下草へのオゾンの沈着速度を測定,0.5〜2cm/sという結果を得た。オゾン濃度は弱い日変化を示したものの,大芝高原の場合と異なってキャノピー下におけるオゾン生成を明確に示す濃度プロファイルは認められなかった。2)長野県大芝高原のアカマツ林において,9月4〜8日および10月18〜22日の期間オゾン濃度の垂直分布を測定。いずれの場合も葉層におけるオゾン濃度の減少は見られず,秋期にはアカマツの葉がオゾン除去過程に大きく寄与しないという昨年の観測結果が裏付けられた。また,炭化水素類の測定では,テルペン類がイソプレンより高濃度で針葉樹の特徴が現れた。さらに,pptのレベルであったが土壌起源と思われるジメチルサルファイドとジメチルジサルファイドが検出された。3)過酸化水素の曝露実験を行った。濃度を200ppbと20ppb程度に設定しハツカダイコンやサツマイモなどの植物に1週間程度曝露したところ,200ppbの場合植物の生長が阻害された。過酸化水素による障害の一例と考えられる。
〔備 考〕
研究代表者:袴田共之(農業工学研究所)
共同研究者:青木正敏(東京農工大学)・泉 克幸(東洋大学)・坂本和彦(埼玉大学)・嵐谷奎一(産業医科大学)


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