(16) 高架道路によって覆蓋された沿道の大気汚染濃度分布に関する研究
〔区分名〕奨励
〔研究課題コード〕0101AF217
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.6 大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価
〔担当者〕上原 清(大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価プロジェクトグループ)・若松伸司
〔期 間〕平成13年度(2001年度)
〔目 的〕高濃度の局所大気汚染が問題となっている道路の多くは,その上部を高架道路に覆蓋された2重あるいは3重構造になっている。頭上をふさぐ高架道路が自然の通風を阻害し,高濃度の大気汚染の原因の一つとなるであろうことは容易に推測される。しかし,建物と道路からなる凹凸(ストリートキャニオン)内部の流れと拡散は複雑で取り扱いが難しく,特に,高架道路の存在影響に関する研究は国内・国外を問わず非常に少ない。
本研究においては風洞実験によって,高架道路に覆蓋されたストリートキャニオン内部の流れ場や濃度場を詳しく調べ,1)高架道路によって道路空間内部の風がどう変化するか 2)それによって沿道の高濃度出現位置がどう変わるか 3)濃度の変化はどのくらいか,の3点を明らかにすることである。
〔内容および成果〕
幹線道路上に高架道路が敷設されている地域の縮尺模型を用いて風洞実験を行い,以下のことを明らかにした。
1)高架道路の敷設影響には,高架が沿道上空を覆蓋する影響と,高架道路を通行する車からの排気が加わる影響の二通りがある。
2)今回用いた市街地模型によって得られた範囲内では,高架道路に覆蓋された沿道で特に高濃度が生じやすい傾向は認められなかった。それは,高架道路の両側を背の高い建物が取り囲む条件下でも,建物間の道路に生じる渦の強い下降流によって沿道の高濃度が道路の外に押し出されるためであることがわかった。
ただし,例えば,高架道路と両側の建物の高さがまったく同じ場合や,強い逆転が生じているときには非常に高い濃度が生じる可能性がある。この影響については実験を継続中である。
3)高架道路から排出された汚染ガスは,高い位置から広く後背地に拡散するので周辺の市街地に対する影響は小さい。道路内部では,高架道路上から発生した汚染ガスは建物間に生じる強い渦によって道路上部に運ばれるため,高架下の沿道には回り込みにくい。
このとき,高架道路に接する建物の壁面には新たな高濃度汚染が生じる(従来の沿道で生じていた程度の濃度)が,沿道の濃度は劇的に低下する。このことは,沿道高濃度に関する一つの対策手法を示唆するものと考えられる。
〔備 考〕
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