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研究成果物



 

(8) 青海・チベット草原生態系における炭素循環のプロセスとメカニズムの解明


〔区分名〕文科-科研費
〔研究課題コード〕0103CD142
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査,研究名〕
〔担当者〕唐 艶鴻(生物圏環境研究領域)
〔期 間〕平成13〜15年度(2001〜2003年度)
〔目 的〕青海<CODE NUM=00A5>チベット草原生態系は地球の第三極ともいわれている高原地域(平均標高が4000m以上)に位置している。当該生態系は環境条件の特異性が高く,同緯度のほかの生態系と比べ,CO2分圧と酸素分圧が低く,光合成有効放射や,紫外線が強く,昼夜の気温差も大きい。このような環境条件下での生態系炭素循環のプロセスやメカニズムは大変興味深いが,関連する知見が極めて乏しい。一方,広大な青海<CODE NUM=00A5>チベット高原は典型的な脆弱な生態系であり,当該生態系の炭素循環が地球温暖化の影響を受けやすく,環境変動に対する反応も非常に顕著である。しかも,青海<CODE NUM=00A5>チベット草原生態系の炭素<CODE NUM=00A5>水循環が東アジア大陸の気候変動・生物多様性の変化にも大きな影響を及ぼしている。本研究はこのような特異な草原生態系に注目し,炭素循環のプロセスとメカニズムを解明する。
〔内容および成果〕
 本年度では,生態系炭素循環のプロセスとメカニズムを明らかにするのに必要な海外の研究環境の整備を行い,微気象観測システムの組み立て,光合成と土壌呼吸について測定方法を確立する。
 まず,中国科学院西北高原生物研究所の海北高寒草甸生態系統定位站(37°29'N - 37°45'N, 101°12'E-101°23' E, alt: 3250m)内の一地点において,2001年8月9日にCO2フラックスと生態系炭素循環プロセスに影響を及ぼす生物環境要因の観測を開始し,現在も継続中である。2001年8月から10月始めにかけての観測結果によると,当該高山帯草原生態系はCO2を吸収しており,同期間において「炭素シンク」であった。また,純生態系生産量(NEP)の日積算値と考えられる正味CO2フラックスの日積算値(DNFc)は観測期間を通して正であった。観測期間中のDNFcの最大値は,8月に見られ,およそ15〜20 gCO2m−2d−1であった。DNFcは10月に向かうにつれて減少したが,負に転じることはなかった。この結果より,少なくとも9月までは,当該草原生態系は「炭素シンク」であったと考えられる。
 次に,光合成<CODE NUM=00A5>バイオマス・土壌呼吸及び炭素蓄積に関する研究サイトの設立と初期測定を開始した。3種類の高山植物について,強光阻害とそれに及ぼす環境要因について光合成・蛍光反応を測定し,強光による植物の物質生産への影響を明らかにした。
 また,これまで収集した青海<CODE NUM=00A5>チベット高原の研究情報について,物質循環の過程とメカニズムを解明するためデータベースの構築・整備及びデータ解析を行った。とくに,土壌中炭素の蓄積量については,異なる草原植生についての測定データを解析し,現在論文を作成中である。
 さらに,夏季と冬季において土壌呼吸の測定を行った。土壌呼吸速度のレベルは,日本の冷温帯域の半自然草地で夏季に観察されるものと同程度であることがわかった。また,冬季の土壌呼吸について,夏季の1/20程度のレベルで土壌呼吸によるCO2放出が見られ(最小:8mg CO2 m−2 h−1から最大30mg CO2 m−2 h−1),厳寒下の調査で点数が少ないものの,明瞭な日変化も確認できた。
〔備 考〕
共同研究者:小泉 博(岐阜大学)・鞠子 茂(筑波大学)・関川清広(玉川大学)


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