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研究成果物



 

(2) 中国の半乾燥地域に生育する植物の生理生態機能に関する研究


〔区分名〕経常
〔研究課題コード〕0003AE255
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕戸部和夫(環境研究基盤技術ラボラトリー)
〔期 間〕平成12〜15年度(2000〜2003年度)
〔目 的〕砂漠化の進行は中国においても深刻な問題となっているが,植被の保全や植物の人為的導入は砂漠化の防止や砂漠化した土地の回復のための重要な手法である。しかし,中国の砂漠地域に分布する植物種の生理・生態的特性は十分に解明されているとはいえず,砂漠化地域の植生保全や植物の導入は試行錯誤的に行われる傾向が強い。有効かつ効率的な砂漠化対策を図るためには,これらの植物種の特性に関しての基礎的知見の確立が不可欠である。そこで,中国の半乾燥地域に生育している代表的な植物種の乾燥環境あるいは塩性環境への適応機構を明らかにし,中国における砂漠化対策の一助とすることを目的として本研究を実施する。
〔内容および成果〕
 重要な砂漠化の過程として,砂地の植被の減少に伴う砂の流動化の進行および土壌の塩性化の二つがあげられる。そこで,乾燥地域の砂地での植物の定着過程や砂の流動化に伴う植生の遷移過程,および塩性土壌での植物の適応様式を明らかにすることを目標として本研究を実施している。本年度は,中国の乾燥地域の砂地に分布する3種のArtemisia属の半灌木(主に半固定砂地に分布するA. ordosicaおよびA. arenaria,さらに,主に流動砂地に分布するA. sphaerocephala)の種子の発芽特性を調べた。これらの植物種は,中国において,砂漠化した砂地での植被の回復のために頻繁に用いられている。研究の結果,これら3種の植物は,いずれも,(1)種子が発芽能を獲得するためには,種子が形成されてから数ヵ月程度の後熟期間を要すること,(2)種子発芽の温度依存性は比較的小さいこと,および(3)水に浸潤した状態でも種子が良好に発芽すること等が分かった。また,これらの植物種のいずれもが,完全な暗黒下と強光の照射下のいずれの条件下でも種子発芽は相当程度抑制され,極めて微弱な光の照射下で最も良好に発芽することが明らかとなった。乾燥地域の砂地では,風による砂の移動により種子が砂中に埋もれやすい傾向があるが,植物の定着のためには種子が浅めに砂中に埋もれている状態で発芽するのが最も有利である。得られた結果は,種子に微弱な光が到達する程度に浅めに種子が埋もれているときに多くの種子が発芽することを示しており,こうした種子発芽の光応答特性がこれら3種の植物の砂地環境での定着を有利にしていることが推測された。また,主に流動砂地に分布するA. sphaerocephalaは,主に半固定砂地に分布する他の2植物種に比べ,(1)完全な暗黒下と強光の照射下のいずれの条件下でも種子の発芽が抑制されやすいこと,および(2)良好な水分条件下でのみ種子が発芽する傾向が強いことが分かった。これらの結果は,流動砂地のほうが,半固定砂地に比べ,種子が砂に埋もれやすく,砂中の水分が豊富であることと関連づけられることが推測された。
〔備 考〕


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