(20) 車軸藻の絶滅・絶滅危惧種の保護と自然界への復元に関する研究
〔区分名〕地環研
〔研究課題コード〕0101AH316
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕渡邉 信(生物圏環境研究領域)
〔区分名〕地環研
〔研究課題コード〕0101AH316
〔期 間〕平成13年度(2001年度)
〔目 的〕車軸藻は日本で74種類記録されているが,そのうち34種類は日本固有種である。湖沼の深部に車軸藻帯を形成し,多数の生物の餌場,産卵場等重要な役割を果たしている。湖沼での車軸藻の分布は1964年にまとまった報告があり,そこでは35種類の車軸藻が報告されている。しかしながら,近年の調査により,多くの湖沼で車軸藻が減少しており,2000年に刊行されたレッドデータブックでは31種類の車軸藻が絶滅あるいは絶滅危惧種とされた。このうち,ホシツリモは体長が最大で2メートル50になる大型の車軸藻であるが,それが生育していた野尻湖,河口湖,山中湖では絶滅し,わずかに培養下で野尻湖産のホシツリモが残されているだけで,日本では野生絶滅とされている。本研究では野尻湖産のホシツリモを野尻湖に復元させる技術・手法を開発するとともに,その保護のための管理手法を開発することを目的とする。
〔内容および成果〕
野尻湖でのホシツリモの絶滅の原因はソウギョによる捕食と考えられたため,野尻湖内水深4.5m地点で,網目10cmのソウギョ防護柵を設置して植栽区とし,ホシツリモの仮根および地上部の節を植え込んだ結果,発芽したホシツリモは15cm程度まで成長するが,しばらくすると倒伏し,消滅した。この原因としては,藻体が付着珪藻に覆われ光合成が妨げられることによると考え,付着珪藻を捕食する小動物との共存環境を形成することが重要であるとの作業仮説を得ることができた。また,コイもホシツリモを捕食することが判明したことから,コイの侵入を防御するような防護柵構造にする必要があると考えられた。この作業仮説にしたがい,網目を8mmと25mmの防護柵を適用したこと,ならびに小動物を捕食するブラックバスから小動物を守るため,人工水中林の設置,沈水植物の植栽,ホシツリモの密植を行った。その結果,8mmの網目の植栽区では小動物が住みつき,ホシツリモは40cmまで成長した。しかし,内部で成長したテナガエビが脱出できず,ホシツリモを切断,枯死させた。25mmの植栽区ではセショウモ群落が形成され,小動物も自由に出入りができ,かつブラックバスやコイ,ソウギョがはいれない構造の環境となったことで,ホシツリモは最大60cmまで生育し,小規模ながら群落を形成するにいたった。今後,ホシツリモ植栽量,密度等を検討することで,より大規模な群落形成ができるかどうか実験する必要がある。
〔備 考〕
共同研究者:樋口澄男(長野県衛生公害研究所)
先頭へ