(5) PM2.5・DEPの毒性・影響評価に関する研究
〔区分名〕重点特別
〔研究課題コード〕0105AA299
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.6 大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価
〔担当者〕小林隆弘(大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価プロジェクトグループ)・高野裕久・鈴木 明・古山昭子・藤巻秀和・平野靖史郎
〔期 間〕平成13〜17年度(2001〜2005年度)
〔目 的〕実験動物を使った研究を実施して,PM特にDEPの健康影響に関する知見を集積する。ディーゼル排気全体の呼吸-循環器系への影響およびその機構を明らかにする。同時に呼吸-循環系に病態のあるモデル動物(高血圧,肺高血圧,動脈硬化,心筋炎,肺炎など)を用い疫学調査に見られる死亡率の増加に関連する可能性のある指標にどのような影響があるかについて検討する。次に,ディーゼル排気中のガス状成分の曝露実験を行い,呼吸-循環器系への影響およびその機構を検討する。ディーゼル排気全体の曝露による影響と比較し,粒子状成分の寄与について検討する。さらに,ディーゼル排気粒子を含めた微小粒子のin
vitroでの影響評価手法を開発し各種粒子の影響評価を行う。また,ディーゼル排気暴露の動物への濃度-影響関係から閾値の算定を行う。
〔内容および成果〕
ラットあるいはマウスにディーゼル排気全体やディーゼル排出粒子の抽出物を曝露あるいは気管内投与し呼吸-循環器系に及ぼす影響について検討し以下のことを明らかにした。
1)ラットに1,3,6,9,12ヵ月間,0.3,1.0,3.0mg/m3のDEを曝露し心電図や病理組織学的検討を行った。DE曝露群では異常心電図が発現する個体が多くなること,出現頻度が増加することが明らかになった。また,老齢ラットではより異常心電図が発現する個体および異常心電図の出現頻度も増加することが明らかになった。DE12ヵ月曝露後のラットの心臓重量,右心室壁厚は対照群に比べ有意に増加したことから肺高血圧の傾向になっている可能性が示唆された。
2)自然発症の高血圧ラットを用い,PM2.5抽出液副交感神経の支配が高まり血圧の低下や心拍数の低下を引き起こすこと,肺抵抗を増加させることなどから低酸素状態になる可能性が示唆された。
3)大気中微小粒子状物質が気道の感染に及ぼす影響についてマウスを用いLPS-誘発の肺炎症状惹起モデルを用い,DEPが気道感染による肺炎症状を増悪させるかどうかについて検討した。ディーゼル排気暴露が感染時におきる炎症を増悪させる作用のあること,DEPは炎症細胞の浸潤を増加させる因子であるケモカインであるMIP-1αを増加させることが見いだされた。
4)粒子に付着した成分に血管を収縮および弛緩させたり,心筋を強縮させる作用のあることを見いだした。また,抽出物をさらに分画しどのような画分に収縮や弛緩作用を有する物質があるかおよび同定を進めている。
5)細胞を用いた検討では,肺組織障害と修復に伴って分泌されるサイトカインが培養肺胞上皮細胞の基底膜形成に与える影響について検討した。線維芽細胞由来のHGFが基底膜形成を阻害するが上皮細胞増殖を促進すること,また,HGF暴露の後に低濃度TGF-β1を与えると最も組織修復が早いことが明らかになった。
〔備 考〕
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