5. 環境の総合的管理
5.1 浮遊粒子状物質等の都市大気汚染に関する研究
(1) PM2.5・DEP発生源の把握と対策評価に関する研究
〔区分名〕重点特別
〔研究課題コード〕0105AA295
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.6 大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価
〔担当者〕森口祐一(大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価プロジェクトグループ)・近藤美則・松橋啓介・田邉 潔
〔期 間〕平成13〜17年度(2001〜2005年度)
〔目 的〕発生源の的確な把握は,あらゆる環境問題における現象の解明,影響評価,対策立案のすべてにおいて不可欠かつ重要な課題である。本課題では,DEPをはじめとする一次粒子,およびNOxやVOCなど二次粒子の生成原因となる物質の発生源の種類と地域分布を把握することにより,PMの大気中における動態解明や影響評価のための基礎データを提供するとともに,これらの発生要因となる人間活動に着目した排出抑制対策とくに自動車交通関連の対策に関する環境改善効果予測手法を開発することにより,PM・DEP問題の的確な把握と対策推進に資することを目的とする。
〔内容および成果〕
本研究では,短期的課題として,シャシーダイナモ施設による実験手法および自動車の走行モード調査手法の検討,トンネル調査や沿道調査を用いた実走行状態での自動車からの排出特性の解明,交通・物流データに基づくDEP排出量の地域分布の推計システムの構築を計画している。次いで,シャシーダイナモによる排出成分データと走行モード実測データを組み入れた排出モデルの高精度化を行うとともに,DEP以外の一次粒子および二次粒子前駆物質の排出インベントリの作成を行う。また,DEP排出量の削減策のリストアップ,対策効果の推計モデルの設計・構築を行い,最終的には,交通・物流システムに係るPM・DEP対策の効果予測モデルの精緻化,ケーススタディによる対策シナリオごとの効果予測につなげる計画である。
このため,本年度においては,シャシーダイナモ施設による実験,沿道フィールド調査,発生源インベントリの構築,対策のサーベイおよび効果予測システムの構築の各分野で研究を進めた。これに先立ち,プロジェクトグループ全体で実施したレビュー報告書の作成に参加し,さまざまな発生源からのインベントリの推計方法や自動車エンジンからの粒子状物質の排出などについて,研究動向のまとめを行った。
シャシーダイナモ施設は,地球温暖化研究棟の別棟として竣工した低公害車実験施設内にあり,本年度から稼動を開始したものである。車載型機器による排ガス計測手法の開発に関する研究と連携しながら,数種類のディーゼル車両について,粒子状物質,ガス状物質の計測を行い,冷間始動(コールドスタート)の影響や,走行モードによる排ガス対策技術の動作状況などが排出係数に与える影響が計測可能であることを確認した。また,高希釈トンネルや高希釈チャンバーの試験・調整を行い,実大気への排出となるべく近い条件下において粒子の排出状況を測定する手法の開発の準備を進めた。
また,実際の沿道地域におけるディーゼル車からの排出物とくに微小粒子の挙動を知るため,大型車交通量の多い幹線道路沿道において,約1週間の予備的フィールド調査を実施し,粒子状物質の粒径分布の連続測定や化学組成の解明のためのサンプリングを行った。道路が混雑する時間帯に,微小粒子の個数濃度が増加する兆候が観測されたが,その詳細な実態については,測定手法の改善も含め,さらに検討が必要である。
一方,揮発性有機化合物(VOC)に焦点をあてた先行研究において開発した,各種発生源からの大気汚染物質排出量の地域分布推計システムについて,精度向上のための改良点を検討した。走行量および走行速度と排出係数とを的確に結びつけるため,車種分類の改善および時間分解能の向上が重要な課題である。また,この排出量地域分布推計システムに距離減衰の経験的分布を表現した濃度推定モデルを結びつけ,沿道の人口集団の自動車排ガスへの曝露量を簡易推計するための数式の組み入れを行った。
さらに,各種の交通公害対策による環境改善効果を評価することを目指して,交通流シミュレーション,排出量推計モデル,濃度推計モデル,曝露推計モデルなどを組み合わせた統合的なシミュレーションモデルの構造の設計を行った。従来,関連研究で蓄積してきた手法の多くは,本モデルのサブモデルとして組み入れ可能である。モデルを完結させるには,対策の実施が交通量や走行速度に与える影響を精度よく予測することが必要であり,非集計型の交通流シミュレーションなど関連手法の調査を行った。
〔備 考〕
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