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研究成果物



 

(10) 電磁界の生体影響評価に関する研究


〔区分名〕奨励
〔研究課題コード〕0102AF189
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕石堂正美(内分泌かく乱化学物質及びダイオキシン類のリスク評価と管理プロジェクトグループ)
〔期 間〕平成13〜14年度(2001〜2002年度)
〔目 的〕高圧送電線などに由来する生活環境中の電磁界の発癌性については,約20年にわたり議論されてきている。疫学研究では,小児白血病や乳癌について否定できないリスクが示唆されている。一方,動物実験では,発癌性が確認できないという報告が多いが,乳癌由来培養細胞の実験では,細胞増殖への磁界の影響が観察されている。そこで,本研究では電磁界感受性の乳癌培養細胞を中心に,電磁界の生体に対する影響の分子基盤を解明することを,研究目的とした。
〔内容および成果〕
 現在提唱されている,電磁界の生体影響のメカニズムは,いわゆる“メラトニン仮説”である。電磁界は,松果体から分泌されるメラトニンがもつ細胞増殖抑制作用を打ち消すものと考えられている。実際,電磁界感受性ヒト乳がん細胞(MCF-7)の増殖は,メラトニンにより抑制されるが,そこに電磁界が暴露するとメラトニンの細胞増殖抑制作用が打ち消される。つまり,このことは,電磁界によりメラトニンの情報伝達機構が何らかの形で阻害されていることを示唆しており,メラトニン情報伝達機構の機構的連結の消失uncouplingが起こることを見いだした。そこで,培養細胞で見いだしたこの指標がヒト単核細胞でも見られるかどうかを検討した。また,乳がんの主要因子であるエストロジェンの作用が電磁界で影響を受けるかどうかを検討するとともに,電磁界感受性乳がん細胞での遺伝子発現の変動を解析した。その結果,下記の結果を得た。
 1)電磁界のヒト単核球細胞への影響を調べた結果,電磁界暴露により細胞死を招くことが明らかになるとともに,正常ヒト血中の単核球細胞も電磁界に反応することが明らかになった。ヒト乳がん細胞とヒト単核球細胞では電磁界に対して,違う応答をしているものと推察された。
 2)電磁界感受性乳癌細胞において,エストロジェン受容体αが同定され,エストロジェンによる細胞増殖に対する電磁界の影響を調べた結果,有意な影響は見られなかった。また,エストロジェンの転写活性に対する電磁界の影響を調べるために,エストロジェン応答をみるレポーターアッセイ系を作成した。
 3)電磁界感受性乳癌細胞において,電磁界による遺伝子発現の変動をDNAマイクロアレー法により解析した結果,ある特定の機能をもつ遺伝子群が有意に増加することが明らかになった。
〔備 考〕


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