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研究成果物



 

(7) 水環境中における界面活性剤の挙動の解明とその共存汚染化学物質の挙動や毒性に及ぼす影響の研究


〔区分名〕経常
〔研究課題コード〕9802AE124
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕稲葉一穂(水土壌圏環境研究領域)
〔期 間〕平成10〜14年度(1998〜2002年度)
〔目 的〕合成洗剤はダイオキシンなどに比べて自身の毒性や危険性は小さいものの,排出量が大量であること,主成分である界面活性剤の分解生成物に環境ホルモン物質と疑われるものを含むこと,界面活性剤以外に殺菌剤や増白剤などの化学物質を含んでいるものがあること,ミセルやエマルションを生成して水に溶けにくい物質を可溶化し挙動を変化させる可能性があることなど水環境に与える影響は大きいものがある。本課題ではこのような問題点を検討するために合成洗剤の主成分である界面活性剤について,底泥への吸着性や移動性,微生物分解性などの挙動を検討するとともに,汚染底泥やミセルやエマルションが共存する化学物質の移動や分解,毒性などの諸性質にどのような影響を与えるかを検討する。
〔内容および成果〕
 本年度は合成洗剤関連物質として,殺菌石鹸に含まれる殺菌成分であるトリクロサンの水環境中での挙動について検討を行った。トリクロサンおよびその1塩素置換体および2塩素置換体の水への飽和溶解度は非常に小さく,トリクロサンで40μM程度,1塩素置換体および2塩素置換体では数μM程度であった。しかし,界面活性剤が臨界ミセル濃度以上共存すると何れの溶解度も急激に上昇した。同様にフミン質が共存するとその溶解度は上昇することが分かった。これは水に難溶な有機化合物であるトリクロサンおよびその塩素置換体がミセルやフミン質の疎水性部へと可溶化して安定に存在するためと考えられた。一方,トリクロサンの遊離塩素による塩素置換反応は臨界ミセル濃度以上の界面活性剤が共存すると速度的にも平衡的にも抑制されることが分かった。これは塩素置換反応が水溶液中で起こるため,トリクロサンがミセル粒子中へと可溶化している系では反応が起こりにくいためと説明できる。フミン質が共存する場合にも同様に塩素置換反応が抑制されていたが,これは遊離塩素が高濃度に存在するフミン質と反応したためであると考えられた。このように合成洗剤に含まれる殺菌成分であるトリクロサンの溶解や移動,分解や毒性を支配する挙動は共存物質により大きく変化することが分かった。
〔備 考〕


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