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研究成果物



 

(13) アジア太平洋地域における生物多様性情報基盤整備


〔区分名〕奨励
〔研究課題コード〕0101AF254
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕志村純子(環境研究基盤技術ラボラトリー)・渡邉 信・笠井文絵
〔期 間〕平成13年度(2001年度)
〔目 的〕地球環境の変化は生物の生息域にも急速にその影響を及ぼしつつあり,科学的な根拠に基づく保全計画の策定が必要である。そのための基本となる生物群の生息実態に関する情報,バイオ技術の開発のために基盤となる知識情報として,地球スケールの生物多様性情報が必要とされている。しかし,アジア太平洋地域のデータへのアクセスは冊子体・電子媒体・ネットワーク情報資源のいずれをとってみても極めて貧困な状況である。とくに,ネットワーク上に公開された生物多様性情報の希薄さには,この地域の自然資源に対する国際的な認知を遅らせる深刻な要因となっている。国際的な動向としては,分散型のデータベースシステムにより,生物種の分類学的情報,標本の担保された,正確な同定に基づく生息生物種の情報,それらのデータ統合による自然環境のシミュレーションなどを操作できるデータポータルの構築を目指して,新たな国際機関(GBIF)が2001年に設立された。このような流れのなかで,アジア太平洋地域では,Species 2000 Asia Oceaniaをはじめとする研究者の自発的努力により研究者・機関間のネットワーク化とデータの電子化支援を行ってきた。地域レベルで持続可能なデータベースの維持・管理は先進国と途上国の両方において重要な課題である。これらのプロジェクトを国際的に意義あるものとし,実質的なデータ貢献を可能とすること,分類学的に正確な種の生息状況を保全計画の立案と,生物多様性の減少機構の解明に役立てる基盤情報整備を目的とし,データアクセス向上をはかるための,地域間協力に関するワークショップの開催,既存データの公開と更新,データ構築における問題点の解明を行った。
〔内容および成果〕
 Species 2000 Asia Oceania, 日本動物分類学関連学会連合,国立科学博物館,DIWPA(Diversitas in the West Pacific and Asia)は共同で,アジア太平洋地域における生息生物種の研究に関与した経験のある生態学ならびに分類学の研究者を中心に国際ワークショップを開催し,GBIFや生物多様性条約締約国会議の決議に基づく分野横断的プログラムである世界分類学イニシアティブについて分類学研究者に周知をはかるとともに,研究実施における標本管理,データ管理について,データを提供する立場の研究者からの要求を検討し,さらに問題点の整理を実施した。学名変遷の問題を取り扱え,多様な分類体系に依存しないデータ構造をバックエンドのデータベースにもたせること,それらのデータ構造について,データ入力を実施する研究者に意識させない,柔軟なインターフェースを提供することの必要性が明らかとなった。また,生物多様性の研究においては,生態系におけるサンプリング,保存,同定,学名記載などのイベントがしばしば時間的<CODE NUM=00A5>空間的に離れて発生することから,これらのイベントごとにデータの入力・更新に対応できるシステムを設計することが重要と思われた。また,途上国における協働体制の確立がプロジェクトを継続的に実施するために重要であり,標本の移動とこれに伴う,各国の法規制についても情報の整理が必要であることが明らかとなった。途上国におけるサンプリング,保存,同定,学名記載などのイベントごとに,データの入力<CODE NUM=00A5>更新を可能とするためには,インフラ整備における経費支弁の問題から,できるだけパブリックドメインソフトウエアの開発と活用も重要な要素であることが示唆された。これらの問題点を解決するため,生物多様性情報基盤の整備には,サンプリングサイト,保存サイト,分類学研究サイトにおける独立したデータベースの構築と,それらを参照するデータベースポータルサイトの構築をはかることが,最も迅速にアジア太平洋地域のデータアクセスを実現する手段であることが明確となり,分散オブジェクトシステムの基本設計をとりおこなった。これらの分散データベースシステムのうち,標本データの入力支援として,Species 2000 プロジェクト参画機関と共同で標準学名の参照用データベース(Species 2000 Catalog of Life)のCD-ROM版を作成するため,微生物(細菌)学名データの提供(約7000件)を実施し,多様な分類群の学名データ統合のために,データクロスマッピングに協力した。同CD-ROMは国立環境研究所・環境研究基盤技術ラボラトリーより無償配布可能である。
〔備 考〕


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