(9) 粒子状物質が呼吸器に及ぼす影響
〔区分名〕経常
〔研究課題コード〕0005AE245
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.6 大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価
〔担当者〕平野靖史郎(環境健康研究領域)・崔 星
〔期 間〕平成12〜17年度(2000〜2005年度)
〔目 的〕微小粒子状物質は肺の深部に沈着し,様々な呼吸器系細胞に影響を及ぼす。肺は様々な細胞で構成されているが,その中でも,白血球の一種である肺胞マクロファージや,呼吸に直接関与している肺胞上皮細胞は大気汚染物質の標的となりやすい。
また,最近の疫学的研究によれば,大気中粒子状物質濃度と,心臓・血管系の疾患による死亡率の上昇との間に良い相関が見られ,粒子状物質の血管内皮細胞に及ぼす影響に関する研究も重要視されている。本研究では,肺胞腔内に沈着した粒子状物質を貧食していると考えられている肺胞マクロファージや,肺の炎症時に肺胞腔内に浸潤してくる好中球の細胞機能の変化,上皮細胞や内皮細胞における炎症に関連する遺伝子の発現に関する研究を行い,大気汚染物質の呼吸器に及ぼす健康影響評価を行うための指標を開発することを目的とする。
〔内容および成果〕
肺において,粒子状物質の曝露指標として最も鋭敏に反応し発現する遺伝子の検索とクローニングを行った。サブトラクションPCR法を用いて重金属に曝露した肺胞上皮細胞に発現する遺伝子の発現定量化を行ったところ,重金属に曝露した細胞にいくつかの新しい遺伝子が発現していることが明らかとなった。
また,ディーゼル排気粒子あるいはPM2.5抽出物を24時間暴露したラット心臓微小血管内皮細胞の生存率は,用量依存的に減少するが,ディーゼル排気粒子抽出物の方が約2倍程度細胞毒性が高いことを明らかにした。抗酸化剤であるN-アセチルシステインを添加することにより生存率は用量依存的に回復したが,この効果はディーゼル排気粒子抽出物の暴露において顕著であった。ラット心臓微小血管内皮細胞を10mMのN-アセチルシステインの存在下,あるいは非存在下でディーゼル排気粒子抽出物あるいはPM2.5抽出物に6時間暴露し,ヘムオキシゲナーゼ-1とheat
shock proteinの一種であるhsp70の遺伝子発現量を調べた結果を示した。ディーゼル排気粒子抽出物はPM2.5抽出物に比べヘムオキシゲナーゼ-1のみならず,hsp70の遺伝子発現量も顕著に上昇を示させた。
また,ヘムオキシゲナーゼ-1のmRNAの変化はhsp70の変化に比べ顕著であった。
NACはこれらの遺伝子発現と有意に低下させることが明らかとなった。
〔備 考〕
当課題は重点研究分野W.3.5にも関連
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