(4) PM2.5・DEPの疫学・曝露評価に関する研究
〔区分名〕重点特別
〔研究課題コード〕0105AA298
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.6 大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価
〔担当者〕新田裕史(大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価プロジェクトグループ)・小野雅司・田村憲治
〔期 間〕平成13〜17年度(2001〜2005年度)
〔目 的〕都市大気中におけるPM2.5を中心とした粒子状物質による大気汚染を改善するためには,発生源動態の把握,環境濃度との関連性の解析,並びに疫学・曝露評価,毒性・影響評価を行う必要がある。その中で,粒子状物質(PM)およびDEPに関する疫学データおよび曝露量データを収集・整理,解析することにより,健康リスク評価のために必要な資料を提供する。そのため,曝露量・健康影響評価のために地理情報システムを運用し,PM/DEPの地域分布の予測を行う。この結果を統計解析し,それぞれの地域における曝露量を予測する。さらに,地理情報システム(GIS)を利用した全国・地域PM/DEP曝露量予測結果と疫学データとの関連性を解析する。今年度は,疫学・曝露評価に関する研究のための地理情報システムの利用方法を明らかにするとともに,PM/DEP曝露量と健康影響評価のための曝露量推計モデルの開発を行う。
〔内容および成果〕
これまでも曝露推計モデルはいくつか提案されているが,大きく2種類のモデルに分類できる。ひとつはマクロモデルである。これは,GISをベースとした地域環境濃度推計と居住人口・生活時間データベースを結合させた曝露濃度(exposure)のモデルであり,特定の人口集団の曝露濃度population
exposureの推計を行うものである。もうひとつは,ミクロモデルであり,「人」の生活行動空間での濃度分布と呼吸生理パラメータを加味した用量(dose)のモデルである。第1段階としては前者のマクロモデルを基本として検討を加えた。このモデルは生活行動時間分布と微小空間濃度推計モデルを組み合わせた時間荷重モデルである。これらのモデルでは基本として次のような項目のデータが必要となる。
@生活行動空間の濃度分布(区市町村,地域メッシュ,街区,等別)
A各空間での生活行動時間分布(性,年齢,職業,人口・地域特性別)
B居住環境の換気率,居住空間の大きさ,空調システム,屋内発生源(建物構造別)
微小空間濃度推計モデルはそれぞれの空間での濃度を推計するモデルである。一般的には大気拡散モデルにおけるボックスモデルの同様とモデルであり,屋外-屋内関連性モデル,屋内発生源モデルを組み合わせたモデルとなっている。
地域環境中の空間濃度分布推計についてはすでに試みられているが,幹線自動車道路沿道部での歩行時,自動車運転時,バス乗車時などの濃度実測データが不足しており,モデル化するためにはこれらのデータを収集する必要がある。
生活行動時間とはどれぐらいの割合の人口が,どれぐらいの時間,どのような空間で生活しているかという情報である。我が国では全国規模の調査として総務省統計局が実施している社会生活基本調査とNHKが実施している国民生活時間調査の二つがある。モデル化にあたってはPM濃度が大きく異なる空間毎にそこでの行動時間分布が必要である。両調査からは行動の種類に基づいて屋内および屋外での生活時間を推測することや,通勤・通学等の移動に係わる時間のデータが得られる。しかしながら,移動手段,屋外での移動場所(例えば,幹線道路の沿道か否か)など詳細については調査項目には含まれておらず,PM曝露推計という観点からは十分なものではない。
生活時間の多くを占める屋内濃度の推計には換気率,屋内発生源強度データが必要である。これまで二酸化炭素や窒素酸化物等のガス状物質に関しては実測やモデル研究が行われている。しかしながら,PM/DEPについての検討は不十分であり,population
exposureの推計のためには居住環境の類型別にこれらのデータが必要である。
以上のように,PM/DEPの曝露量推計モデルの開発には一部実測データを追加しつつ,データの不確実性が大きいものについてはモンテカルロ法などの確率的な取り扱い手法も加味しながら,モデル化を進めていく必要があることが明らかとなった。
〔備 考〕
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