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研究成果物



 

(13) 空間・時間変動を考慮した大気汚染物質の曝露影響モデルの開発に関する研究


〔区分名〕経常
〔研究課題コード〕0103AE226
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕松本幸雄(大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価プロジェクトグループ)
〔期 間〕平成13〜15年度(2001〜2003年度)
〔目 的〕大気汚染物質濃度が空間的,時間的に変動することを考慮した曝露−影響モデルの開発を目的とする。本年度の目標は「暴露−影響モデルの現況の把握」である。
〔内容および成果〕
 本年度は,米国EPA,WHOと我が国の調査を中心に既存のモデルの文献レヴューを行い,曝露−影響モデルの現況を把握し,課題の探索に努めた。
 (概要)大気汚染物質の健康影響評価の核心部分である暴露−影響関係の評価は,対象人口集団の構成要素(個人)に対する暴露と影響の精度をどう確保するかにつきる。この情報の不確定さが関係評価を偏らせる可能性がある。
 暴露評価については,大気汚染の空間的・時間的変動と人の行動とにより,本質的に推定に不確定さが伴う。暴露推定には屋外濃度と屋内濃度を含めた人の生活空間での濃度を評価する必要がある。屋外濃度については,発生原モデルによる方法と測定値をもとに推定する統計モデルによる方法がある。前者は,大気汚染の拡散モデルと発生源データから屋外の濃度を把握するものであり,後者は大気常時監視データの補間をもちいるが,いずれも精度を確保するのに解決すべき点は多い。さらに,人の生活空間となると,長期にわたっての自宅,職場などの濃度と人の行動に依存するので,短期的な事例研究の域をでることは原理的に難しい。
 個人のレベルで暴露と影響指標とが対応すればベストだが,多くは集団を地域,職業,年齢などで層別したサブ集団レベルで,暴露と影響指標を対応させることになる。
 以上のデータから暴露―影響の関連を導く際の問題のうち,暴露情報が個人のレベルでも集団のレベルでも不確定さもつことに起因して,暴露―影響関係を偏って評価する危険性を含んでいる。この偏りを避けるため,統計的手法による対応の可能性について検討した。2年目以降に実データによる適用を計画している。
 (課題)暴露−影響関係の評価方法の研究では,方法論を実データへの適用する段階になると極めて困難になる。
 第一に,データを得るための暴露調査や影響調査は新たに行うには多額の費用と時間を要するため容易でない。
 新たに調査を起こさないで利用可能な情報は,定期的にまとめられる既存の統計データとしては,唯一,暴露関連情報の大気常時監視データがあり,これは公開されている。しかし,健康影響データについて一般の研究者がアクセスできるものは事実上皆無に近い。
 過去の個別調査については,暴露,影響ともにデータは事実上アクセスできない。国民の健康に関連した問題は最新の知見から常にオープンな議論ができることが望ましいと考える。そのためには,国家予算で行ってすでに解析が終了して結果が公表されている過去の暴露調査や疫学調査については,個人情報を除くなどして,一定条件下で原データを一般研究者が利用できるようにすることが重要と考える。
 このように,解析方法の研究を進める際の最大の課題は影響データへのアクセスである。
〔備 考〕


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