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研究成果物



 

(10) 中国北東地域で発生する黄砂の三次元的輸送機構と環境負荷に関する研究


〔区分名〕環境-地球推進 C-5
〔研究課題コード〕0104BA046
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕西川雅高(化学環境研究領域)・杉本伸夫・菅田誠治
〔期 間〕平成13〜15年度(2001〜2003年度)
〔目 的〕中国内陸部で発生する砂嵐現象は,近年,発生回数と規模が増加傾向にある。その砂塵嵐のうち,中国北東地域(内モンゴル砂漠地帯および草原荒廃地域河北省,山西省の黄土地帯等を指す)で発生し風送される黄砂の三次元的大気動態の把握,および東アジア周辺の環境への負荷量評価を求めるに有効なシミュレーション手法の確立,発生源地域の特定等を目指す。加えて,本プロジェクトの推進に際し,中国研究機関との共同研究を行うことが合意されており,中国政府が行う黄砂防止に係る環境施策に有効な科学的情報の提供も目的としている。
〔内容および成果〕
(1)黄砂の三次元的動態把握に関する研究
 ライダーによるエアロゾルの観測を北京,長崎,つくばにおいて連続的に行った。また,合わせてスカイラジオメータ等による観測を行った。これによって黄砂エアロゾル,大気汚染エアロゾルの輸送の動態と光学特性をマクロスケールでとらえた。ライダーで得られる消散係数と偏光解消度を組み合わせて,黄砂エアロゾルの寄与を推定し,黄砂エアロゾルの高度分布プロファイルの時系列データを求めた。これを既存の化学輸送モデル(九州大学のCFORS)と比較し,個々の黄砂現象の解析を行なうとともに,現状のモデルの問題点を検討した。ライダーおよび航空機で観測された偏光解消度と消散係数の変化が,航空機で観測された微小粒子の散乱係数や相対湿度の変化によって説明できること等がわかった。一方,長崎で行った2波長のライダー観測より,後方散乱係数の波長依存性から粒径情報を得る手法の有効性が確認された。そこで,北京およびつくばのライダーについても2波長化の改良を行った。
(2)黄砂の輸送過程中での化学的動態変化に関する研究
 黄砂サンプリング地点として,中国国内に12カ所,日本国内に4カ所を設けた。ハイボリュームサンプラー捕集を基本として,1イベント黄砂を風送距離ごとに試料採取した。本年度は,中国国内のみで終息した黄砂5例,日本国内まで飛来した黄砂3例を同時捕集できた。多点観測結果から,北京経由で日本に飛来する黄砂は,外モンゴル−内モンゴル(ジーニン)−北京を経由する北ルートと内モンゴル(アラシャン)−大同−北京を経由する北西ルートの割合が高いことが判明した。各ルート上で捕集した黄砂試料については,現在分析中である。また,黄砂の発源地を特定するために,黄砂捕集試料と発源地土壌中の化学組成の比較およびSr同位体比比較による一致性を確かめている。黄砂が輸送過程中で生じる大気中SO2との反応機構を調べるために新たな実験システムを工夫し,O3によるSO2酸化過程と黄砂粒子の触媒的作用について基礎実験を開始した。
(3)黄砂の三次元的輸送モデルの構築と負荷量推定に関する研究
 黄砂の正確な輸送モデリングにおいて最も重要な要素である発生量の見積もりに関連する基礎データの収集を行った。まず,気象モデルRAMSの地表面過程の計算で用いている地表面状態データの元データである衛星データ(AVHRR)の情報収集を行った。また,日中友好環境保護センターの所持している最新の中国西部地域の地表面状態に関するデータについて情報収集を行なった。気象モデルを,中国全域および日本を含む東アジア域で100km程度の解像度により走らせ,起伏の激しい地域を含む計算でも現実的な気象データが得られることを確認した。大気質モデルCMAQのエアロゾルモジュールを変更し,今後作成する黄砂発生量データを別途入力可能にした。
(4)ライダーおよび光学的計測手法による黄砂の輸送の研究(国際交流研究)
 北京で観測された黄砂エアロゾルの解析を行い,地上の光学ダスト計およびサンプラー測定と比較することによって,ライダーで得られる消散係数を重量濃度に変換する係数を求めた。これを用いて黄砂エアロゾルの高度分布を時系列的に求めた。得られた高度分布パターンの変化と地上で測定した粒径分布を組み合わせて北京に飛来する黄砂が長距離輸送されたものであるか,局所的に発生したものであるか等を判別した。
〔備 考〕
海外共同研究機関:中国中日友好環境保護中心
国内共同研究機関:長崎大学,東京商船大学,埼玉大学,筑波大学


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